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自分は短気です。どうすれば温和になれますか?

 10月30日(月)に、宮崎日日新聞「げん先生の悩む前に質問しよう」に掲載したものである。中学校1年生の生徒からの質問に応えた。
  
 「どうすれば温和になれるか」という方法を知る前に、「なぜ温和になりたいのか」というビジョンを考える必要があります。人間が変わるには、「どうする」というハウツーではなく、「なんのために、なぜ」というものの見方・考え方や自分を取り巻く関係性を見つめ直すことが求められます。さらに、自分にあるおぼろげな考え方を見つめていくには、短気とはどういうことかをていねいに探る必要があります。

 自分より短気な人に出会うと、「ああはなりたくない」と自分を客観視できます。先へ先へ急いでいて落ち着かない、せっかちなところというより、感情が高ぶりやすく相手に怒りをぶつけてしまい、すぐに腹をたてるところが嫌いですか?

 子どもからおとなになる思春期は、心身の変化があるので、いつもイライラしてしまいます。そういう安定しない自分に、中学生は付き合うしかありません。自分自身をしかたがないと受け入れていくには、思春期のメカニズムを知って、自分に何が起こっているのかを知る必要もあります。 

 ところで、人間は、人からよく見られたいがために変わろうとすると、悩みは大きくなるばかりです。思春期は、自分が何を大切にしたいのかを考える機会でもあります。短気な人には、相手の自分勝手さや理不尽さへの怒りがある。そうした正義感は大切にした方がいいと思います。人間が変わるには、今の自分をリセットすることではなく、嫌いな自分から大切にしたい自分を取り出す作業が必要になります。

 自分を大事にすると、相手を傷つけてしまう。相手に合わせると、自分を見失ってしまう。短気な人は、表現方法に選択肢がなく、相手にも食ってかかるだけになりがちです。人は誰でも、自分のことを正確に知ってもらいたい。自分の価値観を上手に気持ちよく伝える方法を学び続けると、人はあなたのことを芯のあるやさしい人だと思います。


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