愛しても仕方ないなって

 「ねえ、愛してる?」
 
 「ああ、うん、愛してるよ」

 そんな言葉が行き来する毎日。
 何も変わらない毎日。
 愛してるから、愛してもらえる……そんな事はない、そんな世界。
 私が愛したから、同等の愛をもらえる訳ではない、そんな毎日。
 でも、私は " 愛してるよ " って伝えないとならないの。愛してると伝える事が私の生き甲斐で、私の存在理由で、私がアナタに唯一反応してもらえる手段なの。
 私の愛してるをこれからも受け取って。素っ気なくても良いからさ……
 私を意識しなくても、タダ聞き流すだけでも良いんだから。

 私は今日も伝えるよ。愛してるって。

 むかしむかしあるところに。

 ずっと前の事を思い返してみる。
 誰かに愛されて、きっと幸せだったあの日。
 でも私は愛されている事を、まだ足りない、まだ寂しい、私はどうして辛い思いをしなければならないの? って、暴れて自分を傷付けた。
 アナタは私を抱きしめて " 大丈夫だよ " って頭を撫でてくれたけれど、私はそんな時もいつかアナタは私を捨ててどこかへ行ってしまうんだろうってずっと考えてた。

 アナタが連絡もなく全然帰って来なかった夜、何百回も電話して、繋がらないアナタとの時間に絶望をしたんだよ。
 だから私は何度も手首を新品のオルファで切り付けて、部屋を血の海にしてみたんだ。

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864字
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