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【読書記録】谷瑞恵『めぐり逢いサンドイッチ』靭公園でファミマのサンドを食べた

 谷瑞恵『めぐり逢いサンドイッチ』読了しました。
 大阪の靱公園に構えるサンドイッチ屋さんのお話。私の勤め先もその辺りなので、より登場人物が身近に感じられました。

あらすじ Amazonより引用

 大阪の靱公園にある『ピクニック・バスケット』は、開店して三年を迎える手作りサンドイッチの専門店。蕗子が、姉の笹子──笹ちゃんのこの店を手伝いはじめて、半年になる。
 笹ちゃんは店を訪れた人たちの、具材への思いや記憶、そして物語をやさしくパンにはさんで、誰が食べてもなつかしいような新しいような、そんなサンドイッチをつくっているのだ……。
 おっとりした姉としっかり者の妹、店を訪れる個性的な人々──常連客の小野寺さんやパン職人の川端さん──が織りなす、優しくも愛おしい物語。

人間不信によく効く小説

 私がこの本を読んだときは、仕事がうまく行かず非常に落ち込んでいる時期でした。会社の同僚のことが信用できず、仕事も回してもらえず……もう知らん、一人で生き抜いてやるッ! という態度で出勤してはヘトヘトになって帰宅する日々でした。
 そんな時期に出会ったのが『めぐり逢いサンドイッチ』。「ピクニック・バスケット」の店主 笹ちゃんのお節介なまでのコミュニケーション仕草を読んでいると、他人に興味を持つのも悪くない気がしてきました。そして、私もサンドイッチを食べれば救われるんじゃないかなという気持ちにもなりました。
 会社の昼休みに靭公園へ出向いて、ファミマで買ったサンドイッチを頬張って、少しだけ気持ちに余裕が芽生えたことを覚えています。もちろんサンドイッチの種類はたまごサンド。と言っても、ゆで卵をつぶした関東風ですが。

ピンクのたまごサンド?

 サンドイッチとは実に単純明快な食べ物です。パンとパンで具材を挟んだもの全般をサンドイッチと定義付けても差し支えない。(バインミーとかハンバーガーは??)間にサンドする具材は、総菜でも甘味でも、なんでも代入していい。非常に包容力のある食べ物ジャンルなのです。
 そんなサンドイッチにも、ちょっとした派閥があります。たまごサンドは卵焼きか、それともゆで卵か、という論争。きのこの山たけのこの里論争と同じく、人間には二極化して論を争わせる習性があるようです。さて、「ピクニック・バスケット」はどっちだ?と思ったら、まさかのどっちも置いている。(「好きな方が無かったらお客さんが寂しい思いをすると思って」by笹ちゃん) さらに、お客さんの記憶を頼りに、ピンクのたまごサンドを作ろうとしている。な、なんて包容力……!
 私は二陣営に分かれてディベートするときに、第三勢力を名乗る人(きのこたけのこ論争でアルフォートを持ち出す人)は腰抜けだと長らく思ってきました。が、ピンクのたまごサンドのお話を読んで、「まぁ、アルフォートだって美味しいし……」ぐらいの温度感にクールダウンしました。いやでもきのこたけのこは明治でアルフォートはブルボンだから

読む処方箋

 本編とあんまり関係のない話ばっかりしてしまった……。正直ちょっと内容を忘れ始めてる。気持ちが落ち込む時期って、記憶力まで低下する気がします。続編が読みたくなった時は、もう一回読み返すことにします。

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