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フォシーガの心不全適応追加について

フォシーガ心不全学生の発表に薦めて新しい知識を得たので

アウトプットしてみます!

SGLT2阻害薬の中で日本で唯一フォシーガが慢性心不全と慢性腎不全に適応がある(ジャディアンスも最近取れる予定)

慢性心不全は2020/11/27に承認、慢性腎不全は2021/8/25に承認されました。慢性心不全と慢性腎不全の適応追加が最近であることから、作用メカニズムや副作用は明確に分かっていません。心腎連関より、フォシーガは心不全の予後改善が期待されています。

フォシーガ【効能効果】
慢性心不全
ただし、慢性心不全の標準的な治療を受けている患者に限る
【注意】
左室駆出率の低下した慢性心不全患者に投与すること
【用法・用量】
成人:10mgを1日1回経口投与
1型糖尿病を合併する患者:5mg1日1回 から投与を開始。経過を十分に観察しながらインスリン量を調整した後、10mg1日1回に増量。5mg1日1回 では慢性心不全に対する有効性は確認されていない。


慢性心不全に効果があると考えられるメカニズム

1:腎臓を介した作用
  浸透圧利尿作用
2:血行力学的作用
  尿細管糸球体フィードバック機構の是正
3:心臓への作用
  心線維化の抑制

フォシーガの特徴
・間質液を選択的に減少
 →ループ利尿薬よりむくみに効果あり
  動脈循環量、臓器灌流を低下させない

・輸入細動脈を収縮
 →長期的な心保護・腎保護に効果
  ACE阻害薬、ARBとの併用で効果

・心繊維化の抑制
 →心不全抑制

・糖尿病の人ではご飯1杯分の糖が排出
 →体重減少によるモチベーション増加

血液中の水分と細胞液は行き来をすることで、酸素や栄養を運んだり、老廃物や二酸化炭素を排出している。
ループ利尿薬は、ヘンレ上行脚で尿中の水分が血管へ戻ることを抑制する。

ループ利尿薬は、血管中の水分が減少することでむくみをとるが、フォシーガは、間質液を選択的に減少させるので
ループ利尿薬よりむくみに効果がある。循環血中に存在する 血液量、動脈循環量、及び臓器灌流にほとんど影響する
ことなくうっ血を改善させることで早期からの心不全イベントが減少すると考えられている。
過剰な間質液の除去により、心不全に伴う腎機能低下を抑えることが出来る。

SGLT2阻害薬で遠位尿細管のナトリウム濃度が上昇すると、輸入細動脈が収縮する。
輸入細動脈が収縮することにより、糸球体に入る血液量が減少し、糸球体ろ過圧が
正常になることで長期的な心保護、腎保護が期待できる。

心不全の要因として、心繊維化がある。心繊維化の抑制には、
M2マクロファージの増殖とナトリウム・水素の交換輸送体であるNHE-1を阻害することが関係している。

糖尿病の人ではご飯一杯分の糖が排出される。糖尿病ではない人ほど糖が排出されないが、
少し排出されるので体重減少によりモチベーション増加につながる。

添付文書に記載されている副作用として、低血糖、感染症、脱水、ケトアシドーシスがありますが
実際に起こると言われているのは、脱水とケトアシドーシスです。

臨床試験では、糖尿病患者も参加しており、インスリンを調節せずにフォシーガを併用していたため
重度低血糖が両群ともに4例見られた。そのため、心不全として使う場合には低血糖は起こりにくい。
血糖値は正常であるため、尿路中に排出される糖の量は少なく、感染症も起こりにくい。
心不全として使う場合に気を付ける副作用として、脱水とケトアシドーシスが挙げられる。
心不全の患者は、むくみを改善するために利尿薬を併用していることが多く、脱水になりやすい状況である。
先ほどのスライドで説明した通り、間質液から選択的に水を抜く作用があるので、単剤使用では脱水が起こりにくい。
ケトアシドーシスは、低血糖ではないふらつきが起こる。
ケトアシドーシスは昏睡状態に陥るので、症状が見られた場合には処置を行う。


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