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おもしろさを考える

 都城市総合文化ホールまで家族でお出かけした。「みつばち共和国」という演劇を観に行ったのである。公益財団法人宮崎県立芸術劇場主催のこどももおとなも劇場である。

 人類の食糧の半分は、ミツバチに支えられている。ミツバチは、絶滅の危機にある。花から地球まで、すべてはつながっている。自然の魂の響きに耳をすませているか。

 メッセージ性の強い演劇だった。私も妻も寝てしまった。笑うようなシーンはなかったけれど、息子はおもしろかったという。影で表現する照明、重みが響いてくる声、映像で語る感覚、舞台の世界に引き込む音響、そうした演劇全体がつくり出す非日常の体験を楽しんだのだろう。

 子どもに興味を持たせようとするおもしろさは、たしかになかった。子どもに合わせてわかりやすく内容を説明するのでもなく、現実の重さや危機感の鋭さを伝えようと表現を追究したさきに、観る人を引き込むものが生まれている。鑑賞は、内容が伝わったかどうかではなく、感覚や問題意識を共有できたかどうかという点が重要なのだ。演劇鑑賞のあり方を息子に教えてもらう機会となった。

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