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謎のGOTY受賞作バルダーズゲート3は私の猜疑心を一発で打ち据えた

2023年12月7日
その年の優れたビデオゲームに賞を贈る「The Game Awards」が開催
2023年は「Baldur's Gate 3」がゲームオブザイヤーをはじめ6冠を受賞した


「ハァ~ッ?バルダーズゲートォ?しらんのだがァ~???」
「なんか知らない…日本未発売のゲームが大賞受賞…認めないぞこんなの…!なんか知らないアメリカの有名作だからって…どうせ大量のマネーを積んで大量の人を雇って無理やりAAA級だなんだって超大作なんだろ!
それで更に追いマネーしてゲームオブザイヤーに入賞させたに違いない!
ハァ…ハァ…私は詳しいんだ…私の目の黒い内は好きにさせないぞ…!」

というクソみたいな偏見が心の片隅にほんのちょっぴりだけある中、私はGOTY受賞作というその権威に負け(ちょろい)、思わずSteam版を購入してプレイしたのだったッ!
そして5日後───

5日でプレイ時間27時間

完全にハマって完徹までして遊び続けていたのだった!!!!バカッ!!!

※本記事のスクリーンショットに表示されている日本語字幕は有志翻訳MODによるものであり、公式の日本語版とは内容が異なります


そもそもバルダーズゲートってなに?

GOTYのニュースを見て最初に思ったのはこれ。世界観もシステムも何も知らないのだった。

ダンジョンズ&ドラゴンズ第5版をベースとしており、シャドウ・オブ・アムンから120年以上経過した1492年を舞台にしている。

Wikipediaより

ダンジョンズ&ドラゴンズ!なるほど!ダンジョンズ&ドラゴンズか!
…ダンジョンズ&ドラゴンズ…って何…?
なんかTRPGなのは知ってる…友達とルールブックが必要で…シートに記入して…サイコロふって…ってやつだろ!友達いないからやったことないよ!

本ゲーム自体は完全なターン制のRPGであり、日本人から見てもアメリカ人から見てもかなり古式ゆかしいゲームという雰囲気がそこここにある。

なんかこういう…すごいなつかしさのあるUI!

基本は見下ろし視点だが、NPCとの会話では今風な構図になる。キャラの演技がしっかりしてるので会話シーンはかなり見応えがある。

こいつはやたらエロい吸血鬼男性

そしてどうやら、「バルダーズゲート」とはダンジョンズ&ドラゴンズの舞台となる「フォーゴトン・レルム」のいち都市の名前であるらしい。なるほどなるほど。ダンジョンズ&ドラゴンズ…
そういえば最近、それって映画化されてなかった?

おまえは今すぐ『ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り』を観にいけ

早速アマゾンプライムに駆け込むと

実際は100円で見られたよ

あった!これだ!逆噴射聡一郎先生もオススメしてたやつだ!

というわけで見た!!そ…そして
全てがわかった…セクシーパラディン…肥えたドラゴン…オウルベア…。
いやもうとにかく最高の映画で最高の仲間達の絆、諦めない心、冒険、チャレンジ、(恐らく)DnDの全てが詰まったかのような最高の映画だったので予習とかどうでもいいからこれだけでも観ろ!という内容だった!
これで世界観や雰囲気はバッチリ予習できる!オススメ!

で、どういうとこがスゴイゲームなのよ?

何が優れているのかと言われれば、それはやはり「自由度」の一言に尽きるだろう。
だが勘違いしないでほしいが、まずこのゲームはオープンワールドとかではない。家を建てたり畑を耕したりもしないしそういう自由さはない。最新の物理演算がどうとかそういう方面でもない。

ここでの「自由度」とは、冒険におけるトラブル解決、その選択肢の多様さのこと

例えばゴブリンの拠点に捕まってる人を助けるとして…
ゴブリンたちを説得するか?脅すか?そもそもゴブリンに見つからないように進むのか?暴力を行使するのか?戦うならどうやる?

ここに書いた以上に複雑かつ自由な選択がプレイヤーに委ねられる

ゴブリンの頭領と話がついたので個室に案内してもらって話を…
というところで背中をブッスリ刺して必要なものをゲット!とかもできてしまう。

このシーンではゴブリンの拠点にいる全員に見つかるという大ヘマをしたのだが、高台に退避したあと登れるはしごを破壊(!)して敵が来れないようにして上から弓チクで勝利を収めた。

そして攻撃を含むあらゆる会話の説得、スキル判定はダイスロールで判定される!これが最高に面白い!
ダイスの出目だけなら完全に運だが、スキルやステータス、装備品の効果などで数値を加算し成功確率を高めていける。この運を研ぎ澄まし可視化していく様が最高に面白く、成功判定にたまらない快感を与えてくれる!

緊張感抜群の戦闘に手に汗握る思考型RPG

戦闘も通常難易度なら初戦から「え…死ぬんじゃないの…?」と汗をかきつつプレイすること必至だろう。とにかく回復アイテム、回復魔法とHPなどのリソース管理が「ギリギリ勝てる」ぐらいの絶妙な調整をされており一手一手を詰将棋のように慎重に進めていくのがたまらなくイイ。

パッド操作時の画面、パッド操作もかなり最適化されていて安心だ

地の利やスキルの相乗効果を考えれば相手が多勢や格上であって消耗なく勝利することもでき、その時の快感は筆舌に尽くしがたい!

敵は倒すと二度と復活せず、こちらの回復リソースもゲーム全体から見れば有限。一瞬一瞬全てが取り返しの付かない要素の中で判断力と決断力で自分だけの冒険を切り拓く楽しさがそこにはある!

NPCやオブジェクトが徹底的に作り込まれた丁寧な世界

そしてすごい丁寧。全てが丁寧。その辺にある木箱や椅子、全てに干渉できる。移動させたり壊したりも自由。上記で書いたけど登れるはしごを壊したっていい。その後ジャンプで飛び降りて死ぬのも自由だ。
丁寧な世界なので当然全てのNPCときちんと会話できる。人どころかその辺のネズミにも話しかけられる。ただし命の保証はない。

オウルベアもとてもかわいい。だが絶対に敵対してはいけない

更に仲間になるキャラクターはどれも個性抜群の濃い連中ばかり。彼らにもかなり濃密なバックグラウンドや性格が設定されており、キャラメイクが面倒なら仲間たちのいずれかを最初に主人公として据えることもできる。

そしてもちろん!この手のゲームにありがちなロマンス要素もガッツリ備えている!!やったぜ!!私のお気に入りはラエゼルちゃん!

血の気が多い根っからの武人だ!カワイイヤッター!

どういう人にオススメ?

ざっと箇条書きにするとこう!

・TRPGに興味あるor経験者
・タクティクスオウガほかSRPGが好き
・世界樹の迷宮ほかアトラス製RPG好き
・Falloutシリーズの攻略の自由度が好き
・ボードゲームが好き
・回復アイテムやMPなどのリソース管理が好き

そして勘違いしないでほしいこと!

・RTSではない
・ディアブロみたいなゲームでもない
・ハクスラ要素とかもない
・敵は一度倒すと復活しない(すべてのリソースが有限)
・DnD世界なのでファンタジーなのに宇宙的恐怖とかSF要素がある

あと個人的に周囲には「アークザラッドみたいなゲームだよ」と言って説明しているのだが、年代的に分かる人が少ない!

困難を乗り越えた先に金銀財宝!なんてことも!冒険の醍醐味!

2023年、BG3がゲームオブザイヤーに選ばれたことについて思う

知らないうちは勝手な妄想で憤っていたのだが、実際に遊んで思うことはこのゲームは素朴な面白さが輝きを放つゲームなのだということだった。
昨今のモダンさや豪奢さとは無縁の、ただただ昔ながらの遊びの面白さを大切にしたゲーム。問題に対する解決策の提案に徹底してゲームシステムで応えるリアクションの豊富さ。
それはゲームの根本にある面白さであり、自由な想像力と冒険心を尊ぶ開発スタッフの姿勢にただただ感謝なのだった…。
他のゲームが劣っていたということでは決して無く、2023年にこのクラシックで遊びの原体験を讃えた作品がゲームオブザイヤーに輝いたというのは、とても意義深いことだと感じ入るのだった…ゲームの未来は明るい…。


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