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ホスト万葉集、読んでみた。by源氏物語の素人読者

光源氏たちが歌を詠うことで空気を染め直して女を口説くのを見るたびに思ってた。この人たちって、アーティストでホストなの? って。

源氏物語の光源氏が元祖チャラ男で、ホストたちが詠んだ短歌のアンソロジーが万葉集。そんなふうにスマホの画面に紹介された。へえ。チェック。

短歌、わかんないけど。薄情さとか人間性の浅さとかが、わからなさに出てるのかな。でも源氏物語を読んでるうちは、たぶんなにを読んでも関連付けて源氏をちょっとでも理解できる可能性あるから。不純な動機でサンプルダウンロード。結局全部読んだ。

短歌は、雰囲気あるなあ、って思いました。サブタイトルの
「嘘の夢 嘘の関係 嘘の酒 こんな源氏名サヨナライツカ」
なんかも、みんながみんな、そんなふうじゃないだろうけど、絵とか疲れた感じとか夢見るナイーブさとかがイメージできます。嘘と真が混ざりあってそうな世界だけど。サヨナライツカも倒置法なのか再会を予感させるのかもわからない。別れの挨拶が淋しすぎて「いつか、どこかで」と言っていた子がいたっけ。

短歌パートも、1年目は初指名、2年目はラブラブな情景…という感じで5年目まで、流れがつけられていて、ストーリーっぽくなっているんです。

これが別に、入店1年目のホストが書くコーナー、とかじゃなくて、色んな歴のひとが、色んなステップを描くんですよ。

何人もで詠まれてるので、お人柄が偲ばれる方や、このセンス好きだなあ、応援したくなる可愛さあるなあ、偽悪的なのがカッコいいなあ、という方が出てくるのも、面白かったです。

不思議なのは、表紙にズラリとならんだホストたちはみんなかっこよくて目映くて区別がつかないのに、短歌にお名前がついてると雰囲気の違いが感じられるところ。

あ、この感じは大事なんじゃない? 姫たちが家にいて、男たちがジャンジャンと歌を届けてくる。口先だけの歌だけで、どう判断しろって言うの? っ思ってたのよ。和歌寄越しただけの相手をどう選んでどんな恋をしろっていうの? 無理!! って。それでもさ、何通か送られてきたら、人柄が見えちゃう気がする、このコミュニケーションのような何か、これだ!

巻末には「ホストたるもの、短歌を詠めねば」的なことをYoutubeでおっしゃっていたホストクラブ会長の手塚マキさんと、歌人3人(俵万智さん、野口あや子さん、小佐野彈さん)による座談会があります。こちらも、短歌ファンの方には貴重なものかもしれません。

以上、下戸でホストクラブとは無縁の暮らしをする素人読者が「ホスト万葉集」を読ませていただきました感想でした。まとめると

1 ホストクラブ・夜の街という異世界・異業種を垣間見する感じが楽しい
2 家に籠って、イケメンたちからの文で品定めする姫の気分を疑似体験できる

それでは、また!

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