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これからの計画論の条件(10)参加プロセスによる合理性

10.参加プロセスによる合理性
 これまでの計画論における、計画する側ー計画される側の「能動ー受動モデル」では、その計画の理想的な状態としてつぎの3Cが考えられていました。(ほんとうにプランニング系の人たちは「C」が好きですね。)
 能動ー受動モデルの計画の理想形としての3C:
 Comprehensive(包括的な)
    Continuous(連続的な)
    Coordinated(調整された)

 つまり、計画が上の3つの状態になるようにプランすればきっとうまくいくはずだと考えたわけです。計画を立てた段階でそれが「正しい」「合理的」とまあみんなで判断して実行に移すわけですが、結果として失敗したらどうするのか?それはたぶん上の状態ができていなかったからと事後的にプランナーは反省するわけです。あくまで計画する主体は能動的なプランナーにあるので、成功と失敗の責任は負わなくてはいけません。合理性が事後的にしか判断できないのは仕方がないにしても、計画される側の不満はプランナーに向けられるわけで、(市場原理的にいえば失敗した後に淘汰されるからよくて、大阪なんかでもまず改革をやらせろ、失敗したらそのあと選挙で落とせばいいだろという論理でしたが)失敗した事実は厳然として残ります。
 それではどうすればプランをより「合理的に」実行にうつせるのか?マーケティングでいえば、どうすれば「顧客満足度」を上げれるのか? そこで考えられたのが、計画段階で計画される側もステークホルダーとして巻き込んで、いっしょにプランを作っていけばいいのです。その理想形がつぎの3Cです。
 ステークホルダーモデルの計画の理想形としての3C:
 Collaboration(協働)
    Cooperation(協同)
    Consensus(同意)

 各ステークホルダーの相反する利害や要求の調整も、従来のモデルでは個別にプランナーが行いましたが、今度の場合は最初から同じテーブルにいるので調整も楽になります。なによりも計画の最初から参加しているので、その計画責任(結果の成功・失敗)も共有されます。まあプランナーの責任回避というか、失敗した場合の共同責任化ともいえます。成功した場合、受け手・顧客の満足度も高まるでしょう。
 つまり民主主義的決定においては、手続きの民主制の確保がその正当性を保証するように、計画の正しさというか合理性は、参加プロセスが合理的であれば担保されるということになります。ただし、きちんとフェーズを分けて、各段階ごとに合意形成をしてくプロセスが重要になってきます。こういった巻き込み型の計画論は「インクルージョン型」ともいわれ一般的な手法になってきました。このようにプランを、一方的にプランナーが作らずに参加型で作り上げていく場合の、プランナーの専門性・役割もまた変化していっています。それを次回に説明します。


 


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