小説「for」 注釈9 チャーリー・パーカー

チャーリー・パーカーはアメリカのアルトサックス奏者。モダンジャズの扉を開いた真の天才。「未だにパーカーのようには誰一人として吹けない」と山下洋輔氏が発言していたのは誇張ではなく歴とした事実。ビバップをディジー・ガレスピーとともに提唱し、深化させ自らの手で息の根を止めたように見えるその演奏の記録は今聴いても全く色褪せることはない。惜しむらくは録音状態が時代の産物で一様に悪く、そのせいで今の聴衆にはある種の判断の障害になるのは致し方がないが、それでも全ての音源を聴くに値する恐るべきアルト。
パーカーが居なければコルトレーンも居なかったし、ロリンズも居なかった。高弟のマイルスはジャズの帝王にはなっていないし、ドルフィーも、コニッツも、、、とにかくそういう圧倒的な存在で書き換えられることは無い存在として永遠に君臨する。
あまりに凄すぎて書くことが多すぎるのと同時に何を書いてもその価値を表すことが出来ない。

 パーカーの愛器で最も有名なのはconn。マイクロ・チューニング・デヴァイスをネックに持つ美しいフォルムの楽器。或いはking。名盤のマッセイホールでは自分の楽器がなかったからオーネット・コールマンで超有名なプラスチック製のアルト、グラフトンを使っていた。写真も見た記憶がある。
パーカーのNow's the timeをはじめとするスタジオ録音も素晴らしいが、サヴォイのロイヤル・ルーストをはじめ、ライヴの音源は音質がスタジオに輪をかけて悪いが、聴くべき演奏が多く残されている。

 ちなみにyamahaの前身nikkanの最初期の楽器はconnの完全コピーらしい。金型から全ての部品を起こして再現したと聞く。


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