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社会人博士になりました 〜受験編〜

こんにちは。Genmai@トマト中毒と言います。なんでこんな名前にしたっけ?わかりません。2019年4月に社会人としてJAISTの博士後期課程に入学しました。いわゆる社会人博士です。その経緯をときどき人から聞かれるので、需要があるのかなと思いまとめることにしました。非才ゆえに駄文ですが参考になれば幸いです。

私のバックグラウンド

私は関西でロボット工学部に入学し、主に医用工学の分野で修士を得ました。その後、関東の電機メーカーに就職し今年で10年になります。会社では入社2年目まで光計測、その後画像検査技術開発を4年ほどやり、今はIoT屋として画像認識、回路製作、組み込みソフト開発などをやっています。

博士後期課程を検討したきっかけ

私は修士まで情報学系を出ておらず、現在の業務では知識不足が課題でした。そのため最初は都内にある某社会人向けのスクールを検討したのですが、ちょっとした車が買えそうなお高い授業料。諦めるしかないとぼんやり思っていました。そんな折、同期入社の友人2名が社会人として博士後期課程に進んだことを聞き、勉強だけでなく学位をとる道もあるのかと検討を始めました。

初めの第一歩

会社の廊下で博士進学した同期を捕まえ「俺も博士なりたいぃぃどうやったらなれるんよぉぉぉおお」と肩をわしづかみしました。今思うといい大人が何をやっていたのでしょう。ひどいものです。その後、友人達に相談した結果は「うん、無理」。1人は出身研究室に戻り、もう1 人は入学前から留学し研究をしていました。私は出身研究室が関西で遠いし留学もしていない。奴らはベースが違いすぎた。そして、そもそも普通に大学院生として入学しているので平日も大学に行っていました。私はそれは職場にNGを食らいました。平日は会社で働き、授業は土日で完結するという拘束条件をどうするか。それが課題でした。

それでも博士に進むには

土日で完結するためには特別プログラムが必要だ...。そこで検索すると、誰かが社会人向け特別プログラムがある大学をまとめてくれていました。まとめてくれた方、本当にありがとうございます。助かりました。神。

関東に住んでいる人は東工大、筑波大、JAISTの3校から選ぶことになるかと思います。とりあえず全部話を聞いてみようと説明会へ飛び込んだところ、情報系で土日授業、かつ研究実績のない私でもしっかり教育を受けて博士研究を進められそうな大学院はJAISTだけでした。JAIST、君に決めた!

そうだ、修士に行こう(え?

「いきなり博士、無理じゃない?」。説明会後、なぜかそう思うようになりました。この頃、私の周りに社会人特別プログラムで博士に行く人がおらず、相談相手がいませんでした。1人で悩んでいると、どんどん不安になっていきます。能力は足りるのか?分野違うんだけど?そもそも時間はどうやって作る?そうして不安が最高潮に達した時、博士後期課程に進むという心が折れました。それはもうポッキリ。そこで修士からスタートして博士まで行くプランを練り、やりたい研究を決め、担当教授になって頂きたい先生にアポをとりました。そうだ、ヨワヨワな私は修士からスタートしよう。それがいい。

「修士からはもったいないですよ」

最初の先生との面談は、これまでの仕事とやりたい研究をまとめたスライド、調査した先行研究の論文を手に臨みました。自分は分野外の人間であること、能力が低いこと、研究は10年ブランクがあること。全て先生に伝えたところ返ってきた答えが「CVPRの論文を手にやりたいことを伝えてくる人が、修士からはもったいないですよ」。その後、長期履修制度の存在や博士進学の現実、良いこと悪いこと、他の学生がどうかなど色々教えて頂き、博士後期課程を受験する決心をしました。この時点で2018年9月末。12月までに計画書を作成して願書を提出し、2月に受験することにしました。

願書提出と受験準備

願書に必要なものは色々ありますが、厄介なのは「これまでの業務まとめ」と「研究計画書」です。必要十分で、分かりやすく、論理的に説明書類を書く。しかも研究の意義や新規性、進歩性も主張する。考えて調べて考えて調べて考えて調べて考える。書いて直して書いて直して書いて直して書く。これを、平日の深夜や土日ずっと行なっていました。幸い、担当教授になって頂く先生が非常に良い方で、毎月面談しご指導頂けましたので願書提出時にはある程度形になりました。

受験当日まで

JAIST博士後期課程の受験は面接のみです。受験の面接で使用するスライドも先生から毎月ご指導頂きました。今もお世話になっていますが、先生には感謝しても仕切れません。私は先生に恵まれました。願書提出後は面接の日まで何度も練習しました。また、質疑応答で聞かれそうなことも、とにかく考えて1つでも多くの想定問答を用意することに注力しました。

受験当日

当日の面接はスムーズでした。しかし、1つだけ答えられない質問が。それは「あなたの業務のフィロソフィー(哲学)は何ですか?」。このよく分からない質問、研究では問われるものなんです。もちろん自分の研究に対して私は答えを用意していました。ですが、まさか業務で問われるとは。無いです。業務に哲学なんて無いです。個々の業務にあるのは収益を上げるという目的のみです。...しかし、そう言っては話が進まないので、研究と共通しているとして哲学を答えました。結果としては、非常に良い答えになったかと思います。

結果発表

シンプルな合格通知が届きました(写真はその一部)。4月入学なのに3月の後半まで届かなかったので、もしや落ちたかと不安で一杯でした。いや本当、入学ギリギリまで通知が届かないのは心臓に悪いです。おかげで食事しか喉を通りませんでした。

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最後に

このような経緯で私は社会人博士となりました。こうやって書いてみると当たり前のことしかやっていないようですが、大事なポイントは「仕事と家庭をしっかり営んだ上で受験準備をした」ということです。社会人は時間が本当になくて大変でした。まぁ、入学後の方がもっと大変でしたので、追々その話も書きたいと思います。

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