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どうすれば強い意志を持てるようになりますか?

 宮崎日日新聞に掲載している「げん先生の悩む前に質問しよう」に寄せられた中学校3年生からの質問「どうすれば強い意志を持てるようになりますか?」に、11月5日の朝刊で応えた。下記の文章は、提出した原稿である。
 
 今やるべきことがあるのに、つい、他のことをしてしまう。そして、今日中に終わるべきことが後回しになってしまう。意志は、やるべきことをやりとげるだけでなく、やってはいけないことに手を出さない力でもあります。
やってはいけない誘惑に負けて、なぜ自制心を失ってしまうのか。多くの場合、心の問題ではなく、環境に問題があります。誘惑が自分の近くにありませんか。疲れがたまっていたり、食事が偏っていたり、寝不足だったりしていませんか。意志を持つには、やり始める前にきちんと条件を整えるような、抜け目ない思慮深さが必要です。

 さらに、意志の強い人には、ただ頑固なだけでなく、他者の意見を聴き、常に自分を更新していくような、しなやかな素直さがあります。毎日継続しながらも、日々新しくなる自分に出会う。そのためには、自分の得意なところをポジティブにとらえる自尊感情ではなく、至らない未熟な自分を受けとめることのできる自己肯定感が必要になります。自分が未熟であることを自覚しているからこそ、やり通したり毎日続けたりできるのです。なお、自己肯定感は、自分自身が失敗や間違いをさらけ出し、まわりの人が自分を助ける機会となるような場や関係が育くむものです。誰かにヘルプを出せる弱さが、意志の強さを支えることになります。

 ところで、どうして強い意志を持とうと思ったのですか?

 意志は、欲望とは異なって、自分のためにではなく、誰かのために持とうと思わなければ、強くはなりません。たとえば、自分さえわかればいいと思って勉強するのではなく、わからないことを解説できるようになりたいと思える相手がいなければ、勉強は続きません。あてにされる関係が、意志を強くしていきます。自分が持とうとする意志の強さは、誰を幸せにするのか。自分が創り出す未来を考えてみてはいかがでしょうか。

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