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Jordi Savall, la viole de gambe sur tous les sons

ヴィオラ・ダ・ガンバ奏者として、それ以外でも多彩な音楽活動をする、Jordi Savallさん。カタロニア出身で、所謂西洋の音楽だけでなく、様々な地域の音楽にも向けている音楽家です。ヴィオラ・ダ・ガンバの演奏にとどまらず、様々な活動をしていらっしゃる音楽家で、そんなSavallさんの音楽感、古い音楽への姿勢が垣間みれるインタヴューがありましたので、取り上げてみたいと思います。著作権の問題もありますので、訳は一部分のみにとどめています。

http://culturebox.francetvinfo.fr/jordi-savall-la-viole-de-gambe-sur-tous-les-sons-40039

動画はこちらから見られます。音楽フェスティバルの告知も兼ねて出演されたのですが、アナウンサーの無茶振りもあって古楽とは、音楽とは、という方に話が進んでいます。演奏もあります。時間の制約でじっくりと話ができている訳ではないのがやや残念ですが、Savallさんがどういう考えで音楽と、特に古い音楽と向き合っているかを伺い知るきっかけにはなります。

・アナウンサーによるSavallさんの紹介。(省略)
・アナウンサーとSavallさんによるCDの紹介、バロックフェスティバル、公演の説明(省略)
・アフガニスタンの古いルバーブ楽器(オリジナル)の紹介(省略)

アナウンサー「あなたの音楽は成功しているにも関わらず、メディアに取り上げられる機会は少ないように思います。そういった公衆の興味について意外に思いますか?」と質問したのを「Tous les matins du mondeの映画にSavallの音楽が使われて映画は大ヒットした割には音楽がメディアに取り上げられる機会は少ないのを意外に思うか。」の意にSavallさんが理解したところから話が始まります。その前に映画の話が出ているのですが、アナウンサーのこの質問自体には映画との比較は触れておらず、古楽がメディアに取り上げる機会が少ないことのみを訊いています。ただ、その質問の背景には映画や他の芸術との比較があるのでSavallの理解が正しいかもしれません。

いずれにしても、その質問に対してSavallさんは、映画は現代を代表する素晴らしい芸術であることを説明し、その映画によって、そこに含まれる音楽が紹介される機会となったことを説明しています。(要約)

続いてアナウンサーが「あなたの音楽を聴いていると時間が止まったかのように感じますが、あなた自身はあなたの音楽と現代世界との差(ズレ)を感じますか?それとも、現代世界の一部分であると考えていますか?」と大きな質問を投げます。

Savallさんは「いいえ。音楽は、ある瞬間の音楽です。歌ったり弾いたりしたときにしか命が宿りません。音楽は、全ての芸術の中で最も現在的なものです。記憶の芸術なので、例え非常に古い音楽でも、今日演奏することにより、今日の音楽になります。トランスフォームするのです。我々は歴史上の大音楽家ではありません。我々が経験し、感じたことを音楽に織り込みます。」

アナウンサーはややしつこく「それは混合に対する言い訳でしょうか。つまり時代の混合です。」と返します。質問の本意が分かり難いのですが、古楽が古いものとして独立できないのではないか、それを現代の人が演奏するということに生じる矛盾なようなものに対する弁明なのではないか、という意図のように思います。

それに対し、Savallさんは、混合(metissage)は時代の混合にせよ、地域文化の混合にせよ、創造の源で、発想を豊かにしてくれること、全ての音楽の発展で見られたことをスペインと新大陸の文化融合の例を挙げて説明しています。

そして、次の公演の紹介、ルバーブの演奏で終わります。

Savallさんのの言う「音楽は記憶の芸術」というのは、知覚に関する意味(直前に聴いたものを記憶して、今聴いたものと合わせて、という認知科学的な意味)かという気もしたのですが、そうではなくて古い音楽を主に楽譜などの媒体で記憶(むしろ記録?)として伝えるという意味のように思います。ただ、記録とはいっても、録音として音を記録出来る様になったのは最近のことで、楽譜などの媒体で音楽を伝えることは、記録というよりも記憶を伝えるという方がしっくりくるのかもしれません。

その部分はフランス語では"La musique est toujours l'art d'un instant. La musique ne vie que quand on chante ou quand on joue. C'est le plus contemporain de tous les arts. C'est l'art de la mémoire, donc même quand je joue la musique très ancienne, en fait de jouer aujourd'hui, elle devient la musique d'aujourd'hui. On la transforme. Nous portons tout ce que nous avons vécu, et nous sentons aussi." と言っていると思います。

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