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病みとずっと昔に見た虹の残像の詩集

3月、4月の詩です。あまり明るいものではありません。

『大切な箱』

見て
たくさんの私の宝物だよ
ほら
こんなにたくさん
素敵だね

私がそう言うと
黒い人はうんと頷いて去っていった

わたしは笑った

ほら見て
凄く可愛いでしょ、綺麗でしょ
わたしはこれが
大好きなんだ

そうしたら黒い人達は
わたしに気をつけるようにいった



でも

わたしは笑った

どれも、これも、わたしのたいせつな、たからもの

見えていてもいい

見てなくてもいい

全部大事なたからものなんだもん

集めるだけじゃ
つまらない
たまには一緒に
見て欲しい

その度に言われる

いたい、いたい、いたい
かなしい、かなしい、かなしい

わたしがどれだけ殺されようが構わないと思った
なぜなら、その宝物が傷つけられないなら
それでいいと

どれだけ針を刺されようが
どれだけ引っかかれようが
いつの間にか腹にナイフを刺されようが

大切なみんなが生きててくれているなら
それでいい

幸せの共有
自分の思い
嬉しいこと、楽しいこと、大切なこと

それがみんなに迷惑でどうでもよくて害なものなら
もう言わないね

だから

この箱には鍵をかけないと



悲しいと、本当に何も考えられないの

悲しさを消す努力をするよりも

ただただ虚しすぎて何もすることが出来ない

悲しいと、目にかかる黒いフィルターが
何層も何層も貼られるの

だから、どこに出口があるのか分からなくなる

自分と世界が切り離されたみたいになる
かけられた言葉は
全部わたしにたどり着く前に跳ね返される

簡単な文章問題に永遠と悩む
すぐ近くにあるものをずっと探す
夏にいるのに夏になって欲しいと思う

そんな感覚

救われたいより、それすらも考えられない

ただただ、虚しい
ただただ、虚しい

頭に何キロもの重りが乗ってるみたいにフラフラする

目の前にいるのに夢の中みたいに話しかけられているような気がする
グラグラする、ぐるぐるする

何も考えられない
ただただ、悲しい


属さないということは
ときには自分を滅ぼすことになる


孤独になったから辛いというより
何かの場所に属せない人間は最初から決められていて
その者達がどこかに属そうが属さまいが

ずっとずっと辛いのだ



あの頃に泣きすぎて、涙の在庫がなくなった



すごく虚しい1日だった
電子レンジで温めて食べたスパゲッティは
まるでエサを食べる鶏の様だった



私が好きになったものは汚れるって分かってるから
ほんとうに好きなものは中に取り入れることなんてできない



『Dreams don't come true』

Sun, moon, little bird

Today they're spinning around

I'm running on the keyboard

Be careful of the black keys

The red balloon I bought some time ago

Where is the secret message I hid

No matter how many times I lock it, I can't find the key

I live in a picture book

No matter how many times I run away, it's coming back again

I need to run farther and farther away

【If I don't run, they'll catch up with me】



『夢は叶わない』翻訳BAR

太陽、月、小鳥

今日もくるくる回ってる

キーボードの上を走ってる

黒い鍵盤に気をつけて

この前買った赤い風船

隠した秘密のメッセージはどこ

何度鍵をかけてみても鍵が見つからない

いつも絵本の中にいる

何度逃げてもまた戻ってくる

どんどん遠くへ逃げないと


【逃げないと追いつかれちゃう】



過ぎてしまった過去は
どれだけわたしが再現したくても
もう二度と戻ることはない
あの頃経験出来なかった黒い黒いわだかまりが
胃の中で膨らんできて
どんどん苦しくなって



いつしか
今私たちが理解出来ないような最新技術も
あの頃が懐かしいねと
言われる日が来るのだろうか
生成AI
ニューエイジ
繰り返される流行
いつか古くなる今を
私たちは生きている



私の感受性は今とっても熱いから
きっと触れた貴方をやけどさせてしまうし
埋められたナットも
私の心臓に飲み込まれる



彩度が良くない
長い間放置された黄ばんだ紙みたい
解像度が格段に良くない
私たちは何かを忘れている、あの頃の記憶のことを
世界のこと何も分からなかったあの頃
ただ、1日1日を生きるのに必死で、特に追い詰められるものもなかったあの頃
死んだらどうなるんだろうとか思って、独りで涙する夜
もう最近は、泣かなくなったな

朝焼けと、霧、自然



今日も話せなかった
そう思った
塾の階段を降りた先に見上げた空は
まだいつもより明るかった



世の中には
人に好かれる歪み方と
ひとりぼっちになる歪み方があるんだよ



自分はスタート地点から走っていると思っていた
ただ、ずっと走ってきて、転んで、分かった
全員用意スタートと、ピストルを切られて走り出したと、勘違いしていたんだ
そういえば走り出した頃の記憶を
わたしは何も覚えていない
そもそも
自分は何のために
どこへ向かって走っているのかも
何もアナウンスがないまま
疑いもせず
走っていたことを
今日の今日まで気づかなかった
左右の同じ背丈の人々に
どんどん追い越される
消失点の見えないコースを
ただ漠然と眺めた
小さくなっていくみんな
このレースは何のため
なんのための赤い旗
なんのための頑張れと、何の為のありがとう
私たちはどこから集められてきた?
わたしは足を止めた
忘れるものすらない記憶を
なにか1つでも思い出せるようになるまでは
ずっとここに座っていたい



一瞬一瞬に、人生を捧げる何かがないと気絶してしまいそう
いつも私の隣には
もう味のしなくなったガムと
鮮やかな色をしたガムが並んでいた



少し汚れた湖に
白いペンキを流し込んだ
もう何年汚染されているのか分からない
1度水を抜けば良いものの
穢れが入り込んだ湖に
また大量の白いペンキを流して
隠すだけ、忘れるだけ
どんどん胃が重たくなっていく
わたしは綺麗、わたしは綺麗
汚れても
また塗り替える
何度も何度も塗り替える
ミルフィーユみたいになった
わたしの胃壁
遠くから見たら何も解らない
わたしだって忘れれば良い
また虹色の渦巻きを目に焼き付けて
真っ黒に汚れた脳なんか
寝てない体なんか
制御出来ずに電源が切れてしまうまで
ずっと忘れ続ければ良い

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