先生、ご無沙汰しております、さくらです。もう、何年ぶりくらいでしょうかね。16年ぶりくらいですかね。こちらは、あっという間に2040年になりました。ずいぶん時間が経ちました。昔はよく手紙を書きましたよね。わかりやすく言うと、私は先生の字がとても好きでした。嬉しそうに研究の進捗を綴る先生の思い、私も同じように嬉しく感じていました。でも、よくよく考えると、先生が嬉しかったかどうか、文章だけではわかりませんよね。それでも私は、先生が嬉しそうにペンを動かす情景を想像せずにはいられま
何に謝っているのだろう。 誰に謝っているのだろう 誰が謝ってほしいのだろう。 誰が謝ってほしいと言った? それでも心の中で謝ってしまう。 それでも心の中でうしろめたくなってしまう。 何に許してほしいのだろう。 誰に許してほしいのだろう。 誰が許してくれるのだろう。 それでも誰も許してくれないから、 それで大人になったと言い聞かせる。 それで大人になってきたと言い聞かせる。
誰も悪くないときの対応がわからない。 誰かを責める気もないし、 責める理由もない。 本当は誰かが悪いとしても、 そんなことは関係ない。 知らないほうが良かったのなら、 知らなかった頃に戻りたくなる。 世の中情報が多すぎて、 振り回されたくない、 そんな気持ちが高まったとき、 何も知らなかった頃に戻りたくなる。 世界は広いけど、 自分の時間が広がることはない。 情報よりも大切なものはどこにあるのだろう。 知らない頃には戻れないけれど、 知らない頃に戻ったふりをして、 穏やか
母「今週長崎のほうに行ってくるから、いつも通りよろしく」 娘「はーい」 母「なんかほしいものある?」 娘「何もないよ、何もないから、どうぞ、美味しいものたくさん食べてきてください」 母「まあね、ちゃんと接待受けてくるわ」 娘「なんかさぁ、最近、よくテレビに出てるよね、このボンボン総理大臣。おかしな大臣の尻拭いさせられて、なんかこの人も怪しく見えてくるなぁ」 母「まあね、政治と官僚と大学、がっちり繋がってるからねぇ。私は何も言えませぬわ」 娘「なんでさ。お母さん、正しい研究して
誰も、私のことを、知らない。 知るはずもない。 体を転々として、その時代ごとに付けられた名前で呼ばれ、そっと時を見守ってきた。 ただ、ひとり、ひとりだけ思い出す魂がある。 私と同じような種類かと思ったらまったく逆で、たった数年だけしか存在しない魂だった。 「君は何をしてる時が楽しい?」 「君といる時だけが楽しい」 そんなことを言っていた魂とは、夏の季節ひとつだけ一緒に過ごして終わってしまった。 もう2度と逢うこともない。 逢いたいと思っても叶わない。 寂しいのは、
部長、バスケットやってらっしゃったんですか。へぇ、どこ守ってたんですか?ポジション。センター?やっぱり、部長大きいですもんね。 え?じゃあ、インターハイはどこまでいったんですか?全国?あっ、県大会ベスト4、すごい、それでもすごいですよ。えっ?今でもやってらっしゃるんですか?バスケット。あぁ、そうなんですか、まぁ、バスケは体力使いますもんね。でもあれじゃないですか、体良くなってここを退院したら、またちょっとはじめてみるのってどうですか?体力づくりもかねて。えぇ、できますよ。
中学の同窓会に出席しました。周囲の生徒達との違和感を覚えはじめたのが中学生の頃だったので、もう一度その頃の違和感が確かなものだったのかを確認したくなり、会場に足を運びました。 驚かれました。いろいろなことを驚かれました。私は他者には「勉強しかしていなかった人種」、「周囲を見下していた人種」、そう思われていたようで「こんなところに参加する人種」とは思えてもらえていなかったようです。まぁ、その「こんなところに」とか「私たちみたいな人種」とかの意味も、私にはあまり焦点が合うよう