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黄土高原史話 by 谷口義介

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書き手:谷口義介(GEN会員) 研究分野は東アジア古代史・日中比較文化。寄る年波、海外のフィールドはきつくなり、いまは滋賀の田舎町で里山保全の活動。会報に「史話」100回のあと、…
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2023年11月の記事一覧

黄土高原史話<30>「関市によって通商す」 by 谷口義介

 2000年の夏、大同郊外の地球環境林センターで前漢時代の土器片を拾い、大いに吹聴したのがそもそものきっかけ。編集子の耳にも入り、「3~4回の予定」と依頼されてスタート。埋め草程度の意味はあろうかと勝手に思い込み、その後も続けて満5年、今回で何と30回目。  読み返してみて、今更ながら気付いた点あり。「黄土高原」史話と題しながら、どこからどこまでと線引きしていない。面積ざっと52万平方キロ、日本全土の約1.5倍と、とにかく広大。何を目安に区切るかで、その範囲も違ってくる。基

黄土高原史話<29>文帝覇陵は未盗掘? by 谷口義介

 いま塀の中のH前社長、取調べ以外の時間はもっぱら読書、『史記』も差入れてもらったとか。おそらく、「貨殖列伝」あたりを熟読しているのでは。  つられて(?)当方、「酷吏列伝」を読んでみた。そしたら、何と  孝文園(文帝の陵園)の瘞銭(えいせん)(死者のため墓に埋める銭)を盗掘した者がいた。(小竹文夫・小竹武夫訳)  という記事に遭遇。  つまり前回、「文帝の覇陵は、過去に盗掘されたという記録はありません」と断言したのは、間違いだったということに。  そもそも、山西の田舎の殿様