心の杖言葉

禅語とは、禅家が使う言葉として紹介されるが、別の言い方をすれば、一瞬の「心の有様」を表したものだと私は考える。

それは人とし人の、生きた言葉。だから、自分次第で禅語の味わい方は変わる。

しっかりと自分自身と向き合うからこそ、気付ける味わいが禅語にはある。

気付けなければ、それで終わり。でも、言葉としては永遠に生きた言葉。

生きた言葉に出会うには、まず自分で自分を生かしていこう。

躓いて、苦しくて、挫けそうになっても、頂いた1度きりの人生だから、自分の足で歩むことを止めなければ、生きた言葉に必ず出会える。

今回、私は一冊の本を読んで、改めてそう確信した。

手前味噌だが、修行道場の先輩であり、現在も公私ともにお世話になっている東京龍雲寺住職細川晋輔和尚の新著

「迷いが消える禅のひとこと」

先日、手元にわざわざ届けて下さった。本当に有難い。


私事だが、今まで自分自身の転機を迎える機縁には、必ず細川和尚の存在があった。修行中も、自坊に戻って悩んでいる時も、恥ずかしながら布教師の試験を受けることに怖気ついていた時も、優しくも厳しく含蓄のある言葉をいつも掛けて下さった。本人は気付いておられないだろうが、どれだけ助けられたか分からない。

そんな自然と発される細川和尚の一言を思い返せば、いつも見て下さっていたのだと感じる。

その細川和尚が、厳選した“52”の「禅語」が、本人の観点から紐解かれ味わい深く、この著書には記されている。

著書の冒頭には、「よそいきではなく素足で読む禅」「この本で大切にしているのは「間」です」と書かれているように、それは、細川和尚の理解を押し付けるようなものでは無く、まるで詩を読んでいるような気分にさせられ、声に出して朗読したくなる衝動にまでなった。

細川和尚自身が、素足(丸裸の心)で実感し、めぐり合ってきた禅の心が、素直に一言一句に溢れている。

私個人、色々思い出しながら、一気に読んでしまった。

そして読み終えた時に、自分自身の在り方を考えさせられた。

同時に、心が軽くなっていた。

著書の最後は、こう締めくくられる。

「しあわせは、いつも目の前にある」

そして、「本書で、みなさんがこころ豊かに生きていくお手伝いを少しでもできたのでしたら、著者として、禅僧として、これほどうれしいことはありません」と。

細川和尚は、尊敬する先輩であるが、同じ禅僧でもある。そのことに、烏滸がましいが自分は悔しく思った。このままで私はいいわけがない。

この著書を通して、自分の足元を更に掘り下げる機縁を頂いたように思う。

そして、自分の一言を吐きつづけよう。何事も一歩進めないと始まらない。

皆様、是非ご一読いただきたい。

自分自身だけの禅語として味わって欲しい。

皆様の人生を、こころ豊かに生きていく.。

必ず、心の杖になる一冊です。

また、より一層禅語を味わい深くしてくれる挿絵が良い。

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