黄土高原史話<48>匈奴の使者は見破った by 谷口義介
宮城谷昌光氏の『三国志』は単行本でいま第七巻目。劉備が蜀に入って、ようやく魏・呉・蜀鼎立(ていりつ)の形勢ができあがり、いよいよ佳境を迎えます。
そもそも三国志にはジャンルの異なる二種類あり。一は西晋の寿(じゅ)(233~297)によるレッキとした歴史書『三国志』、他はこれにもとづき明末・羅貫中(らかんちゅう)が小説化した『三国(志)演義』(16世紀)。後者は唐代後半(9世紀)からあった講談・戯曲の流れをうけて、グッと蜀びいきに舵(かじ)を切るが、その翻訳が元禄年間(1