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子宮内膜症#6_治療と妊娠は両立しない

35歳のとき、子どもがほしいかどうかを考えてぶち当たった壁がこれだった。
当時私は独身で、恋人はいた。
後の夫である。

時を少し遡って30代前半。
30代になってから結婚願望はなくなり、結婚はどちらでもいいし、子どもは授かれればラッキーくらいに考えていた。
子どもでもできなければ私は結婚しそうにないから、授かり婚くらいで丁度いいかもと思っていた分、子宮内膜症の診断がついたときはショックだった。
子宮内膜症の診断がついたのは33歳のときで、夫と付き合い始めた直後のことだった。

子宮内膜症の治療は、(手術以外の場合)基本的に閉経まで薬を飲む必要がある。
薬を飲んでいる間は排卵が起こらない(=妊娠はしない)ので、子どもがほしいなら治療を中断しなければならない。
薬を中断している間に、積極的に妊活や不妊治療をするということになる。

つまり、「赤ちゃんが来てくれるかわからないから、自然に任せようね」というようなふわっとした選択肢は絶たれるわけだ。

私はおそらく簡単に妊娠できない。
なぜなら、そもそも子宮内膜症の中でも卵巣チョコレート嚢胞だし、子宮筋腫もあるし、生理の経血量もけっこうえげつない。
そこに加えて年齢の問題。

妊活をして授からなかった場合、どこかで諦める必要がある。

内膜症の治療がないなら、妊活をやめても夫婦生活さえあれば授かる可能性が残る。
だけど、私の場合は妊活を辞める=内膜症治療の再開=妊娠の可能性が0になるというなので、この事実もまた重くのしかかった。

妊活をやめるのをどこにするのか、線引きが必要だったから。

私の本音は「年齢的に赤ちゃんが来てくれるかわからないから、自然に任せようね」というようなふわっとした選択をすることだった。

妊活期間をいつにするのか、授からないときに不妊治療をするのか、不妊治療がうまく行かなかったときに完全に子どもを諦めるのをいつにするのか。
すべてを決断しなければならないことがツラい。

子どものいない夫婦を選択した場合、友人たちの子どもが大きくなってきた頃に自分は後悔しないだろうか。
ここまでやってダメだったんだから仕方がないことだと思えるのはどのラインなのだろうか。

これまでの人生(誰でも)決断の連続で今日まで生きてきている。
私は後悔しないための決断をすることをモットーにしてきたので、過去のほとんどのことに後悔はしていないけれど、「子ども」のことについてはその自信がない。

夫婦で意見が食い違ったときにどう乗り越えればいいのか。
例えば夫はタイミング法まで、私が体外受精までを望んでいる場合があったとして、「タイミング法で諦める」と話し合いの結果そうなるとする。
その時に納得しても、5年後10年後に後悔せずにいられるだろうか。

そういう自信がない。

その一方で、子どもがいなくても二人で楽しく生きていけるとも思っている。
それはポジティブで、とてもいいことだと思っている。

でも、そうであるからこそ「線引き」をどこにするかに迷ってしまう。
体外受精が保険適用になるまでは、体外受精の手前が諦めようと思っているボーダーだった。
体外受精には多大なお金がかかり、だけれどいつ成功するかも必ず成功するともいえないものだと経験者の体験記を読んで感じていたからだ。
(言い方は悪いが)ギャンブル要素が高く、不確実なことにお金をつぎ込むのであれば、その分夫婦で旅行へ行ったりして楽しく過ごせればいいよね、と考えていた。

婚約中(2021年)は自由診療だった体外受精。
ありがたいことに体外受精も2022年から保険適用になり、費用に関する心配があまりなくなったが、それにより「迷える期間」を延長できるようになってしまった。

このあたりの心の揺れはまた別の機会に書きたいと思いますが、保険適用になったことで受けられる恩恵の多さに(メリットばかりでないとは聞きますが)とても驚くとともに、不妊に悩む多くのご夫婦の希望になっているだろうと感じます。
不妊治療の保険診療化、とてもすごいことだよ。当事者になって痛感する。

少子化対策は菅前総理に任せるほうがいいんじゃない?(笑)
そんなふうに思わずにはいられないこの頃です。

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