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【義足の基礎知識】

 義足といっても切断部位によってさまざまな種類があり、特徴が違います。vol.022で取材した金子さんが使用する大腿義足は膝より上で切断した方が使用する義足ですが、ほかに以下のようなものがあります。

【下腿義足】
膝下から切断した人が使用する義足です。下腿切断は膝が残るため、断端に荷重をかけられない大腿切断とは異なり、義足を外しても膝立ちや四つ這いが出来ます。自分の膝が使えるため扱いやすい一方で、下腿切断は断端の肉付きが薄く、ソケット内に骨が押し当たってしまいやすくなるため、断端が痛みやすい傾向があります。
自分の膝が使えるため歩様も安定し、大腿義足や股義足と比べると、外見上気づかれることはあまりありません。

【股義足】
股関節離断や骨盤の一部まで欠損した人が使用する義足です。臀部まで覆うソケットをベルトで腰に固定し、腰から足を振り出すように歩きます。股関節と膝間接の2箇所を制御しなければならないので扱いは難しく、体力的に義足で歩くことを断念してしまう人もいるようです。


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【義足の基礎知識】
自分の膝が使える下腿義足以外は、関節も義足になります。義足の関節は人間の膝のように曲がった状態で踏ん張りがきかないので、義足側に体重がのった状態で膝が曲がるとそのまま転倒してしまいます。また当然ながら足裏の感覚がありませんので、何かを踏んでも気づきにくく、満員電車の中で人の足を踏んでしまっていたのに気づかなかった、ということもしばしばあります。

また本紙でもご紹介しましたが、足首の角度は基本的に固定されていて、動きに合わせて稼働する仕組みにはなっていません。靴のかかとに合わせて角度を調節できる機構はオプションとなっており(※この機構もかかとの高さを調整できるだけで、動きに合わせて稼働するわけではありません)、「仕事などでかかとの高い靴を履く必然性がある」などの理由がない限り、固定式の足首を使用することになります。

膝の回転機構ターンテーブルは、靴の脱ぎ履きや室内で床に座る時などに使用します。膝を曲げた状態で膝より下を水平方向に回転させ、あぐらをかいたり靴の脱ぎ履きの姿勢を取るために使用します。

現在の義足は、断端にシリコンライナーを被せてソケットに挿入し、ソケット内の空気を抜くことで断端に密着させて履きます。
健足に比べ運動量が少ないため、断端の筋肉は落ちやすく足が細くなりがちなため、ソケットのサイズが合わなくなると歩いている時に密着が緩み、義足が抜けてしまうことがあります。またサイズが合っていても、足を強く振るとやはり抜け落ちてしまう場合があります。

歩くことはできても、やはり健康な自分の足と比べれば不安定なものです。本紙でもご紹介しました通り、階段や坂道、自転車や車の運転など、さまざまな場面で注意が必要となります。人混みや満員電車にくわえ、エスカレーターの片側空けで後ろから登ってくる人にぶつかられただけでも転倒してしまう危険性があるほどです。
見た目ではなかなか気づくことのできない義足使用者ですが、知っていれば「もしかしたら気づかないだけで、こういう人が身の回りにいるのかも」と想像できます。想像するだけでも、きっと日々の行動に変化がうまれるのだろうと思います。


今回はここまで。
次回から未公開インタビューを順次公開していきます。
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