ビジネス心理学の成功法則100を1冊にまとめてみました

仕事に全力で取り組んでいるそこのあなた
ビジネスマインドチャンネルです

今回は、心理学者であり立正大学客員教授による
ビジネス心理学の成功法則100を1冊にまとめてみました
について解説していきます。

本書は、有益なビジネス心理学をまとめたビジネスマンのための一冊です。

それではさっそく本書の要点を3つお伝えしていきます。

要点1
人はホッとしたときにイエスと言いやすい。こうした心理的な傾向を知っておくと、ビジネスにおける交渉の場を有利に進められるだろう。

要点2
相手に好かれたいのであれば、その人が使う言葉と同じ言葉を使うことが有効だ。また、自分のことを知ってもらう時間をとるようにすると、相手との関係構築がしやすくなる。

要点3
人の味覚は、周囲の環境に大きく左右される。食べる前に儀式を加えたり、周りに人がいたりすることで、味の評価が変わる。

チャプター1!交渉を有利に運ぶ心理法則

その1!相手からイエスを引き出す方法


人はホッとした後に「イエス」と言いやすい。
自分の要望を相手に聞いてもらいたいなら、相手を安心させた後に提案するといい。ポーランドにあるSWPS大学のダリウス・ドリンスキは、道を歩いている人に「財布を落としませんでしたか?」と尋ねる実験を行った。相手が自分の財布があるのを確認し、ホッとしたところで実験アシスタントが慈善活動への寄付をお願いする。

その結果、いきなり寄付をお願いした場合は全体の1割未満の人しか同意しなかったが、財布を落としたかどうか聞いた後では3割以上もの人が寄付をしてくれた。

この心理は、ビジネスにおける交渉の場にも応用できる。たとえば、交渉決裂をにおわせた後、交渉を続けることで相手をホッとさせ、自分の要望を飲ませるようにする。
精神的な安心を感じた相手は、ついお願いを聞いてしまうというわけだ。

その2!選ぶ手間を省くと人は動く

人は決断に際して、「自分の好きなように決めたい」と思う一方、「面倒だから誰かに決めてもらいたい」とも考えるものだ。

アメリカのラトガース大学のグレッチェン・チャップマンは、大学職員に無料のインフルエンザワクチンの案内メールを送り、どれくらいの人がワクチン接種をしたかを調べた。
各職員に送られたメールには2種類あり、片方のメールでは自分の好きな日時と場所を選ぶことができ、もう一方は日時と場所が事前に決められていた(希望があれば変更は可能)。すると、前者の案内を受け取った人のうち実際にワクチン接種をしたのがわずか33%だったのに対して、接種スケジュールがあらかじめ決められているメールを受け取ったグループの接種率は45%だった。

「好きに決められる」ほうが親切なように思えるが、そのほうが煩わしいと思う人も多いのだ。わざわざ選ばせなくてもよいサービスは、案外多いのかもしれない。

チャプター2!好感を持たれるコミュニケーションの心理法則

その1!相手と同じ言葉を使う

好かれたい相手がいるのであれば、その人が使う言葉をそのまま使うといい。たとえば、お客さんが「おヒヤをください」といったら、「おヒヤですね、すぐお持ちします」と答える。
わざわざ「お水」と言い換えたりする必要はない。

オランダのあるレストランで行われた実験によると、フライドポテトを頼んだお客さんに対して、注文の言い方をそのまま繰り返した場合と別の言い方で注文を復唱した場合では、前者のほうのチップ額が140%も多くなった。

同じ言葉を使うことで、相手は自分に対して親近感を覚える。だが、違う言葉を使ってしまうと、なんとなく相性がよくないと感じてしまうのかもしれない。ビジネスでも、電話やメールなどで相手が使う用語や言い回しを意識的にそのまま使うようにするといいだろう。

その2!自分を知ってもらう



取引先と良好な関係を築きたいのであれば、積極的に自己開示するのがおすすめだ。人は、よく知らない相手に対してはいくらでも冷たい態度をとることができる。だが、相手のことを知るほど、そうはいかなくなる。ビジネスシーンでも、初対面の人との商談や打ち合わせにおいては「自分を知ってもらう時間」をつくるといい。一旦仲良くなってしまえば、ひどい対応を取られることはなくなる。

ただし、プライベートな情報の開示は、「少し足りないくらいがちょうどいい」。これを、心理学では「レス・イズ・モア効果」と呼ぶ。なんでもあけっぴろげに自分のことを語ってしまうのは信頼関係構築の上では逆効果だ。相手のことを知れば知るほど好きになるとは言っても、それには限度がある。あまり知りすぎると、好意をもちづらくなってしまうのだ。隠すべきところは隠したほうが、魅力的な人間だと思ってもらえるはずだ。

その3!印象は表情で決まる



ビジネスパーソンたるもの服装には注意せよとよく言われる。だが、実際は人の印象は服装よりも表情で決まる。スコットランドのアバディーン大学のピース・マイルズは、様々なTシャツを着たモデルの写真を見せ、Tシャツの評価を求める実験を行った。その結果、どんなTシャツであっても、モデルが笑顔ならば評価が高く、モデルが無表情ならば評価が低いことがわかった。

つまり、どんなに服装に気を遣っていても、ムスッとしていたら良い印象を与えることはないということだ。普段から微笑みを浮かべることができれば、どんな服であれ好印象になる。

また、“笑顔には感染効果”がある。自分の顔が和やかであれば、相手もそれにつられて笑顔になる。場の雰囲気を明るくしたいなら、まずは自分から愛嬌をふりまいてみよう。きっとその気持ちが伝染し、周囲の態度や対応ががらりと変わるかもしれない。

チャプター3!成功する経営の心理法則

その1!食べ物に高級感を与える方法

同じ食べ物でも美味しく感じさせたいのであれば、「儀式」を追加することが効果的だ。

ミネソタ大学のキャサリン・ボーズは、大学生にチョコレートの試食をしてもらう実験を行った。学生を2つのグループに分け、片方のグループには「儀式」を追加した。「まずチョコバーの包みを開ける前に、チョコバーを2つに折ってください。それから包みを半分だけ開けて食べてください。次に、残りの包みを開けて食べてください」と指示を出したのだ。同じチョコを食べてもらったにもかかわらず、儀式を追加したグループのほうが、味の評価が高くなった。

また、スペインのバレンシア工科大学のベティナ・ピケラス・フィッツマンの実験では、同じ食べ物でも器を重くすると、それだけでおいしくて高級感を感じやすくなるという結果が出ている。飲食店では味だけでなく、料理を提供するプロセスにも気を配ると顧客満足度が高くなるだろう。

その2!環境がおいしさを左右する

行列ができているお店はおいしく感じてしまう。これには、「感情増幅効果」が関係している。他の人がいると、それだけで感情に強い効果が加わるということだ。イエール大学のエリカ・ブースビーの実験によると、おいしいものは1人で食べるよりも他の人がいるところで食べるほうが、「おいしい」という評価が出やすくなる。また、まずいものを食べたときも、他の人が周りにいるときのほうが「まずい」という評価が高まる。感情増幅効果はプラスにもマイナスにも働くということだ。たとえ直接のやりとりをしなくても、混んでいる人気店で食べると、何となくおいしく感じる。家族や友達と食べたほうが同じ料理でもおいしく感じるのもこのためだ。

また、一緒に食べる人の行動も味の感じ方を左右する。デューク大学のロビン・タナーは、2人1組のペアに魚の形と動物の形をした2種類のクラッカーを試食させる実験を行った。ペアのうち1人は仕掛け人で、魚の形のクラッカーばかりを食べる。すると、ペアのもう1人も魚の形のクラッカーばかりを食べた。さらに、味の評価についても、多く食べた魚の形のクラッカーをおいしいと評価することが多かった。つまり、人は知らず知らずのうちに一緒にいる人の影響を受け、誰かがおいしそうに食べているのを見れば、おいしいと感じやすくなるのだ。

チャプター4!感情とお金の心理法則

その1!打ち消し効果

人は、相反する感情を同時に味わうことはできない。たとえば、怒りの感情がわいたら、それと反対の感情をぶつければ、怒りは消えてしまう。これを「打ち消し効果」という。

ポツダム大学のバーバラ・クラーエは、実験参加者をわざとイライラさせた後、半数には椅子にきちんと座ってもらい、残り半数はリクライニングの椅子にリラックスした姿勢で座ってもらった。すると、体をくつろがせたグループのほうはイライラ感が減少した。

日常生活や仕事でも心が穏やかではない場面に出くわしたら、意識的にくつろいだ姿勢をとるようにしよう。そうすれば、イライラが消えてくれるかもしれない。

その2!お金はモチベーションの源泉

モチベーションアップにもっとも役立つのは、当然のことながらお金だ。ミネソタ大学のキャサリン・ボーズは、実験参加者にバラバラのアルファベットを与えて、正しい単語をつくる作業を行わせる実験を行った。あるグループでは「MONEY」や「SALARY」といったお金に関連する単語をつくらせ、他のグループではお金にまったく関係ない単語をつくらせた。作業開始からギブアップまでの時間を調べたところ、お金に関係する単語をつくったグループのほうが粘り強く作業を行う結果となった。

今日はやる気が出ないというときは、お金持ちになるイメージをしたり、労働の対価を計算してみたりして、お金のことを考えるとモチベーションアップにつながるだろう。

その3!質は量から生まれる

おもしろい企画やいいアイディアは、量から生まれることが少なくない。かの有名な作曲家モーツァルトは35歳で死去するまでに600曲を作ったといわれる。ベートーベンも650曲、バッハは1000を超える曲を生み出している。ただ、それらがすべて傑作というわけではなく、今日でも聴かれている曲は一部にすぎない。ピカソも生涯で8万点以上の絵を描いたといわれるが、それだけ膨大な量の絵を描いたからこそ、いくつかが高い評価を得たと考えることもできる。

要するに、大切なのはいきなり質を求めるのではなく、まずは量をこなすことだ。その過程でオリジナリティが生まれたり、質の高いクリエイティビティが育まれたりする。それまで飽きずに継続することもポイントだといえるだろう。

その4!お金持ちほどよく働く

「遊んでばかりで仕事をしない」、お金持ちに対してそんなイメージをもつ人は少なくない。しかし、実際にはお金を稼ぐ人ほど労働時間が長いことがわかっている。

マサチューセッツ工科大学のドラ・コスタは、1890年から1991年の所得と労働時間の関係を調査した。すると、1890年代にはもっともお金を稼ぐ人たちが、もっとも労働時間が短かった。しかしそれが1973年までにお金を稼ぐ人とそうでない人の労働時間の差は小さくなっていき、1991年にはもっともお金を稼ぐ人がもっとも働くようになった。スティーブ・ジョブズは1日18時間働いていたといわれる。寝食を忘れるぐらい仕事にのめり込んで働く人が、お金持ちになるのだろう。

その5!幸せになるお金の使い方

人は時間を節約するためにお金を使うと、幸せな気分になれる。ハーバード・ビジネススクールのアシュリー・ウィランズの調査によると、人は時間を節約することにお金を使った日にはハッピーな気分になれる。徒歩ではなくタクシーを使う、自炊ではなく外食するといったように、時間を有効活用するためにお金を使うと、幸せな気分になれるのだ。忙しいと悩んでいる人は、時間の節約につながるサービスはケチらずに、積極的に利用したほうがQOLを上げられるはずだ。

また、他人のために使うお金も、幸福度を高める効果が期待できる。カナダにあるブリティッシュコロンビア大学のララ・アクニンは、世界中の23万人に、直近1か月の募金の有無と人生の自己評価を聞く調査を行った。すると、国の経済レベルに限らず、他人にお金を使う人ほど人生の満足度が高いことがわかったのだ。友達にプレゼントしたり、旅行でお土産を買ったり、他の人のためにお金を使うことは自分のためでもあるということだ。

総評

本書に登場するトピックはどれも、明日から試したくなったり人に話したくなったりするものばかりです。
たとえば、気温が上がると黒い車が売れなくなる、晴れた日には株価が上がりやすいなどのネタは、機会があれば誰かにこの知識を披露してみたくなりますね。
ビジネスや日常生活の課題解決のヒントを得られるだけでなく、日常会話や商談時のネタ集めとしての活用余地も大きいです。
文体も堅苦しさもなく、さらっと読み進められる。1日1ネタ読んでそれを実践してみたり、人に話してみたりすれば、本書のよさを最大限に引き出すことができるはずと感じました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?