【読書記録】中山七里『特殊清掃人』
中山七里『特殊清掃人』読了しました。ミステリーというより、お仕事小説です。中山七里さんっぽくないと言えばそう。
特殊清掃はYouTubeでたまに見かける(〇年物の汚部屋を大掃除!みたいな動画)ので、部屋の様子はなんとなく想像できている……つもりでした。お風呂の追い炊きで人間シチューは考えたこともなかったなァ……。
あらすじ BOOK WALKERより引用
誰もいなくなった部屋にこそ、住んでいた者の嘘のない生きざまが現れる──。特殊清掃業者〈エンドクリーナー〉には、日々、様々な依頼が押し寄せる。彼らの仕事をとおして、死者が抱えていた様々な事情が浮かび上がる。『護られなかった者たちへ』の著者が贈るヒューマン・ミステリー。
五百旗頭ってなんて読むんだっけ
香澄(主人公)、白井、社長の五百旗頭。この3名が特殊清掃人です。
社長の名前はイオキベと読みます。珍しいお名前。由来を調べてみたけれど、情報少ない……。
おそらく、先祖を大切にする人的なミーニングでしょう。五百旗頭社長は部屋を綺麗に片付けるだけでなく、その部屋に住んでいた故人に思いを馳せる人です。主人公 香澄が故人の想いを汲もうと奔走する背中を見守り、時にサポートしてくれる、まさに理想の上司です。
特殊清掃人の仕事
孤独死や自殺、殺人があった部屋を掃除するのが特殊清掃人です。一般のハウスクリーニング以上に、人が住んでいた痕跡を無くすことが重要。とは言っても、腐敗した身体や蓄積されたゴミ類、それらを元にして育った虫が立ちふさがるので一筋縄ではいかない。かと言って、全部を捨ててしまうと遺産問題で揉めるというジレンマ。
さらには、部屋においてある道具で故人の生き様を想像して落ち込んでしまうという問題も。体力仕事だし、感染症の危険もあるし、本当に大変なお仕事だと再認識しました。……私もいつかお世話になるのでしょうか。
特殊清掃=再看取り
特殊清掃が必要になる部屋の住人の共通点は、誰にも看取られなかったことです。
『特殊清掃人』は、残された部屋を通して故人の想いを汲むお話。直接死を看取られることはなかったけど、部屋の生きていた痕跡もすっかり清掃されてしまう運命だけれども。せめて清掃中に思いを馳せることが、再看取りということになって欲しい。私にはそんな思いのこもったお話に感じました。
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