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妊婦とエロス。

一年前、私は妊婦だった。

妊婦になると、知り合いからも知らない人からもあれこれ助けてもらえることが多く、人々の優しさに有り難みを感じることが殆ど。
一方で突如話題に上がるようになったのが、性の話。(具体的には営みの話だけど)

女性からは大半、いつ生まれるの〜性別はどっちなの〜何ヶ月なの〜といった当たり障りのない質問をされるが、中には「私は排卵日狙って頑張ってた」とか「まーもう今は妊娠するための行動がないからね」など、おっぴろげて話してくる人がいた。しかも、これまでたいしてプライベートの話をしてこなかった人に限ってなのが、謎だった。

印象的だったのが、5年来通い続けている担当美容師の男性。彼は40代の既婚男性で子供も2人おり、日頃から家族の話も多く、まぁ子煩悩なんだろうなと受け流していた。
彼に妊娠中であることを話すと、おめでとう!と笑みを浮かべていたけど、その数分後に彼が 話してきたのは奥さんとのレス話だった。
要約すると、自分はしたいのに奥さんは性欲が無くて相手にしてもらえないといった話。今この話を私に話せると思った動機はなんなんだろうと、不思議だった。

『妊婦=やることやってんね=エロ話OK』

ていう構図かなと、当時は解釈した。
(うちは医療の手を借りてるので実際にはこの構図に当てはまらないけれど)

自分自身はこの構図がよぎったことがあるのかと自問すると、正直あると思った。
下世話な話は持ちかけないけれど、妊娠報告を聞いたり、街でまったく見知らぬ妊婦さんを見かけると、へーこの人もエッチしたんだなーて刹那的に感想を抱いている所はある。

妊婦時代の私はこの構図を受け入れ、楽観的に捉えていた。質問ある人どんときなさいって感じで、ある種お悩み相談を受けているような感じで、楽しんでいたのかもしれない。

妊婦じゃなくなってからは、パタリと話を持ちかけてくる人はいなくなった。産後の女性からは、エロスは感じないようだ。
それはそれで、少し残念。





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