見出し画像

目指すは誰もが自分らしくいられる虹のような会社              株式会社ファイヴエーカンパニー/間宮孝洋

若者応援企業を巡るスタディツアー、今回は株式会社ファイヴエーカンパニーを訪問。社長の間宮さんにお話を伺いました。


株式会社ファイヴエーカンパニーの紹介

京王線の明大前駅から歩いて5分ほどの住宅街に株式会社ファイヴエーカンパニーはあります。設立は2003年9月、ビルやマンションの清掃業務を主な事業とし、幅広いサービスを提供している総合ビルメンテナンス会社です。日常清掃は、毎日の掃除を通じて住環境の清潔を維持し、定期清掃は、数か月に一度の徹底的な清掃で、普段の掃除では落としきれない汚れを除去します。また、窓ガラスの清掃やオートバイを使った巡回清掃も行っており、これらのサービスを通じてお客様に安心と快適を提供しています。設立当初は少人数でスタートしたものの、現在では正社員が36名、清掃スタッフやオートバイを使った作業チームのメンバーが約40〜50名、日常清掃のパートスタッフが約550名にまで増えました。変化の激しい時代の中でも毎年堅実に成長を続けてきました。

バンドでプロを目指した青春時代

―こんにちは!本日はよろしくお願いいたします。まずは簡単に間宮さんの自己紹介をしていただけますか?

こんにちは!今日はよろしくお願いします。私は1967年生まれで、東京都出身です。東京都立国立高校を卒業し、明治大学法学部に進学しました。1990年に大学を卒業し、その後1997年にクリーンテックという会社に入社しました。そして、2003年9月に現在の会社を立ち上げました。

―1990年に大学を卒業されて、その後1997年に就職されたとのことですが、間の7年間はどんなことをされていたのですか?

やっぱり気になりますよね?この空白の7年間(笑)。実はロックバンドを組んでまして、本気でプロを目指して音楽活動をしてたんですよ。当時はヘビメタが流行っていて、周りにもバンドやっている人が多かった。X japanという有名なグループがいるんですが、彼らが一つか二つ上の先輩でして、ルナシーというグループが同期ぐらいですね。目黒のライブステーションというライブハウスで一緒にライブ出たりとかしてて、その中でもX japanやルナシーはすごい人気で一気に売れていった。そんな人たちが身近にいると「俺たちもいける」と思うじゃないですか。

それで、当時バンド活動しながら髪が長髪でも働けるという理由で始めたのが、清掃のアルバイトです。その時には今の妻と結婚して子どもがいましたから、音楽活動だけでは食べていけないので生活費を稼がないといけなかったんです。バンドの方は、最終的にプロにはなれませんでした。ライブハウスではそこそこ人気はあったんですが、残念ながらメジャーデビューまではいけなかったですね。

信じたことを真面目にやり続ける

―そんな経緯があったんですね。その後はどうされたのですか?

音楽の道を諦めた後は、「これからどうしよう」と迷っている時期で、一時ネットワークビジネスもやりましたが、全然うまくいかなかった。これがやりたいということもなくて、この頃が人生の中で最も悶々としていたと思います。27、28歳くらいですね。その頃に出会ったのが自己啓発書です。そこからいろいろな本を読むようになって、そして出会ったのが「7つの習慣」という本です。 それと、フランクリンの手帳も使うようになりまして、この本と手帳に出会ったことが、私にとって大きな転機になりました。

人それぞれ信じるものは違っていいと思うのですが、やっぱり何かを信じてやり通すことは大事じゃないですか?私の場合はそれが「7つの習慣」だった。この本に書いてある通りにやれば成功できると信じて、真面目に取り組んだ。その積み重ねがあったから今があると思います。もちろん今もバイブルですし、7つの習慣のインストラクターの資格も取りました。

―会社を設立するまでのお話を聞かせていただけますか?

もちろんです。バンド時代も仲の良かった高校の時の後輩がいまして、彼から「今僕がバイトしている会社が正社員募集してるんですけど、面接に来ませんか?」と誘われたんです。それがクリーンテックという清掃の会社です。ここの社長が面白い人でして、ある日社員を集めてこんなことを言ったんです。「この会社の夢は、会社が永続的に発展することだ」「でもね、社員の夢は違う。社員の夢は一人ひとりが自己実現することなんだ」「だからここにいる社員全員が経営者になるのが1番いい」と言うわけですよ。聞いている私たちは「ん?どういうこと?」って感じだったんですが、私はその考えに共感できたので、やりたいと手を挙げました。

―そこで手を挙げられるのすごいです!

そうですね。まだ入社して2年目くらいでしたからね。でも社長のことが好きだったし、社長の本気度も伝わった。私も真剣に仕事をしてたので、よしやろうとなり、分社化されて2003年9月に誕生したのが、ファイヴエーカンパニーです。

その後同じようにして合計5社が独立してグループ経営の形で運営していました。ルールとしては、経営理念だけはみんな共通のものにして、あとは自由にやっていいよというもの。お客さんも自由に開拓して構わないとなった。その形でやってたんですが、5人経営者がいれば、だんだんとずれが出てくるんですよ。考え方も変わってくるし、意見も変わってくる。さらには、エリアの問題もあって、お客さんがバッティングすることもあるんです。

「品川区だと間宮のところだけど、杉並区だと本社がやる」とかね。物件をいろんなエリアに持っているお客様からすると、間宮さんにお願いしたいのに、このエリアの物件はグループの別会社が担当するとか分かりにくい。もちろんその逆もしかり。そういったこともあって、いろいろと考えて2017年にグループ会社から抜けて完全な独立経営をすることになりました。

新たに経営理念をつくる

―完全に独立されてからは、どんなことに取り組まれたのですか?

まずは、経営理念をつくり直そうと決めました。これまではグループで共通の理念でしたが、やはり自分の会社の存在意義はちゃん自分で考える必要がある。信頼できるコンサルタントの方に手伝ってもらおうと声をかけたら「そんなもん自分で考えろ」と言われました(笑)。しかし結果的にその会社の別の若手のコンサルタントの方がついてくれて、1年間コーチングを受けながら経営理念をつくりなおしました。

この間はいろいろなことをやりました(やらされました)。ビジョナリーカンパニーという本を読んでレポートを出してくださいとか、深川不動に行って護摩行やったり、感謝の神棚を作って毎朝般若心経を唱えるとか、「私は仏教徒じゃないんですが…」と言っても、「いいんです、毎朝やってください」と言われて、1ヶ月会社でやり続けてましたよ。社員からは、社長がおかしくなったんじゃないかって言われてました。

でも、そういうことをやっている中で、自分の本当の気持ちが出てくるんですよ。最初は「なんのためにこの仕事をやってるんですか?」と聞かれると、「元は食うため(生活のため)に始めたんだ」「別に掃除なんか好きじゃない」みたいな気持ちが浮かぶんですけど、繰り返し繰り返し自問自答していると、だんだんと自分の奥に深く入っていくのがわかった。「自分は独立してからこれまでの10年間、どんな思いで仕事をしてきたのか?」「いつもお客様の期待に応えよう、その期待を絶対超えてやろう」そういう思いがあったことに気が付いたんですよ。

そうやってできた理念が『常にお客様の期待のちょっと上を目指します』なんです。

社員の幸せをつくるハッピー課とは?

―会社を経営する中で大切なことは何だと思われますか?

やっぱり人を大切にすることが大事だと思います。うちはお掃除が仕事なんで物を作ってるわけじゃない。現場で頑張ってくれている社員がいる、550人いるパートさんたちが毎日掃除をしてくれているから、お客様にサービスを提供できている。だからこそ人を大切にしなきゃいけない。それをずっと考えて今に至っています。

ただ、この考えになるまでは、いろいろな方から学びました。昔の親会社であるクリーンテックの社長は、「お掃除の会社は従業員第一を考えてやらないとダメだ」って言うんですが、別の勉強会では「従業員第一なんて言ってちゃダメだ、お客様が一番大事だ」と言われる。そんな中である方に言われたのが、「間宮さん、お客様第一をやるのは、現場の最前線の従業員さんでしょ?」「だったら社長は従業員の幸せを第一に考えないと」この言葉にすごく納得しました。そういうことなんだなと。

ハッピー課の田村さんとハピネスさん

―従業員第一の具体的な取り組みがあるんですよね?

そうです。それが、ハッピー課という取り組みです。きっけけは、ドリームプランプレゼンテーションでした。どういうものかというと、自分のドリーム(夢)を 10分間の映像にまとめて、それを見せながらプレゼンをする。自分の夢を語り、それに共感する人が出てくると、必ずその夢は叶うというものです。この大会に参加しようと社内でプロジェクトを立ち上げて、半年間研修を受けながら、みんなで「私たちの夢はなんだ?」と徹底的に話し合った。その中で、自分の夢を思いっきり語ったのが、田村という社員です。彼は「僕はハッピー課という部署を作りたいんです。そこでは清掃員さんを大切にするためだけの仕事しかしないんです。他の仕事一切しないんですけど、それだけやらせてください」ということを熱く語りました。

それをドリームプランプレゼンテーションの大会でプレゼンしたら、賞を獲得、その後実際にハッピー課を立ち上げました。現場の清掃員さんのことをハピネスさんと呼び、ハピネスさんの誕生日や勤続記念の際には、現場まで行ってお祝いをしたり、メッセージを書いたハガキを渡しています。清掃員さんは70代、80代の高齢の方も多く、中には一人で暮らしている方もいます。自分の誕生日をお祝いされることがなかったり、人との関わりが減っている方にとっては、こうした気遣いはとても喜ばれます。何より担当している田村が楽しそうにしているのもいいですね。

若者支援の取り組み

―素敵な取り組みですね。その他に若者支援にも力を入れていると聞きました。

はい。労働力不足、人手不足の解消のために外国から人を呼ぼうとする動きがありますが、日本国内で働きづらさや生きづらさを抱えた若者がたくさんいる、ニートや引きこもりといわれる人数も増えています。それであれば、今働けない状態にある人たちの中から少しでも働ける人を増やしていくことは大事なのではと考えて、そのような若者を雇用しています。

具体的には、地域の若者サポートステーションと連携して、専門家のサポートも受けながら雇用した若者を育成しています。現在は26人の方に働いてもらっていて、中には20年間引きこもっていた方で4年以上働いているスタッフもいます。この方の場合は、週1回2時間の就労体験プログラムを8週間行ない、そのままアルバイト勤務をスタート。最初は長く勤務できるのか不安もありましたが、週に1日、2日と勤務日数を増やしていき、今では契約社員として活躍しています。

他にも最初は週1〜2回のアルバイトから半年も経たずにフルタイムになり、その後契約社員になって、今やチームのリーダーとし活躍してくれているスタッフもいます。以前は引きこもっていて自分に自信が持てずにいたらしいのですが、うちの会社でサブリーダーを務めるようになって、責任感も芽生えて、 周りのスタッフとも積極的にコミュニケーションを取るようになりました。

そして彼の場合は積極的になりすぎて(笑)、なんと女性社員と社内結婚したんです。「社長、ちょっとお話があるんですけど」と言うから、辞めるのかな…と思ってたら、なんと結婚しますと言う話で、さらに相手は同僚の女性社員だと聞いて本当にびっくりしました。

―それは嬉しいですね!

はい!めちゃくちゃ嬉しかったです!

虹のような会社を目指す

―最後に、ファイヴエーカンパニーのこれからについてお聞かせください。

スタッフのみんなに伝えたいことは、「誰かのようにならなくていい」「自分らしく、あるがままでで自己実現をしていて欲しい」と言うことです。そしてそれがちゃんと実現できる組織をつくりたい。それはある意味虹のような会社なのかなと思います。一人ひとりが自分の色を持って、自分らしくいられる会社。それこそが私が考える素晴らしい会社です。

最後に、7つの習慣に出てくるゲーテの言葉で締めたいと思います。これは私がスタッフとの接し方のベースにしている考え方でもあります。『現在の姿を見て接すれば、人は今のままだろう。人のあるべき姿を見て接すれば、あるべき姿に成長していく』一人ひとりそれぞれが素晴らしい。誰もが最高の自分になれる、自己実現できると私は信じています。

スタディツアーの学び

間宮さんはじめ、働く皆さんそれぞれが相手の幸せを願い、一人ひとりが自分らしく働ける環境を整えるための取り組みを続けているのが印象的でした。参加された他の会社の方からも「学びになった」「自社でも取り入れたい」という声をいただきました。
主催:ボーダレスキャリア株式会社

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?