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No Pain,No Gain~「セクシー田中さん」の作品に触れて

今年のはじめ、「セクシー田中さん」の原作者が亡くなったことで一時、世間を賑わしました。
個人的には最近、すっかりマンガもドラマ(韓流以外)も観なくなっていたけれど、当時の一連の報道には興味を持ったので、一度、マンガもドラマも読んでみよう観てみよう、と思い。
ここ最近でようやくマンガも読み、ドラマも観終わりました。

ここでは、その、それぞれの感想のみを語るとしましょう。

マンガは、もう未完の作品となってしまったわけですが、作品のテーマは、やはり、ドラマ化するにあたって、契約どうのこうのや原作者の意に沿う沿わない以前に、忠実に再現するしかない作品ではないかと思いましたね。

だから、ドラマ化するなら、原作者に対してのリスペクトがきちんと感じ取れるスタッフ、脚本家、そして演者たちでなければ、この作品に関わってはダメなんじゃないかと。
そう思いましたね。

このマンガのファンの中には、細やかな描写と絶妙なシュチュエーションで醸し出されるセリフ、それも些細な何気ないセリフが、この暗澹たる社会や現実を、一片の希望に根こそぎ一変させる力を、きっと頬を濡らして実感された方もいたことでしょう。
僕にとっての、吉田秋生さんの「バナナフィッシュ」がそうであったように。

そしてドラマの方。
個人的に木南晴夏さんは好感持てる女優さんなのでそれ相応に期待。
そうですね……。
展開やセリフは、そつなく原作と一致していると思われるので、騒動の一つ、原作改変の裏事情を知る由もないこちらとしては、のほほんとドラマを観てしまうのではないか。
そして原作を知るファンとしても、おおよそ及第点を付けるレベルにはなっているのではないか、と思いました。

そしてここから。
さらにワタクシの主観全開と行きましょうか。

実は図らずも、同じ時期に韓国ドラマ「HUSH」も観ておりまして。
いちいち内容には触れませんが、この「HUSH」、日本では絶対に作れないと思われるドラマの一つ。
それは映像演出、そして脚本、そして演技。
主演のファン・ジョンミンさんの、あの泣きの演技、あれと同じレベルで演じられる日本の俳優は、ハッキリ言っていないのではないかと。

もう一つ余談ですが、同じく韓国の人気ドラマを基に作られた「六本木クラス」。
韓国版と比べれば、その劣化トレース具合に甚だ失望の念を抱き。

映像クオリティーも演出のセンスも、本場とは大違い。

もし、それがおそらく、全てカネの問題、であるならば。

比較もなく決めつけるのもナンだけれど、「セクシー田中さん」は、「韓流」レベルでやらなければいけない作品だったかもしれません。

同じセリフでも、同じ演出でも、カネをかけたことで違い、そして。
初めて原作者の意に沿う、という作品もある。

原作者のリスペクト、というからには、対してドラマ制作側の力量をも厳しく見積もらねばならない。
もしカネの問題で「セクシー田中さん」の世界観を十分に表現出来ないというのであれば、いっそ手を付けなければいい。
そういった選択も原作者のリスペクトの延長。

9,10話は原作者の脚本だそうで。
そして観るこちら側としても、若干、登場人物全てに対する生き様を細やかに見せる、この作品のポリシーに対して違和感を感じる場面がちらほらと。
でもそれらは、制作サイドの配慮があれば、そんな違和感は打ち消すことが出来たかもしれない。
言い方を変えれば、そこにも原作者へのリスペクトがなかった、ということか。

原作者は亡くなられた。
その真意はもちろん第三者には測りがたいが、とにかく、原作者の切なるメッセージが、一番届かなかったのが、かの原作者という皮肉。

No Pain,No Gain.
あとはこの作品を愛する人たちの、今後の未来を信じて。









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