魔法使いになって

 私の魔法使いになって。
 アナタの " Bibbidi-Bobbidi-Boo " で絶望に溺れた私の裸体を神秘的なドレスで包んで欲しい。
 つつんで、くるんで、しめあげて。
 明日が来るのかわからない。そんな夜をエスコートして。
 零時の鐘が鳴ったなら、魔法は解けるのかもしれない。
 でも、 " 何が起こっても解けない魔法 " と……今だけ私を錯覚させてくれたらそれで十分だから。
 アナタが似非魔法使いだったとしても、私は思い出の中ダンスを踊って、ガラスの靴を落として消えるからさ。
 折れたヒールで文字を描いて。真っ赤な痕が二人の関係を物語るかのように。

 血まみれの記憶で構わない。
 ただ記憶に永遠に刻まれるように……何度も何度も、何年経とうとも、無理矢理に思い返せる記憶でありたい。
 アナタに死が来る時、ソレが霞んでしまう程。

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879字
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