キャリアに一貫性なんて要らない
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少し煽り気味のタイトルにしてしまいましたが、ここで言う「一貫性」とは、「同じ領域/コトだけをやり続けて積み上げるキャリア」と解釈していただけたら幸いです。
ここ2年で組織規模が3倍近くまで拡大する中、面接にお越しくださる方から、「キャリアに一貫性が無い(から不安)」「知人やエージェントに、一貫性を持ちなさいと言われてどうしたら良いか分からなくなってきた」と言われることが増えてきました。
実際、会社で活躍しているメンバーからも、このままだと自分は器用貧乏みたいな感じになってしまうのでは?と相談されたことも何度かあります。
キャリアに一貫性が無い。
これの何が問題なのか?使いどころが難しくて組織にフィットしづらい?バリューが曖昧で年収上がらない?
果たして、この複雑性の高い現代において、本当にそうと言えるのだろうか。
自己紹介
出落ち感満載ですが、僕のキャリアに一貫性なんて全くありません。
・2012年 青山学院大学卒業 -> 在学中に株式会社ウィルゲートでセールス -> 入社後はWebプロモーション担当 -> 担当事業を他社へ譲渡後、新規事業のあれこれ
当時のウィルゲートは、今と違って営業組織が大半を占めており、業界でもトップクラスに強いセールス組織だったと思います。そのフレームワークを使って新規Webメディア事業のセールスを行ったため、学生で構成された組織にも関わらず尋常ではないスピードで立ち上がりました。
Webプロモーションの部署では、今でも尊敬する先輩に手取り足取り仕事を教えてもらい、事業売却が完了してからは新規事業の立ち上げ。オペレーション構築からデバッグまで、手を上げれば何でもやらせてもらえました。
そして2013年、起業。色々あって書ききれないんですが、売上も何とか安定した頃、Webメディア事業が脚光を浴びそうな予感がありました。そこで共同創業者の発案でメディア事業を立ち上げようとしたのですが、僕がその世界観を理解しきれず、結果袂を分かつことに。一人で食べていかなきゃいけないので、受託開発に振り切り、必死に働きました。
そんなある日、恩師から受けたデザインの仕事をきっかけに、一人のデザイナーと出会い、その紹介でエンジニアと意気投合し、3人でデザイン事務所として舵を切ることにしました。更に時代の波に乗ろうと、今度は動画制作に振り切りました。
動画制作事業は順調に拡大したものの、機材やスタジオ代などコストの先出しが多く、キャッシュフローが良くなく苦しい時期もあり、少しずつ古株から抜けていくといった辛いことにも見舞われました。大口顧客の入金漏れ&支払いサイトの変更&税金の支払いなどが重なって死にかけたこともあります。そんな中でも会社のメンバーが折れずがむしゃらにやってくれた結果、会社は普通に生きていくことが出来ました。ただどうしても起業した理由を見失ってしまったのか、久しぶりに会った友人に「お前、目が死んでるよ」と煽られ(笑)、やはり受託事業ではなくサービサーとして自社事業をやりたいと社内の皆と話した結果、当時の取締役が「だったら自分が代表をやって会社は残すよ」と言ってくれたので、僕自身は大切なメンバーを残して会社から抜けました。その時の言葉と感謝はたぶん一生忘れません。
いまやっていること
2018年4月に株式会社SUPER STUDIOにジョインし、現在はコーポレートの責任者をしています。
既にSUPER STUDIO内でも何屋なのか分からなくなってきていて、
新規事業開発(検証段階で事業ストップと判断しましたが) -> C向けのパフォーマンスアドチーム参画 -> 労務立ち上げ -> 採用立ち上げ -> 広報立ち上げ -> 法務立ち上げ -> 既存の総務チームとマージしてコーポレートデザイン室を設立し、現在はここの統括をしています。
これに至るまでにも、システム事業の(成長痛とも言える)不和があったため一時的に統括に入り、ポジションを明け渡してまたコーポレートに戻って。今度はマーケティングのチームが組織的によろしくないということで、一時的に統括しています。これも光明は見えているので、時間の問題です。まぁ元々イケてるメンバーたちで構成されているので、何をやったというわけではないんですが、、、
これまでの人生がパラレルすぎて、端的にまとめようとしてもこんなに長くなってしまった、、、
ベン図で考えるスキルの重なり
ベン図という言葉の意味はこの際どうでも良いんですが、一見「一貫性がない」と見られそうな僕自身のキャリアについて、この図で多少説明可能かなと思っています(ちなみにこれは、尊敬する諸先輩に10年近く前に教えてもらったものです)。
スキル/経験はそれ単体だと1つのモノに過ぎないのかもしれませんが、 "ある程度" の領域まで伸ばせば、他の分野に展開可能なものとなり、むしろバリューアップできる場面が出てくる。いちいち一貫性なんて考えなくても良いというのは、これを見てもらえれば視覚的に分かるかなと、、、
このそれぞれの円の大きさは、「習熟度」とも言い換えられます。
いわゆる「学習の5段階レベル」で言うと、感覚的にはレベル4くらいになると、他の円に重ねられる大きさになりそうです。
逆に言うと注意点はここで、レベル3以下のスキルは中々重ならないことが多い気がします。
僕に例えると、ワインがとても好きでソムリエスクールに通っていたのですが、早々に離脱してしまったので、知識が浅く、学習の段階で言うとかなり下の方です。数回一緒に飲んだ程度の人に、ぴったりのワインを提案することなんて出来ない。結構考えて調べに調べて、ソムリエの諸先輩方に聞かないと無理なわけです。全然他の円と重ならない(笑)
一つのことを「考えなくてもできる」くらいにすると、円が重なり、新領域にピボットしようとしたときには誰よりも早く立ち上がり、すぐにバリューを発揮することができる。その結果としてチャンスが舞い込むわけです。
例えば、広報チームとして少し前に、こんなイベントを開催しました。
Web制作の経験から、制作物のリードタイムを正確に読むことができる。VIは信頼するデザイナーとディスカッションを進め、1案目から外れないものに。モーションロゴ(動画)もSNS経由での依頼から数日でこの品質(UDONさんありがとうございました)。デザイナーやコーダーとのコミュニケーションは最小で済み、GAやサチコといったツールも自分で導入できる。バックオフィスなので採算管理もすぐに検討し実装できるし、人事なので人員アサインもたぶん最速。法的リスクもパッと出して対処。事業部との条件面のすり合わせなども個人単位で対応可能です。
思いついたものから順にババっと書いてしまいましたが、実作業レベルで対応可能な幅を広げるだけでも、これだけ推進力を持つことが出来ます。それ以上に関わったメンバーが素晴らしかったというのもありますが、円を重ねるということは、いざ事業をやるぞ、というときの推進力にも直接的に繋がるということを伝えたかったです。
無駄なキャリアなんて無いんじゃないか
事業サイドに居れば、事業/市場の解像度が上がります。競合を常に調べたり、日々変わる世の中に対応しようとオペレーションフローを組み替えたり、顧客の声を直接聞いたりできるから。特に、「自分の仕事が何に繋がっているのか分からない」という人は、事業サイドに突っ込んでいくと、効率的に得たい情報が得やすいのでおすすめです。
バックオフィスに居れば、経営の解像度が上がります。何を見て、どのように評価し、どう経営層がアクションしているかが客観的に分かるから。
だからどっちが良いとかそういうのは当然無いんですが、自分の属さない部署の動きを見てみたりすると、目線が上がったりします。ただポジショントークでどっちがダメだと言う人はマズいかもです、、、
見ている限り、無駄なキャリアなんて無さそうです。
先のことなんてなかなか分からないです。高校生のときに登録した Facebook が、こんなに一般的になるなんて思ってもいませんでした。
キャリアの一貫性になんて悩まなくて良いので、 "やりたいこと" が無くても、目先にゴロゴロ転がっている "やるべきこと" に真剣に向き合って、毎日少しずつでも改善したりすることが大事かなあ、と。
今年もあとわずか。セブンのキリマンジャロブレンドを飲んでもうちょっとがんばろう。
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