愛と恋の違いは何ですか
9月4日(月)の宮崎日日新聞に掲載された「げん先生の悩む前に尋ねてみよう」では、中学3年生の女生徒からの質問「愛と恋の違いは何ですか」に応えた。
恋は、自分のよさをわかってもらおうとする行為であり、相手のよさに目が向く行為であるが、パートナーとの愛は、自分の未熟さもさらけだす行為であり、相手のいたらなさをも受け止める行為である。相手の文化を理解し、自文化を問い直すという異文化理解ができないと、恋から愛には、変わらない。相手にわかってもらおうとするうちは、まだ恋なのである。
相手が大切にしていることを自分も大切にすること。相手が自分を大切にできていないときこそ、味方になること。恋は一人でもできますが、愛は二人の関係がつくるものです。
中学生からは、「片思いの人にどうしたら振り向いてもらえますか」とか、「好きな人に想いを伝えられない」とか、恋愛に関する質問が寄せられます。一人では抱えきれない純粋さが伝わってきて、私にはどうしようもありません。
恋愛は、人から答えをもらうものではなく、自らの経験と照らし合わせながら、誰かに語るものです。古今東西、いろいろな人が恋愛に関して考察してきました。言葉にならないこころの動きは、歌や詩、小説として表現されてきました。自分自身に響く歌詞や詩、エッセイ、小説、漫画、映画などにたくさん出会い、感受性を豊かにしながら、自らの経験を学びに変え、自らのこころのうごきや相手との関係性をとらえることばをするどく磨いていくことをお勧めします。
というのも、恋に落ちると何も手に付かなくなるばかりか、DVやダメ男といった暴力的な関係にも巻き込まれるからです。片思いの人に振り向いてもらおうとするとき、付き合っている人に変わってもらいたいとき、どちらにも、自分自身を犠牲にするような対等ではない関係性が忍び寄ってきます。自分自身を守るためにも、恋愛に関する自分自身がもつ現在の答えをことばにしながら多様に多角的に問いかけることを、これからも続けてほしいと想います。
中学生が「愛とくらべて恋とは何か」を聴きたくなる真意はつかみきれなかった。愛は、親子の愛など対象が広いが、恋愛関係に絞った。
次回は、10月2日(月)に掲載が予定されている。
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