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ダボス会議2024

 小田玄紀です

 1月15日から開催されているダボス会議2024に参加しています。ダボス会議は通称で正式には世界経済フォーラムの年次総会となります。

 今回のダボス会議のテーマは『Rebuilding Trust』すなわち『信頼の再構築』になります。ロシア・ウクライナやイスラエル・パレスチナ地区をはじめとして戦争が起きている現状において、改めてグローバルレベルでの信頼の輪を再構築していくことが必要という点からこのテーマが選ばれました。

 今回はメイン会場のセッションは全部で251のセッションがありました。これとは別にサイドイベントとしてダボスの町全体で様々なセッションが展開されています。全てのサイドイベントを数えることはできませんが、おそらくは1000近いサイドイベントが展開されています。

 ダボス会議のメイン会場へのアクセス権を持つ参加者が2000名程度でサイドイベントの参加者が8000人程度なので合わせて1万人程度がこの1週間ダボスに集まります。

 今回のセッションの一部を抜粋してみると以下のようなセッションがあります。

 メイン会場やサブ会場で同時並行で複数のセッションが開催されるのですが、内容としては大きく

 ①地政学に関するテーマ
 ②生成AIに関するテーマ
 ③アフリカや中南米などこれから成長が期待される国によるプレゼンテーション
 ④環境問題に関するテーマ

 などが多いと感じました。CryptoやWeb3に関するセッションはメイン会場では1つのみで「The Tokenization Economy」というものでした。

 CircleのJeremyCEOなどが登壇するセッションでした。また、半導体に関しても重要テーマなので、半導体に関するテーマもありました。

 「The Battle for Chips」とBattleという言葉が使われていますが、まさに半導体は様々な国で重要資源として奪い合いが起きていますし、これからさらにこの流れは加速していきます。企業だけでなく各国の大臣クラスがパネリストになっていることからも、半導体が安全保障の観点でも重要な意義を持つということが分かると思います。

 今回日本の政治家では河野太郎さんが参加されていました。本来はもっと多くの政治家が参加をするべきなのですが、能登半島震災および昨今の自民党に対する批判や捜査を受けて、今回は河野さんのみが参加されていました。

 総理や大臣が外遊すると批判されることもありますが、こうした世界のリーダーが集まる場所で日本のプレゼンスを高めるということは外交上も安全保障においても非常に大きな意味があります。日本の国益のためにも、政治家には多くの役割があり、特定のイシューのみに振り回されるべきではないということを多くの人が理解された方がよいと思います。

 なお、Web3文脈でのテーマが1つしかないので、暗号資産やWeb3は各国リーダーからの関心事が薄れてしまったかというと、決してそのようなことはありません。

 先にも書いた通り、ダボス会議はメイン会場だけでなくサイドイベントも重要な意味を持っています。むしろ、サイドイベントの方が数も多く、また、こちらを目当てに参加する方もいるくらいです。

 CIRCLEもダボスのメイン通りのところにブースを出していましたが、ここも写真のように会場が満席になるくらい、多くの人が集まっていました。CIRCLE以外にもいくつものWeb3プロジェクトのリーダーがダボスに集まっており、注目を集めていました。現物ビットコインETFが承認されたこともあり、これからの重要な金融アセットクラスの1つとして暗号資産およびステーブルコインが注目されています。

 なお、ダボスのサイドイベントでも一際注目を集めていたのがサウジアラビアのNEOMです。規格外の大きさのブースを出していました。

 NEOMはTHE LINEが有名で、私もTHE LINEを含めて4つの新都市開発を進めているという認識でしたが、今回新たに3つの新都市開発が発表されていました。

 THE LINEは幅200メートル、高さ500メートル、全長170キロメートルという非常にスケーラブルで現代版万里の長城と言われるだけの長さを誇る新都市ですが、こちらも開発が順調に進んでいることが分かりました。総工費70兆円以上かかるとされていますが、これだけの投資を決断し、また、実現に向けて動いているサウジアラビア政府の力強さを感じました。

 また、サウジアラビア政府が「Digital Saudi」というブースも出していました。サウジアラビア政府そして民間企業が現在はほぼ全ての金融取引をデジタル化しており、データで意思決定や分析をしているとのことです。データはOpenになっているため信頼性があり、また、デジタルで完結するために運用も極めて効率的に行えているようです。
 
 こうした取組みを政府主導で進めているため、サウジアラビアとして大きなプロジェクトに対して自信をもって投資ができたり、また、現在はサウジアラビアも外国からの投資を受け入れていますが、投資誘致においても大きな役割を果たしているとのことでした。

 このような中ですが、日本もしっかりと存在感を発揮しています。

 ダボス会議のサイドイベントで最大級のイベントがジャパンナイトです。今回は1000名近い参加者がいました。海外からも多くの人が参加されていました。

 ビットフライヤー加納さんにもジャパンナイトで会うことが出来ました。日本の友人とこうしたところで会えるのはまた違った嬉しさがあります。

 すき焼きや寿司などが参加者に振舞われていましたが、このように食を通じた交流は想像以上に大きな意味があります。多くの海外要人が日本食を食べたいのでジャパンナイトに参加するという動機付けが出来るだけでも、大きな意味がありますし、日本という国をインプットしてもらうには和食が果たす役割は極めて大きいです。

 グロービスの堀さん、サントリー新浪さん、河野太郎さんなどが挨拶をされていましたが、多くの海外参加者が日本の能登半島地震に対する哀悼の意を表されると共に様々な支援をしていきたいということを言って頂いていました。

 クラウスシュワブ会長も会場に駆け付け、日本が世界に対して果たす役割の大きさについて話をされていました。

 今回のダボスのテーマである『信頼の再構築』、これは一朝一夕で実現できるものではありません。新型コロナウイルスの影響もあり、海外渡航に制限がかかったこともあり、直接対話をする機会が減ってしまったことは事実です。

 ただ、地道な会話や交流を続けることが、結果的に信頼関係の構築には一番大きな役割を果たしますし、そのためにもダボス会議やジャパンナイトが果たす役割は大きな意味があります。

 批判だけしても社会はよくなりません。どのように、社会がより平和に、また、持続可能にしていくのか。また、そのような中で人々が笑顔になり、幸せになるためにはどのようなことが必要かということを考えていくためにも、このように直接対話することの意義はあると考えています。

 そのような中で、自分自身が何ができるかを考えてみたいと思います。

 2024年1月18日 小田玄紀@ダボスより


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