GrassRootsの挑戦~復興五輪でボランティア後夜祭を
オリンピック・パラリンピックは今、「スポーツイベント」という枠を超え、世界最大のイベントとなっている。選手はそこへの参加、そこでの勝利を最大の目標とし、実際その活躍は鮮やかな映像とともに瞬く間に世界を駆け巡る。
多様性(ダイバーシティ)の価値が高まる中でも、この大会は「国別メダル争奪戦」であり、国や国籍といったものを強く意識せざるを得ない大会であり、各国政府の力の入りようも特別だ。
また巨大な金をつぎ込み、ショーアップされた大会でもある。多額の税金が使われることに批判的な意見も当然多くあるだろう。またイベント運営のための物品提供だけでなく巨額の協賛金を支払える大企業のみが「パートナー」として大会ロゴの使用や冠イベントの開催が可能で、それ以外の中小企業は「オリンピック」という言葉を使うことも難しいほど権利関係が厳しいというイメージもある。
「復興五輪」という意義を強調して決まった東京オリンピック・パラリンピック。福島の企業や人がこれを生かし切れているかといえば、「それは無理」な話だ。事実かどうかはともかく、ほとんどの企業や人はそこの可能性をすでに否定し、諦めているだろう。
私たちルーターズは、福島県内でも他にない「スポーツボランティア専門の専門のNPO団体」であるがゆえ、「復興五輪があるなら、私たちもそれに参加し、復興の一助になりたい」というシンプルな発想で、「ボランティアのための後夜祭を福島でやろう」と言い始めた。
それは、無理だよ、難しいよ、とたくさんの人に言われたけれど、その何倍もの人に「うわぁ!それはいいね!いいアイディアだね。」とキラキラした目で賛同してもらえたのだ。
可能性が完全につぶされない限り、夢を言い続けよう。やれることをやっていこう!
そう思い、これまで2度、全国のスポーツボランティアによる被災地Jヴィレッジの視察ツアーを行ってきた。助成金は使っていない。私の助成金申請能力が低いせいで落選続きだったというのが実情だが、そこに集まった各回数十名の参加者は、まさに「自腹」で参加してくださり、本気で「スポーツボランティアが被災地に対してできることは何か」を考えてくれる人たちだった。
福島の人たちは、復興五輪に何を望んでいるだろう。
もちろん、福島市で野球やソフトボールが開催されることはとてもうれしいことだ。生で観戦する大きなチャンスであるし、私たちボランティアにとっては晴れ舞台でもある。
でも、どこか冷めてやしないか。
そう、(スポーツボランティア団体事務局の)私でさえ、どこか冷めているのだ。
それは、復興五輪にまつわる決定事項が「上からの情報」として降ってくるからではないだろうか。
試合開催しかり、聖火リレー(出発地)しかり。
そして、それらはごく一部の関係者以外は「関係ない」「関係できない」からではないだろうか。
一方、ボランティアは「自ら手を挙げて」参加する、つまり自らその中に入っていける「下からの活動」である。
大会の公式ボランティアは「フィールドキャスト(大会ボランティア)」と「シティキャスト(都市ボランティア)」の2種類。両方合わせるとおそらく2,500名以上の福島県民が手を挙げたはず。これはなかなかすごいこと! とはいえ、いかんせんすでに募集は終了している。
復興五輪を「復興に役立つ五輪」とするならば、これに誰もが関われる「場」を作りたい。
パラリンピック最終日である9月6日は「スポーツボランティアの日」でもある。
提案者はメキシコ、ミュンヘン、モントリオールの3大会連続オリンピック出場のマラソンランナー・宇佐美彰朗氏。スポーツボランティアに造詣の深い、東海大学名誉教授でもある。
「スポーツボランティアという文化を被災地に!」「その日、Jヴィレッジで、ボランティアのための後夜祭をやろう!」「福島県民が、これまでの復興支援に対してありがとうを伝える場にしよう!」「とにかくみんなで楽しんで、福島の笑顔と元気を世界に発信する機会を創ろう!」
私たちは、宇佐美氏とともに、ボランティア後夜祭の夢を描き、愚直にそれを言い続けています。
「それはまさに、草の根の活動ですね!」
ある記者さんの言葉に、ハッとして、スマホに「草の根」と打ち込んでみると、
「Grass Roots」
ああ!やっぱり!
なんという繋がり!
そう、私たちうつくしまスポーツルーターズの「Rooters」は、まさに「根」なのです。
根っこを掘る動物(イノシシや豚など)の必死で愛らしい姿が「熱狂的にスポーツを応援する人」にたとえられ、「Rooters」と言われる、というところから取った名前です。
地面にちゃんと足をつけ、地中に根を張り、そしてたくさんの人と共に、本当の「復興五輪」を作りたい。
まさに草の根、の活動です!
「なにか自分も関わってみたい」
ちょっとでもそう思った人には、ぜひ関わってもらいたいと思う。
なんといっても「オリンピック・パラリンピック」は世界最大のイベントなのだ。それが福島であるなんて、奇跡みたいなことじゃない?
福島の今を、福島の人の元気を、そしてこれまでの支援やボランティアへの感謝を、世界へ伝える機会をみんなで作りませんか!
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