2024なでしこリーグ1部&2部プレビュー
恒例の、なでしこリーグプレビュー、今年もやります。
各チームの昨年成績、寸評、注目選手の順。各リーグ、全チームの紹介の後に展望も書いてます。
私が長野の人間でパルセイロレディースサポでもあるので、元パルセイロレディースの選手がいるチームは話が長くなります笑。
但し書きがない写真は2023シーズンのものです。
【リーグ編成】
1部⇔2部
例年、1部最下位と2部優勝が入れ替わり、1部11位と2部準優勝がプレーオフでしたが、2023年は最終節を待たずしてヴィアマの優勝とアカデミーの準優勝が確定。アカデミーが昇格基準を満たさない為、ストレート昇格⇔降格のみ、ヴィアマテラス宮崎の昇格と大和シルフィードの降格となりました。
2部⇔地域
7チームが2グループに分かれる不思議な組み合わせとなった入替戦予選。ディオッサ出雲FCとFC今治レディースに至っては4日で4試合という過酷な予選会を勝ち抜き、SEISA OSAレイア湘南FCが1位、出雲が2位、今治が3位(リリーウルフF石川は順位決定戦で敗退)となり、この3チームと、2部最下位のノルディーア北海道が3試合ずつの入替戦。
北海道と湘南がホーム2試合で行われたプレーオフは、北海道が無得点の3連敗で降格。2024年は2部が10チームから12チームに増える恩恵もあり、入替戦予選を突破した3チームがそのまま2部新加入となりました。
そんなこんなで、2024年のなでしこリーグは、1部12チーム、2部12チームの計24チームで開催されます。開幕節は共に3月16日(土)と3月17日(日)。
【なでしこリーグ1部】
オルカ鴨川FC
昨年成績:1部優勝(12勝8分け2敗)
昨年は、緊迫の上位争いを制し見事優勝。
しかし、野田監督はじめ、MVP鈴木陽選手、キャプテン浦島選手、2022年のエース兼重選手(引退)、守備の山幡選手や児玉選手など主力級が大量移籍。ケガ離脱組が戻れば守備はまだリーグ屈指のレベルだと思うが、新加入FWが新卒や国際武道大学(オルカ鴨川BU)からの昇格のみの攻撃陣は、正直リーグ中位レベル。新10番の近藤選手、新11番の松尾美月選手ら既存FW陣の覚醒が無い限り、優勝争いは難しそう。裏を返せば、攻撃陣が活躍すればまた優勝争いの中心になるかもしれない。
◆注目選手:MF高塚綾音選手
新たなキャプテン。同ポジションの並木選手や古舘選手より守備的なタスクを担う場面が多くなりそう。
☆元パルL:MF古舘選手、FW北沢選手(シュヴェスター)
朝日インテック・ラブリッジ名古屋
昨年成績:1部準優勝(12勝5分け5敗)
一昨年のエース山田選手(→海外移籍)、昨年得点王となった神谷選手(→日テレベレーザ)が移籍。他にもキャプテンを務めたDF瀬倉選手、レギュラーGK三田選手も退団と攻守にスケールダウン。なのに新卒獲得が多いのは鴨川と同様。FW江崎選手、今年10番に背番号が替わったMF高島選手、MF三浦桃選手が攻撃のフィニッシュを担うかどうか。
◆注目選手:DF平尾愛穂選手
超攻撃的サイドバック。一列上がって攻撃の比重を上げるのもアリかなと思う。アシストもだけど、昨年以上に得点が求められるかもしれない。
☆元パルL:MF高島選手
伊賀FCくノ一三重
昨年成績:1部3位(11勝7分け4敗)
何だかんだで首位争いには加わってる、地力のあるクラブ。
今シーズンは、退団や引退があったのに獲得は1人とアンバランスなオフシーズン。森選手の引退も痛手。FWは西川選手、小川選手、平田選手とリーグ屈指の選手が揃う。
◆注目選手:MF村上日奈子選手
森選手の引退で、より中盤でのタスクは多くを求められると思う。攻守の繋ぎ、ボールの運び役、そしてアシスト&ゴール。
☆元パルL:DF西林選手、DF藤田選手、MF村上選手、FW西川選手
スフィーダ世田谷FC
昨年成績:1部4位(10勝8分け4敗)
一昨年のMVP、FW大竹選手(→ノジマ)を筆頭にレギュラークラスの退団・移籍が多いものの、日体大で7得点を決めた金子選手、WEリーグちふれを退団していた中村ゆしか選手らを獲得。
◆注目選手:FW新堀華波選手
昨年のなでしこ1部で2桁得点を決めた7選手の内、今年も残るのは新堀選手含め2人だけ。スフィーダの復権の為には再び背番号9の得点王争いが不可欠。
☆元パルL:MF中村選手
ニッパツ横浜FCシーガルズ
昨年成績:1部5位(11勝4分け7敗)
昨年12得点を決めたFW片山選手がノジマに移籍も、他の退団・引退を補う補強を行い、戦力は維持している印象。バニーズのCB新井純奈選手の獲得は大きいと思う。昨年鴨川でトップ下を務めた浦島選手の起用法も注目。
◆注目選手:MF浦島里紗選手
昨年はキャプテンとして鴨川を優勝に導き、ベストイレブン選出。既に負傷で開幕には間に合わないことが発表されている。
☆元パルL:GK新井翠選手
日体大SMG横浜
昨年成績:1部6位(9勝7分け6敗)
昨年は終わってみれば45得点(22試合)とリーグ唯一のアベレージ2得点越え。各ポジションでレギュラーだった多くの4年生の卒業は痛いが、それは大学チームの宿命。負傷離脱で開幕間に合わなそうな大エース北沢選手の復帰が待たれる。
◆注目選手:FW窓岩日菜選手
新3年生のドリブラー。北沢選手とはタイプが違う2トップが組めそう。
ASハリマアルビオン
昨年成績:1部7位(7勝9分け6敗)
昨年12得点の内田選手、一昨年8得点の葛馬選手(共に韓国へ)の移籍離脱は痛いが、鴨川のDF児玉選手、群馬のGK小暮選手、FW椎野選手、FW川崎選手、愛媛のMF平塚選手を補強。得点力以外は上がった感さえある。あとはリーグを代表するFW千葉選手の復活さえあれば優勝も狙えそう。
◆注目選手:GK小暮千晶選手
昨年の群馬では小暮選手じゃなければシーズンでもう10失点してたんじゃないかというくらいの活躍。ハリマでも守護神となるか。
☆元パルL:FW山岸選手、DF國生選手
バニーズ群馬FCホワイトスター
昨年成績:1部8位(5勝9分け8敗)
公式HPは2月から1カ月近くストップで、ホーム開幕なのに開幕の告知も無し。開幕近くなっての退団あり、監督来ない、〇〇来ないなど危機的状況が伝えられる中、何とか開幕・・・なの?
公式止まってる間に、新田選手が情報発信。元大宮の澁澤選手が現役復帰なんてサプライズも。
◆注目選手:GK松本紗和選手
大柄ではないが俊敏性に優れたGK。前所属のリリーウルフF石川から故郷の群馬に戻り、不安定なチームを最後尾から支える。
愛媛FCレディース
昨年成績:1部9位(5勝7分け10敗)
昨年はアウェーで鴨川相手に引き分けるなど地力はあるチーム。ケガ人が戻ってくるとまた違ってくるのだろうけど。補強は関西圏出身の学生中心。
◆注目選手:FW田子夏海選手
豪快なドリブルとシュートを武器に、昨年は新人賞を獲得。4月から高校3年生。
スペランツァ大阪
昨年成績:1部10位(5勝3分け14敗)
本拠地が河内長野市に移転。16人退団?プラス種田監督退任、大野忍監督就任でほぼ別チームに。でかいスポンサー付いてビックリ補強あるかと思ったが、新戦力は学生が主体。ビッグネームが少ないことを逆手にとって、走り負けないチームが仕上がると面白いが。
◆注目選手:FW木龍七瀬選手
韓国から戻ってきた、数少ないビッグネーム補強。
静岡SSUボニータ
昨年成績:1部11位(4勝5分け13敗)
3月に入っても監督が発表されずにいた中で、本田美登里監督が復帰。ウズベキスタン代表監督離任のタイミングの関係か。本田監督にとって久し振りの国内での采配。前回静岡を率いた時は2部でアカデミーと群馬の壁に阻まれ3位。
◆注目選手:FW山本心選手
私の応援してる選手と名前が一緒・・・笑。昨年序盤の雨の中の鴨川戦、中継で観た時に良い動きを見せていた選手。
ヴィアマテラス宮崎
昨年成績:2部優勝(14勝4分け)
準優勝のアカデミーに勝ち点10差を付け、無敗で2部優勝。1部でもそれなりに勝負は出来る戦力。補強では、WEリーグでのプレー経験もある松井選手にかかる期待が大きい。
◆注目選手:FW齊藤夕眞選手
長野時代のチームメイト、湯郷の横山選手との得点王争いを1ゴール差で制し得点王&MVPに。ただシーズン後半に足踏み期間もあり、今年はゴールの数よりも、チームの窮地を救うゴールが求められるはず。
☆元パルL:FW齊藤選手、DF池田選手
◆なでしこリーグ1部展望
2023年シーズン終了後、上位陣が軒並み移籍で主力を失う中、補強で補えていない感が強い。そんな中、毎年安定している伊賀と世田谷、移籍収支のマイナスが少なく見えるニッパツ辺りが優勝争いに絡む確率は高い。移籍収支のマイナスが大きい鴨川と名古屋は、その穴を埋められればの条件付き。
面白そうなのはハリマ。ここ数年調子の波が激しいが、ハマれば無敗記録が続く。移籍収支は明らかなプラスに見えるので、やはりFW千葉選手の復調と、密かにFWゆめぽ大爆発に期待している。
他は優勝となると厳しいかな。大阪の大野監督はこれが監督業デビュー?この戦力で上位にいったらいきなり名将現るなんてことに。宮崎は2部では圧倒的だったが1部ではどうか。上位陣との対戦成績が勝ち越せれば或いは。
降格は、今のままだと群馬か。漏れ聞くチームの体制の未熟さは、いくら選手が頑張っても内側から足を引っ張る要因になりかねない。
【なでしこリーグ2部】
大和シルフィード
昨年成績:1部12位(3勝4分け15敗)
一昨年、2部3位ながら色々あって昇格。しかし1年で降格。退団者も多かったが、大学やWEクラブからの移籍で何とか戦力維持。
◆注目選手:FW濱本まりん選手
一昨年の2部得点王タイ。今年はその時以上の活躍がないと、昇格は難しい。ゴール数がチームの順位に直結する。
☆元パルL:FW濱本選手
JFAアカデミー福島
昨年成績:2部準優勝(11勝3分け4敗)
東日本大震災以降、静岡県に移って活動していたが、2024年4月から福島県に戻る。3月24日のホーム開幕戦はJヴィレッジ。1週間前の練習試合では早稲田大学相手に9-1と大勝。今年も昇格しない強豪は健在か。
◆注目選手:FW板村真央選手
一昨年の2部得点王タイ。谷川選手、古賀選手、吉岡選手らが卒業し、新生アカデミーの象徴となる選手。
岡山湯郷Belle
昨年成績:2部3位(10勝4分け4敗)
昨シーズン前の大型補強に続き、今年はヴィアマから坂本選手、群馬から大島選手・小松選手と守備力の高い即戦力を補強。攻撃にはINACから栫井選手を補強し、更に3月に入って名古屋を退団していたGK三田選手を電撃補強。戦力は既に1部レベル。
◆注目選手:DF坂本理保選手
かつて長野やニッパツで活躍、宮崎を1部に導いた守備マイスター。失点が多かった湯郷の守備を安定させる最高の補強。
☆元パルL:FW横山選手、MF内田選手、DF坂本選手
福岡J・アンクラス
昨年成績:2部4位(9勝4分け5敗)
今年は若手を中心に近年にないような積極補強。2強に割って入るか。
◆注目選手:FW村上真生選手
一昨年はスフィーダ世田谷で8得点。昨年はDF転向もケガで長期離脱。福岡ではFWに戻るか?
ヴィアティン三重レディース
昨年成績:2部5位(5勝8分け5敗)
16人加入と選手大幅入れ替え。
昨年は4位の福岡と勝ち点8差の5位と大きく水を開けられた。18試合で17失点と守備は上々も、得点も17。攻撃力を上げたい。
◆注目選手:わかりません
吉備国際大学Charme岡山高梁
昨年成績:2部6位(5勝8分け5敗)
すっかり2部中位が定着してしまったシャルム。だいぶ社会人選手増えたんだなあ。
◆注目選手:FW西村留亜選手
2021年のなで2だったと思うけど、前橋での試合で凄いシュート2発も決めてビックリした印象が強い。レフティーのFW。
☆元パルL:MF神田選手
FCふじざくら山梨
昨年成績:2部7位(5勝7分け6敗)
11人の新加入で層は以前より厚くなった気がする。2部初挑戦の昨年は7位と思った以上に壁に当たった感がある。2年目の飛躍なるか。
◆注目選手:FW三田幸望選手
初めて見たのは帝京長岡高校時代の長野県フットサル代表かあ。鴨川で1部の舞台も経験し、山梨ではFW登録。山梨県内のテレビ局の特集を見ると、大学時代にプレーしていた中盤での起用もありそう。
☆元パルL:MF小鍛治選手、GK中村選手(シュヴェスター)
つくばFCレディース
昨年成績:2部8位(5勝3分け10敗)
昨年は30失点(3番目に多い)と守備の弱さが目立った。11年目のベテランDF藤井選手や後述の澤田選手など、ベテランの奮起に期待。攻撃では、大阪から2021年以来の復帰(当時8得点、ランク3位)となるFW古寺選手がキープレーヤー。
◆注目選手:GK澤田法味選手
昨年、ノルディーアで200試合出場を達成した大ベテランGK。今年2月につくばへ移籍。
☆元パルL:MF小林選手
ディアヴォロッソ広島
昨年成績:2部9位(1勝4分け13敗)
6人退団、14人補強と大幅入れ替え。例の大騒動の時に唯一残った内藤選手も引退し、心機一転巻き返しを狙いたいが、昨年の成績を見る限り厳しいか。
◆注目選手:MF髙橋美樹選手
周南公立大学時代、昨年メニーナとの試合(皇后杯)を観た時、カウンター時に良いプレーをしていた。
SEISA OSAレイア湘南FC
昨年成績:入替戦1位(2勝1分け)、関東リーグ準優勝
関東リーグでは勝ち点1差に泣き準優勝も、入替戦では予選から決勝まで無敗で駆け抜け、見事1位抜けでなでしこ2部への昇格を手にした。
◆注目選手:わかりません
FC今治レディース
昨年成績:入替戦2位(1勝2分け)、四国リーグ優勝
昨年の入替戦予選、順位決定戦、入替戦の計7試合で1失点(vs湘南)と守備力の高さが特徴。その連戦を耐え抜いたレギュラー陣がほぼ残っているのもプラス。
◆注目選手:DF砂川陽菜選手
入替戦順位決定戦で対戦した石川からの移籍加入。上背はないが空中戦に強くシュートブロックも的確。
☆元パルL:DF池崎選手
ディオッサ出雲FC
昨年成績:入替戦3位(1勝1分け1敗)、中国リーグ優勝
地域リーグの中国地方では連覇中で敵なし。何度も入替戦の壁に跳ね返されていたものの、昨年のプレーオフは昇格枠が3だった僥倖もあり念願のなでしこリーグ昇格を果たした。
◆注目選手:MF山本選手
ディオッサは2019年の入替戦予選で試合を観た(フットサル日本代表GKの井上選手が短期レンタルでゴール守ってた)のだが、その時良い選手だなあと思って見てた山本選手が、当時から残る唯一の選手。中盤で効果的な散らしを見せてくれるはず。
◆なでしこリーグ2部展望
2022シーズン2部最下位という絶望の底から復活を遂げた古豪湯郷。今年も2年続けての大量補強で、戦力は1部でも中~上位。今年昇格出来なければどうすんのってくらいの充実ぶりに見える。本命湯郷を止めるのは、やはり地獄の門番アカデミー。本拠地移転を心配していたが、早稲田相手に9ゴール大勝はおそろしあの一言。
2強を追うのは、補強が目立った福岡と、2年目の飛躍に期待したい山梨。他は広島を除くと一長一短。広島は一昨年のチーム解散の危機は乗り切ったものの、昨年降格しなかったのはもっと酷かったノルディーア北海道がいたからで(最下位とブービーの差は得失点差2)、今年の昇格3チームが北海道を倒してきたことを考えれば、広島は選手が入れ替わって未知数というところに活路を見出すくらいしかないか…。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?