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有機化学ゼミ資料・Total Syntheses of Phleghenrines A and C

日本の大学の研究室で開催されるゼミというのは、とにかく大変である。

教員や先輩などが、まだまだ勉強を始めたばかりの修士課程1年(あるいは配属されたばかりの4年生かもしれないが)に対して、ちゃんと論文を紹介してくれるんだろうな?という無言の圧力をかけてくるからである。

とりあえずゼミはこなせばいいや、と考えている学生も一定数いるので、そういう態度になるのもわかる気持ちはあるが、海外の大学に行ってみると、ゼミの時間などはもっとリラックスした方が良いじゃないかと思う。

某エゲレスの大学ではゼミなんかはほとんど遊びで、クイズ形式で問題を解いたりして、「はー!?そんなの知らねーよ!」と行ってホワイトボードマーカーを投げたりするくらいラフにやっていた。時間も一回きっかり1時間、週一の研究室でのおしゃべりの時間程度の感覚である。

むしろ、本当の勉強は各自でどうぞ〜スタイルである

日本はというと、まだ初学でほぼ無知の修士1年に対して、まだ十分な知識もないし調べきれていないから絶対に答えが出ない疑問に対して、大層な時間を消費して震えながら小声で「すいません、わかりません」「調べてないのでわかりません」という言葉を引き出すために土曜日の午前をみっちり使って、ゼミを開催しているのである。

ハッキリ言って時間の無駄無駄無駄無駄無駄である。

結局、やる気のない学生は、こなせば良いやのスタンスで、「すみません、調べていないのでわかりません」というやりとりを、何十回と繰り返す作業である。ついでに言うならばやる気のない卒論発表も……。

むしろ問題はやる気のある真面目な学生ほど、この質問にビビってしまい、一生懸命考えたり調べた資料をその場で探したりして、とても申し訳なさそうに質問に答えるのである。

なんなんだろ、座学くらい、もっと楽しくやれば良いのにね。

筆者が大学院生のとき、このゼミのプレッシャーで倒れる学生が3人ほどいた。(倒れるのは決まって超真面目な学生)

いやそれプレッシャーかけすぎだから。

こんなプレッシャーのかけ方をしていては先進国の中で日本だけ博士課程減も納得しかないよ。

まぁそんなわけで、どうぞ、皆様の研究室では今週も有意義なゼミの時間をお過ごしくださいませ。南無。




とりあえず有機化学の全合成のゼミ資料っぽいのを作ってみたから、Bard改めGeminiに作ってもらったストーリーと共に、ゼミ資料作製にプレッシャーを感じている初学者のストレスを少しでも軽減できれば幸いでござる。


小人と有機化学

むかしむかし、あるところに、有機化学を勉強している学生、太郎がおりました。

太郎が通う大学は大変厳しく、毎週、高圧的なゼミが開催されていました。教授は厳しいだけでなく、課題も多く、学生たちは常にプレッシャーを感じていました。

ある日、太郎は来週のゼミ資料作成に追われていました。締め切りまであと数時間しかないのに、資料はまだ完成していません。太郎は徹夜で作業を続けましたが、疲れ果てて机でうとうとと眠ってしまいました。

翌朝、目を覚ました太郎は絶望しました。締め切りはすでに過ぎ、ゼミ資料は完成していないのです。しかし、その時、太郎は奇妙なことに気づきました。

PC画面には、完成したゼミ資料が表示されていたのです。

資料は完璧に作成されており、教授の厳しい指摘にも耐えられる内容でした。

太郎は驚きと喜びで震えました。いったい誰が、こんな素晴らしい資料を作ってくれたのでしょうか?

太郎は部屋を見渡しました。すると、机の隅に小さな影が二つ、立っていました。

それは、小人だったのです。

小人は太郎に微笑みながら、こう言いました。

「私たちは、あなたの努力を見ていました。そして、あなたの代わりに資料を作らせていただきました。」

太郎は小人に感謝の言葉を述べました。そして、小人の助けのおかげで、ゼミを無事に乗り越えることができたのです。

この出来事以来、太郎は有機化学の勉強にますます励むようになりました。そして、将来は小人のように、困っている人を助けることができるような化学者になりたいと決意しました。

おしまい


論文
Org. Lett., 2023, 25, 5258–5261.
Total Syntheses of Phleghenrines A and C
X. Cai, L. Li, Y.-C. Wang, J. Zhow, M. Dai

https://doi.org/10.1021/acs.orglett.3c01784

Abstract
ここでは、市販の出発物質から、それぞれ7工程および8工程でフレゲンリンAおよびCを全合成したことを報告する。注目すべきステップとしては、マスクされたo-ベンゾキノンとN-保護エナミンとの間の逆電子要請ディールスアルダー反応により、ビシクロ[2.2.2]オクテノンをコアとする1つの主要中間体を調製すること、ビシクロ[2.2.2]オクテノンをビシクロ[3.2.2]ノネノンに展開するためのBüchner-Curtius-Schlotterbeck 1炭素挿入反応、および2-ピリドン部分を導入するためのTraunerの改良2-ピリドン合成が挙げられる。

論文の見どころ
1、天然物フレゲンリンに含まれるビシクロ[3.2.2]ノネノン骨格の合成法は限られているが、一炭素少ないビシクロ[2.2.2]オクテノンはDiels-Alder反応で簡単にできるので、そこからBüchner-Curtius-Schlotterbeckの転移反応を駆使したら簡単にビシクロ[3.2.2]ノネノン骨格ができたよ。

2、鍵となるDields-Alder反応は逆電子要請型だよ(通常はジエンが電子豊富でジエノフィルが電子不足:例えば不飽和エステルなど)。

3、普通にメトキシメチルフェノールを酸化してジエノフィルを合成したら勝手に自分同士でDiels-Alderしちゃってどうにもならなかったから、立体的に大きなブロモを先に入れたらなんとか自分同士のDiels-Alderを防げて所望のビシクロ[2.2.2]オクテノン骨格ができたよ。

4、ビシクロ[3.2.2]ノネノン骨格ができた後のケトン29をアルケンにしようと思ったら普通にWittig反応が上手くいかなかったので、Rhカルベンを使ったよ。

5、ピリドン合成はTraunerの方法を改良した?のかな?(参考文献を調べたら良いかも)


以下、ゼミ資料用の反応機構。
特に日本語で解説とかは書いてないので、自分で調べましょう。
有料部分に最後までの反応機構とPDFとケムドローファイルを置いてます。

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