エッセイ「顔が良くなりたい」

私は顔にコンプレックスがある。
目はぱっちりしてないし、唇はぽってりしている。面長でのべっとしている。鼻も大きいしまつ毛は短い。
友達と、この私の顔を比べてはコンプレックスで苦しみながら生きてきた。小さい頃は世界一可愛いと思っていたのに、ある日突然投げかけられた「ブス」に頭を殴られたのだ。それから、私は「かわいい」を素直に受け取れない、ゆがんだ人間へと変容してしまった。親や友人の賛辞を、ただの世辞としか受け取れなくなってしまった。

荒れた肌をファンデーションで隠して、アイシャドウで目のサイズを誤魔化して、リップを小さめに。それでもコンプレックスは浮き彫りになる。
友達がみんな可愛く見えるのだ。1人、とてつもなく美人な子がいる。中学の頃から可愛いと持て囃されて生きているのだ。身内の贔屓目を抜きにしても女優さんになれるのでは、と思うのだ。愛想もよく、可愛らしい彼女と、彼女の妹と3人で並んだ時に私が1人、醜く歪んで見えた。
その美人な友人は、もっと美しい人を知っているらしい。そんなことを言われても、あなたに勝ち目がない私はどうしたらいいの。

もちろん、今までの努力不足な点もある。身長は小さく、おなかは丸い。今まで一度もろくに運動していなかったことが祟っている。まんまるで、厚みがあって、現代の細身のすらりとしたからだ美しいとする、現代の日本の観念にそぐわないだろう。スキンケアだってコツコツとできない。毎日ぶさいくな私の顔を鏡で見つめなければならないのか。

もとの性格も相まってか、「かわいい」と賛辞を受けることはいつしかなくなってしまった。そんな私を、確かに好きだと思うときもある。けれど、どうしても「かわいい」「きれい」とほめてもらいたい私もいる。それを、素直に受け取れるだけの、顔の自信ときれいな心がいつか芽生えたら、いいな。

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