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日曜日の報告

 『ネズナイカのぼうけん』という本を読み終えた。<花の都>に住む小人ネズナイカは、他の小人の仲間達から、わんぱく嘘つき見栄張りと悪い印象で通っていた。ある日都の男の子の小人達は気球で冒険に出るが、墜落し散り散りになってしまう。墜落したのは女の子の小人ばかりが住む<みどりの都>。女の子達に看病されて元気になったネズナイカは、未だ他の仲間達が見つかっていないのを良い事に、気球を開発したのは僕だの、<花の都>では自分がリーダーだの、沢山の嘘をつく。一時は女の子達の尊敬を得たネズナイカだったが、次第に仲間達が見つかり、化けの皮が剥がれていく。そして全員の無事を祝うパーティーが<みどりの都>で開催される中、嘘つきがバレて仲間外れとなったネズナイカは、「ネズナイカのばかやろう」と落書きされた町外れの塀の前で、シクシクと泣くのである。泣く彼の元に<みどりの都>のハナカズラちゃんが歩み寄り、優しく言う。

「あんたは、人のいい、りっぱな子なのよ。あんたは、よくみせかけたかったのでしょう、だから、じまんをしたり、わたしたちをだましたりしたのよ。でも、もう、あんなことはしないでしょうね。しないですね。」
 
 正直でいる事の大切さを知ったネズナイカは、<みどりの都>の小人達の助けを受け、仲間達の輪に戻っていく。そんな話である。
 
 これは叔母(母の妹)さんが幼い頃に愛読していたソビエトの児童文学であり、この間祖父母の家に遊びに行った時に、面白いよと叔母さんに薦められたので借りてきたのだ。それにしても随分と読むのに時間がかかってしまった。予定では二三日で読み終えるつもりだったのに十日もかかってしまった。
 
 話は変わるが、母においでよと誘われたので、久しぶりに代官山の実家へ泊まりに行った。翌朝アルバイトへ行く妹を見送り、母と散歩をして近所のカフェでランチを共にした。母はアボガドトッピングのタコライスを、僕は大盛りのガパオライスを注文した。ビールも飲もうという話になり、揃って同じ外国のクラフトビールも注文した。銘柄は忘れた。ビールも飲むというのは想定外の事で、店を出る頃には、歩くのが億劫になる程の満腹になっていた。大盛りにしなければ良かったなと後悔した。腹ごなしに又少し歩き、新しく近所に出来たと言うコーヒースタンドでコーヒーを飲んでから帰った。アルコールが良く回った僕は帰って直ぐに昼寝をした。起きたら夕方になっており、母は台所で夕飯に自慢のドライカレーを作っていた。僕は、リビングで『ネズナイカのぼうけん』を読み終えてから風呂に湯を張り入った。上がってドライカレーを食べながら、母と大河ドラマを観た。アルバイトから帰って来た妹に挨拶をしてからお暇をする事にした。母が私に沢山の梅酒と冷凍肉を持たせてくれた。昨日はそんな日曜日を過ごした。