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黄土高原史話 by 谷口義介

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書き手:谷口義介(GEN会員) 研究分野は東アジア古代史・日中比較文化。寄る年波、海外のフィールドはきつくなり、いまは滋賀の田舎町で里山保全の活動。会報に「史話」100回のあと、…
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2024年5月の記事一覧

黄土高原史話<48>匈奴の使者は見破った by 谷口義介

 宮城谷昌光氏の『三国志』は単行本でいま第七巻目。劉備が蜀に入って、ようやく魏・呉・蜀鼎立(ていりつ)の形勢ができあがり、いよいよ佳境を迎えます。  そもそも三国志にはジャンルの異なる二種類あり。一は西晋の寿(じゅ)(233~297)によるレッキとした歴史書『三国志』、他はこれにもとづき明末・羅貫中(らかんちゅう)が小説化した『三国(志)演義』(16世紀)。後者は唐代後半(9世紀)からあった講談・戯曲の流れをうけて、グッと蜀びいきに舵(かじ)を切るが、その翻訳が元禄年間(1

黄土高原史話<47>寒い冬がやってきた by 谷口義介

 私事ながら、筆者が住んでいるのは滋賀県北部、琵琶湖と伊吹山に挟まれた地方都市。30年ほどまえ一戸を構えたが、文字どおり一階建ての陋屋(ろうおく)です。経済的事情もさることながら、生来の高所恐怖症とて、二階家だと屋根からの雪下ろしが恐ろしい。多い年には、優に1メートルを越すことも。視界が限られ恐怖感が薄らぐので夜に雪下ろしをするわけだが、平屋でも軒先近くでは脚がすくんだ。ところが、ここ25年ほどは、降った年でも約30センチ。家のまえの道路の除雪も、ずいぶん楽になりました。