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刑法各論定義集(パート1)

皆様お久しぶりです。
修習でばたばたしており、投稿できていませんでした。

今日から少しずつ再開したいと思います。

さて、何を投稿しようかと考えていましたが、起案のために刑法の定義集をつくっているので、これを共有しようと思います。

今日は、パート1として、殺人罪系統です。

1 殺人罪(199条)
199条:人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。
保護法益:個人の生命
構成要件:➀「人」を➁「殺した」
意味
 ➀「人」→(胎児の体の一部が露出した以降の)自然人。行為者を除く。
 ➁「殺した」→自然の死期以前に人の生命を断絶する行為。
 *方法を問わず、不作為でもよい。

2 殺人予備罪(201条)
201条:第百九十九条の罪を犯す目的で、その予備をした者は、二年以下の懲役に処する。ただし、情状により、その刑を免除することができる。
保護法益:個人の生命
構成要件:➀「199条の罪(殺人罪)を犯す目的」で➁「その予備をした」こと
意味
 ➀「199条の罪(殺人罪)を犯す目的」→具体的に殺人を遂行する意図。
 *単に漠然と準備行為を認識するだけでは×
 ➁「その予備をした」→殺人の準備行為をすること
 
3 自殺関与罪・同意殺人罪(202条)
202条:人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。
 保護法益:人の生命
 構成要件:➀「人」を➁「教唆」し若しくは➁’「幇助」して➂「自殺させ」
      又は
➃「人」を➄その「嘱託を受け」若しくは➄’その「承諾を受け」➅「殺した」
 
意味
 ➀、➃「人」→自殺の意味を理解し、自由な意思能力を有する自然人。
       *意思能力を欠く幼児、心神喪失者はこれに含まれない。
 ➁「教唆」→意思決定能力があり、自殺意思を有しない者に自殺意思を起こさせること
 ➁’「幇助」→自殺意思を有する者の自殺を援助し、自殺を容易にすること
 ➂、➅「自殺させた」→自殺させたこと
 ➄「嘱託を受け」→頼まれること
 ➄’「承諾を受け」→承諾されること
 *➄、➄’について、嘱託、承諾の基礎となる被殺意思は、
  ・被殺者の自由な意思決定により行われなければならず、
  ・被殺者に具体的な死の認識、受容の意思
  が認められることが必要。


それでは、本日はこのあたりで。

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