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コップを静かに置くというしぐさ

  子どもが生まれてから、妻に注意されたことがある。机に不用意にガンッとコップを置いたときである。子どもがまねをするというだけでなく、下品になるという。静かな音が子どもの心を穏やかにし、耳障りな音が子どもをイライラさせる。気品あるしぐさが子どもの佇まいを上品にし、がさつなしぐさが子どもの言動を下品にする。マナーやルールは子どもに与えるものではなく、日々の生活の中で親をまねることで子ども自身が形づくるというのだ。
 腕を組まない。扉はバーンと閉めない。ソファに深く腰掛けない。物は投げない。大声を出さない。これまで不注意にも身に付けてきた習慣はそうは変えられない。日々の生活で自分や子どもを時々観察して、静かで気品ある生活を探究し続けたいと思う。教える側の学びの深さが、教えられる側の学びを左右する点に注意を向けていきたい。

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