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今日も元気に現金輸送 検定2級応援ブログ~(4)「資質の向上って何だ?」

▢資質とは生まれ持った才能、それで?

「資質の向上を図る」とは「生まれ持った才能を意図的に教育を受けたり、訓練することで高める」という意味があるのは皆さんご存じかと思います。

さて唐突ですが、警備業法は警備会社と警備員に対して、「資質の向上」を求めていて、それらを成文化しています。

「資質の向上」って、どうすればいいの?ってことですよね。


(警備業者等の責務)
第二十一条 警備業者及び警備員は、警備業務を適正に行うようにするため、警備業務に関する知識及び能力の向上に努めなければならない。

2 警備業者は、その警備員に対し、警備業務を適正に実施させるため、この章の規定によるほか、内閣府令で定めるところにより教育を行うとともに、必要な指導及び監督をしなければならない。

それは、警備業務を適正に行うように、警備業者と警備員に対して、「警備業務に関する一定水準以上の専門的な知識及び能力」の取得に対する努力義務を定めたものでした。それが第二十一条の第一項になります。

第二項では「警備業者」に対して、はっきりと「警備員」に対して教育を施す義務があることを明らかにしています。

じゃあ具体的にはどうすればいいの?という疑問に対して、警備業法施行規則第38条で詳細に定めています。概略を言いますと

〇警備業務の区分に応じて行う教育事項や教育時間数などが決まっている
〇教育受講者の従事経験や検定資格保有状況によって減免される

ここでは細かい時間数などは省略させていただきます。長くなりそうなので。

▢他にもあるぞ資質の向上


(警備員指導教育責任者制度)
第二十二条 警備業者は、営業所(警備員の属しないものを除く。)ごと及び当該営業所において取り扱う警備業務の区分ごとに、警備員の指導及び教育に関する計画を作成し、その計画に基づき警備員を指導し、及び教育する業務で内閣府令で定めるものを行う警備員指導教育責任者を、次項の警備員指導教育責任者資格者証の交付を受けている者のうちから、選任しなければならない。ただし、当該営業所の警備員指導教育責任者として選任した者が欠けるに至つたときは、その日から十四日間は、警備員指導教育責任者を選任しておかなくてもよい。
3 警備員指導教育責任者資格者証の交付は、警備業務の区分ごとに行うものとする。
8 警備業者は、国家公安委員会規則で定める期間ごとに、警備員指導教育責任者に選任した者に、公安委員会が国家公安委員会規則で定めるところにより行う警備員の指導及び教育に関する講習を受けさせなければならない。
注 2,4~7項は省略

(ざっくりとしたまとめ)
〇営業所ごとに警備員教育に対しての責任者制度を制定
〇責任者が選任できない期間は14日間の猶予を設けた
〇警備業務の区分(3号警備なら3号)の指導教育責任者証を交付
〇責任者は一定期間の講習を受けなければならない

⇒警備員の資質の向上の為に教育をする責任者を選任している

(検定制度と資格者配置)
第二十三条 公安委員会は、警備業務の実施の適正を図るため、その種別に応じ、警備員又は警備員になろうとする者について、その知識及び能力に関する検定を行う。
4 公安委員会は、第一項の検定に合格した者に対し、警備業務の種別ごとに合格証明書を交付する。
注 2、3、5、6項は省略

第十八条 警備業者は、警備業務(第二条第一項第一号から第三号までのいずれかに該当するものに限る。以下この条並びに第二十三条第一項、第二項及び第四項において同じ。)のうち、その実施に専門的知識及び能力を要し、かつ、事故が発生した場合には不特定又は多数の者の生命、身体又は財産に危険を生ずるおそれがあるものとして国家公安委員会規則で定める種別(以下単に「種別」という。)のものを行うときは、国家公安委員会規則で定めるところにより、その種別ごとに第二十三条第四項の合格証明書の交付を受けている警備員に、当該種別に係る警備業務を実施させなければならない。

(公安委員会が)
⇒警備員に対する検定試験を実施する
⇒検定合格者に対して合格証明書を交付する。
(警備業者は)
⇒警備業務に関して資格者配置が定められている。

(ざっくりとしたまとめ)
〇専門知識を習得させるため、検定試験を実施して、合格証明書を交付するようにした。「警備員って資格がいるんですか?」と、時に尋ねられる時があるが、「要ります!」と答えておきましょう。
〇警備会社は、警備業務に即した有資格者を従事させる。3号なら1コースに1人の有資格者

⇒専門知識を習得した警備員が従事するようにした


(検定が行われている種別は現在の所6種類)
㋐空港保安警備業務
㋑施設警備業務
㋒雑踏警備業務
㋓交通誘導警備業務
㋔核燃料物質等危険物運搬警備業務
㋕貴重品運搬警備業務

(例題)
警備業務には「保安警備業務」、「機械警備業務」などがあり、いずれも有資格者の配置が義務付けられている。

(答え)
⇒×
保安警備業務はない。機械警備業務も現在は施設に含まれる。身辺警備もない。

(公安委員会が合格証明書の交付を行わない条件)
〇18歳未満の者
〇警備業法第3条第1号から第7号までのいずれかに該当する者
〇合格証明書の返納を命ぜられ、その日から起算して3年を経過しない者

(検定合格証取得の為に以下の二つの方法がある)
〇都道府県公安委員会が行う学科試験及び実技試験を受験する方法
〇国家公安委員会の登録を受けて行われる登録講習機関が行う講習を受講     し、その過程を修了すれば、都道府県公安委員会が行う学科試験及び実技試験を免除される方法

⇒自動車免許取得の「一発検定」か、「自動車教習所」に通うかの違いのイメージです。

(検定の合格証明書の携帯等)
合格証明書は、関係人(警察官、顧客)の請求があるときはこれを掲示しなければならない

(例題)
合格証明書は警備業協会の請求で掲示しなければならない
(答え)
⇒×


▢本日の結論

警備業界の黎明期(1962~1972頃)に、あまりに警備業務を誤解していた警備員が多数いた為に、警備業法は制定されました。

誰もが自分たちのやることを完全には把握しておらず、手探りの状況だったのかもしれません。自分の利益に走るもの、警察官に憧れていたもの、嘘をつくもの。などといろいろな人たちが働いていたのでしょう。

業界はいい方向にも、悪い方向にも拡大していく時期で、様々な弊害が無視できない状況になり、国は規制をかけざるを得なかったのです。一部、違法行為を繰り返す警備会社の問題が国会で議論されたこともありました。

その結果生まれたのが警備業法です。

そして今日の内容は、警備員の資質を向上させる目的と、その手段の方法を成文化した内容に触れたのでした。


▢細かい話ですが ~その4


法律用語の解説とまではいきませんが、法律の理解の手助けになれば思いまして用語のまとめをしておきます。

国家公安員会と公安員会の違い
⇒国家公安員会は「警察庁」(前項苦の警察の監督官庁)を管轄
⇒公安員会は「都道府県警察」を管轄

法律の序列
憲法>法律>法令>政令>内閣府令>省令>条例>規則 
⇒憲法が最上位序列

直ちに、速やかに、遅滞なく の意味の違い
3つとも「すぐに」という意味だけど
直ちに>速やかに>遅滞なく
⇒直ちにが最上位序列

※注意
警備業法第21条の「内閣府令」とは、「警備業法施行規則」を指す



今回はここまでにさせてもらいます。法律の条文ばかりで、書いてる私も少し苦痛でしたが、読んでいる皆さんも面白くなかったかもしれませんね。お疲れさまでした。










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