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日々読書‐教育実践に深く測りあえるために

田中博史・河内麻衣子『新しい研究授業の進め方』東洋館出版、2022年。

 校内研究会が、学習指導要領のキーワードについての伝達講習ばかりになっていくことは、宿題をたくさん押し付けられた子どもと同じで、学び手の意欲の停滞を感じるものである。しかし、高岡小学校では、日々の子どもの姿から授業を変えようとする視点に絞って、議論し合うことも純粋に楽しんでいるという。事後検討会でも、参加する教職員全体が授業者の思いを大切にし、授業者の課題を解決するためにという、共通認識がある。

 事前検討会も指摘された内容について、本当は授業者には試したい想いがあって、変えたくない場合がある。検討し合うという条件は、相手から意見を言われても、その意見を採用しなくても話せる関係の人である。授業者がうまくいくないときに、自分のせいではないと思ってしまわないようにするということでもある。学び手が、助言を取捨選択して活用できることができるか。学び手の主体があるという点が大事なのである。

 研究者も、現場の授業をたくさん見に行ったとしても、教室に一人でも日常にいない人が入ると、途端に子どもは変わる。研究者が見ている授業は、非日常である。普段の子どもたちの様子が見ているのは、担任だけなのである。

 

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