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アンデルセン童話『人魚姫』令和考

こんにちはこんばんは。ご覧頂きありがとうございます。

ひとり娘に毎晩読み聞かせをしています。その中でも人魚姫はヘビロテの殿堂入り。
子どもの頃何気なくそのままの意味でとっていた童話ですが、何回も読むうちに「待ってソレ見方変えたらこういうこと?」という箇所が増えてきたので書いておこうと思います。

人魚姫、オメー妖怪だったよな?

王妃を失って久しい男やもめの人魚母君に6人の娘の教育をして貰っていた。人魚姫の姉妹は1歳ずつ年齢が異なり、毎年1人ずつ海の上に行った。末の姫は15歳の誕生日にのぼった海の上で船の上にいる美しい人間の王子を目のあたりにして恋心を抱くが、その夜の嵐で彼の乗船した船は難破し、王子は意識を失って海に放り出される。』(Wikipediaより『人魚姫』)

今でこそキラキラのウロコに輝く美少女として絵本には掲載されていますが、人魚姫は妖怪で言うところのセイレーンです。 セイレーンは漁夫たちを歌声で誑かし海に引き摺りこんで襲う妖怪です。
王子の船が転覆した原因って人魚姫が海上に上がったからでは?
また、人魚姫の姉妹は全員年子で1人ずつ海上に上がったということは、1年に一度は大きな海難に苛まれていたというメタファになっているようにもとれます。
人魚姫は、好きになった男を『人魚』として手に入れるのでは無く、『人間』として奪おうと海の魔女に加担します。

王子、正気か?

何とか人間の脚を手にいれ(言い回しおもしろくなりましたね)、王子に助けてもらった人魚姫でしたが、隣国を王女と婚約してしまいます。浜辺に打ち上げられた王子を助けた、というのが理由でした。
「ちがう!王子様を助けたのは私なんです!」
そう訴えようにも、人魚姫の声は脚と引き換えに魔女に奪われたまま、何も出来ずに結婚式の準備が進められていきます。
…王子様を嵐に巻き込んだのアナタの可能性は捨てきれないですけどね。もっと言うと、王子、一度自分の誕生日パーティーを船上でやって、嵐に見舞われて死にかけてるのに結婚式も船でやるんですか?学習能力ないパリピか?もっと慎重になれよと言いたい。
一国の王にならんとしている者の危機管理や如何に。
人魚姫も婚約者の王女様も目を覚まされてはどうかとご進言したい次第です。
その後、人魚に戻る方法として王子殺害計画を姉たちが持ちかけます。しかし、人魚姫は実行せず、海の泡になって消えていくというのがラストです。
終盤でこのように髪を魔女に捧げた短髪の姉たちがそろって海上に現れるのですが、この時嵐は起きてないことをみると、嵐を引き起こす力とか人魚の魔力は髪に宿る設定だったのかなと思いました。

終わりに

自己犠牲の悲恋の異類婚姻譚ではありますが、冷静に読むと王子のヘッポコぶりに嫌気が差し、また、別種族の姫君と結婚なんてやめといて大正解じゃないかなという結論に達しました。学習しない王子が王様になってしまったかもだけど、王子の一国は少なからず魔物と結婚するなんていう前代未聞の不祥事は免れました。それは人魚姫の国も同じこと。
冥婚も異種間婚も、上手く行った例は片手で数える程しかありませんから。

参考文献 アンデルセン童話『人魚姫』

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