マンゾウ
僕の名前は、源五郎! 僕は旅が好きだ。 本当は、時間とお金があれば世界を歩いてまわりたいと常々思っているが、サラリーマンとしてはそれは叶わない。 一人者で自由気ままな僕は、休日になると息の詰まるようなモノクロで四角い部屋から飛び出して小さな旅に出かける。
今日は、土曜日、昼過ぎに散歩に出た。アパートの鉄骨でできた階段を、二階からカンカンカンとかかとの硬い靴で降りて通りに出た。 暑くも寒くもない、晴れたり曇ったりの午後だった。ポケットに手を入れて町場へ向けて下を向いて歩いている時、ふと道端に見つけた2、3cm角ぐらいの石ころを蹴って、側溝にシュートしてみた。 ポトッという鈍い音と共に、流れる水の中へ落ちていった。あぁ、あの石はこのまま、ずっと、側溝を取り替えるまであそこに沈んでいるのだろうか?それとも、最近の豪雨で流れが速くな