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黄土高原史話 by 谷口義介

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書き手:谷口義介(GEN会員) 研究分野は東アジア古代史・日中比較文化。寄る年波、海外のフィールドはきつくなり、いまは滋賀の田舎町で里山保全の活動。会報に「史話」100回のあと、…
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2023年8月の記事一覧

黄土高原史話<20>歴史は先取りする? by 谷口義介

 高見GEN事務局長のメールマガジン「黄土高原だより」No.259は、題して「北京の水危機(3)」。中共大同市委の副書記に誘われ、その郷里の河北省平山県を訪ねた時の話です。  胡錦濤氏が中国共産党のトップに登りつめたのは02年11月ですが、最初の視察地として選ばれたのが平山県の西柏坡(せいはくは)。国共内戦中の47~49年の間、中共中央および解放軍総司令部が置かれていた処です。だから、胡氏の訪問に革命聖地詣での意味があったことは確かですが、高見さんは以下のように「勘繰り」ます

黄土高原史話<19>顔が長かったばっかりに by 谷口義介

 馬の顔が長いのは、目と口が離れていることにより、草を食べながらでも危険に対し注意が向けられるから。その結果、切歯と臼歯の間に10センチほどの隙間ができた(図)。それを利用して人間は、棒つまり銜(くつわ)(図)を噛ませ、その両端の輪に手綱をつけて操り、騎乗できるようになったわけ。B.C.4000年ごろのウクライナ、と推定されています。  B.C.3000年ごろ同じあたりで騎馬遊牧が成立、B.C.1000年ごろ騎馬の風習は西アジア一帯に広がり、軍事にも利用。遊牧騎馬民族として