パックロッドは何に「パック」されるのか2:スーツケースのクラス区分と仕舞寸

パックロッドの機動性を、飛行機遠征の実践から考えていく2回目です。飛行機移動の場合、ハードタイプにせよソフトタイプにせよ、スーツケースをメインのラゲッジとして用いることが大半だと思います。したがってスーツケースのサイズによって「パック」されるロッドの仕舞寸が規定されることになります。

リモワを基準に整理する

前回おさらいしたとおり、スーツケースはまず、航空会社の規定によって機内持ち込み手荷物クラス=キャリーオンと預け入れ手荷物クラスに二分されるでしょう。機内持ち込み用スーツケースはたいてい規定サイズいっぱいに作られているので、どこのメーカーでも似通った大きさ。一方で預け入れ手荷物はサイズがピンキリなので、一絡げに語ることがかなり難しくなります。

そこでスーツケースをざっくりキャリーオン(40L弱)、60Lクラス、80Lクラスの3つにクラス分けして考え、それぞれの具体例としては、スーツケースでもっとも有名なブランドであるリモワ社の製品を用いることにします。リモワもだいぶバリエーションが派生してしまっているのですが、コアになるのは機内持ち込み用のCabin、預け入れ用中型のCheck-in M、預け入れ用大型がCheck-in Lの3サイズで、これがそれぞれキャリーオン、60Lクラス、80Lクラスに対応します。

タテかナナメか問題

この3サイズのスーツケースに、それぞれ仕舞寸何センチのロッドが収納できるのか。それを見ていく前にもうひとつ消化しておきたい大事なトピックがあります。パックロッド、タテに入れるか斜めに入れるか問題です。

斜めに入れればより小さいスーツケースに収めることができ、より小さいスーツケースは当然ながら機動性の向上に寄与します。いっぽうで斜め入れはフレーム材をまたぐのでその接触箇所にストレスがかかって破損のリスクが高くなり、かつパッキングの際にロススペースが生じやすい、などデメリットも多く孕みます。

この記事ではタテと斜めの寸法を併記しますが、私個人は先述の理由から、基本はタテ入れで釣行しています。機内持ち込みスーツケースのみでの釣行にトライするときのみ、やむをえず斜め入れで運んでいます。なお理論上はケース部の奥行きを用いて3次元的に収めることも可能ですが、これは空間的ロスの大きさから実用になりません(「機内持ち込み手荷物のみでの飛行機釣行」はチャレンジングで面白いので機を改めて書きます)。

実際のところ何cmなら入んのか

ようやく各論。リモワの各サイズには仕舞寸何cmのロッドが収納できるのか。素材によって微妙にサイズにブレがあるので、ここではいちばん売れてるポリカーボネイトのエッセンシャルラインをサンプルとします。

キャリーオン代表、エッセンシャル Cabinのサイズは55 x 39 x 23cm、これはハンドルもウィールも含んだ外寸で内寸は公表されていないので実際に測るしかないのですが(測ったよ)、ウィール部など内部構造に凸部があり、実測値はタテ50cm、ヨコ36cm、斜め57cmでした。

60Lクラスのエッセンシャル Check-in Mの外寸は67.5 x 44.5 x 24cm。内寸の実測値はタテ62cm、ヨコ42cm、斜辺は68cmでした。

80Lクラスのエッセンシャル Check-in Lは、公表されている外寸が77.5 x 51 x 26.5cm。実測した内寸はタテ71cm、ヨコ48cm、斜辺78cmでした。

タテ入れならこれらの数値のとおり入るのですが、ナナメ入れの場合、パックロッドの束の直径ぶん、コーナーにデッドスペースが発生することになります。ULのロッドとXHのロッドでは束の太さも違いますが、ここではおおよそ直径4cmと想定すると隙間は両側に約2cmずつ。なので斜辺からマイナス4cmを加味します。その結果がこちら。

キャリーオンクラス:Cabin タテ入れ50cm、斜め入れ53cm
60Lクラス:
Check-in M タテ入れ62cm、斜め入れ64cm
80Lクラス:
Check-in L タテ入れ71cm、斜め入れ74cm

自分の所感を述べると、外寸よりだいぶ小さいな、ってことと、タテ入れと斜め入れの差があんまないなってことです。言うまでもないですが、これはロッドを裸で収納した場合。ロッドケースに入れないと死ぬタイプの方はロッドケースの外寸で考えなくてはいけません。

私自身はロッドケースを使うことは基本的になくなりました。かさばりすぎるし、パッキングで工夫すれば意外と破損しないことがわかってきたからです。ロッドベルトで留めて、あとは衣類を隙間に詰めて、おしまいです。例外はモンスターキスのネオプレーン製ロッドケースですね。あれは素晴らしい(ネオプレンならフエルコから60cmのが出てると教えてもらいました。ほしい)。つづきます。


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