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おにぎり事情


小さい頃のおにぎりといえば母がお弁当の時に作ってくれたおにぎりが連なって銀紙に巻かれたものと、余ったお米で作った小さい俵形のおにぎりを思い出す。何故か俵形のおにぎりがツヤツヤと光っていて美味しそうに見えていた。

懐かしい思い出から時が経ち私が自分でお弁当を作る年になるといわゆるおにぎらずのような握らずにお米を成形できるものが出てきていて、素手でおにぎりを握ると雑菌が繁殖しやすいというのを耳にしていた。

そんな時にデパートのいくらか以上のレシートを見せるとくじ引きが出来る催し物にておにぎりの形をしたプラスチックケースが景品で当たる。
ここからは余談だが私はお祭りなどのくじ引きで1番下のくじ以外を引いたことがないくらいくじ運が無く、これを引けたのは驚きであった。これも下の方の景品だったと思うが、4回ほどやって1番下の景品ではないのはこれだけであった。

そんな出会いがあっておにぎりを持っていく時はこのおにぎりケースくんを使っていた。これがお弁当作りの時短にもなり愛用品となった為私は今まで素手でおにぎりを握るというかとをしないでいたのだがこの度歌手デビューではなく素手デビューと相成った。

デビューの経緯は何点か思い当たる節がある。
ご飯を食べようとお米を炊いておかずはシーチキンの缶詰と玉ねぎを見つけたのでシーチキンマヨにしようと決めた。
いつもならご飯の上にかけて食べるのが常であったが今回は違った。読み返していた漫画の「きのう何食べた」でおにぎりの話があったこと、ラジオで聴いた寺門ジモンさんの好きな食べ物は愛してる人があつあつのお米で握ったおにぎりという話が頭をよぎり、おにぎりを握ってみようと初めての考えに思いつく。

ここでポリエチレン手袋やおにぎりケースくんの出番も考えたが、お弁当のように握ってから時間を掛けずに食べることを考慮しての判断を下す。
その代わり調理の開始前にはいつも以上に念入りに手を洗い衛生面には気をつけた。

手に少量の塩をつけ、あつあつのご飯を乗せる。予想以上の熱さだったがここで止めるわけにはいかない。ご飯の真ん中に窪みを作り、具を乗せる。前にTVか何かで見たおにぎり屋さんで働くおばちゃんが言っていたコツを参考に力は入れず、左右で3回ずつ握って形を整えて海苔をまく。おばちゃん曰く優しく握っても海苔をまくことでご飯を崩れなくしてくれるそうだ。
「あちっ」と思わず声を出しながらせっせとおにぎりを握っていく。

完成したおにぎりをお味噌汁と共に食べる。
一口食べた時点で美味しくて驚く。出来たてのおにぎりはまだ温かく、優しく握ったおかげでお米の硬さも感じない。ほわほわである。いつもと同じお味噌汁さえも美味しく感じる不思議現象が起きる。
あっという間に完食してしまった。

素手デビュー大成功。

あつあつのおにぎりを食べたことがない人に
振る舞いたい気持ちと
愛する人にあつあつのおにぎりを握ってもらいたいそんな気持ちになったあかだまでした。

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