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黄土高原史話 by 谷口義介

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書き手:谷口義介(GEN会員) 研究分野は東アジア古代史・日中比較文化。寄る年波、海外のフィールドはきつくなり、いまは滋賀の田舎町で里山保全の活動。会報に「史話」100回のあと、…
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2023年5月の記事一覧

黄土高原史話<13>華北に象がいた頃 by谷口義介

 適度に小さな地図がよいでしょう、中国の領域を黒く塗りつぶしてみると、雄鶏の形が浮び上ります。東北地方が頭で、トサカもついている。山東半島が手羽、西方の新疆ウイグル自治区が尻尾で、台湾と海南島が2本の足。首都の北京は、ちょうど喉元あたりか。  しかし形は雄鶏でも、中国はやはり巨象というべし。  ロシア、カナダに次ぐ広大な面積(日本の26倍)、複雑多様な自然的条件、今や13億を超す人口、90%を占める漢族のほか55(57?)の少数民族(90年時点で7万4934人の未識別民族もい