電球
青い部屋、いかなる切断された瞬間にも青ではない
明と暗、明と暗との交流の、いわばあわいの速度なのだ
天井には半熟の洋梨
レンズ・シャッターの連写によって薄く輪切りにされており
断面から零れる果汁の気体
たちまち空間を充溢し、また霧散する
一連の呼吸はあまりにすばやく
ほとんど窒息と区別がつかない
八分の一秒おきのレントゲンは
風船の中身をそのたびごと詳らかにする
印字されることのないカルテ
コーヒー・カップの中で溺死した角砂糖の行方
きわめてすみやかに朝たちは滅んでいく
私は瞬きのない眼を探している
果たしてすり減った果実の、天井に残る僅かなスライス
誰の裸に見えるだろうか?
暗い部屋、もはやそこにはいないあなたの
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