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受験が不安です。

 私立中学校を受験する。お母さんに「落ちたらどうしよう」と相談したら、「大丈夫」と言ってくれる。だけど、本当に大丈夫なのだろうか。心配で落ち着かないというのですね。
 
 不安になったときは、答えようのない言葉を口にするのではなく、お母さんに抱きつきましょう。ぎゅっとし返してくれたり、頭をそっとなでてくれたりするはずです。場合によっては、夕ご飯のリクエストに応えてくれることもあります。これを機に、自分を大切にしていく甘え方を学びましょう。
 
 あるいは、お母さんに、たとえば「どうしたら、深く眠れるか」というような前向きな相談をしましょう。ご飯をよく噛んで、身体にやさしい食べ方をしていますか。お風呂にゆったり入って、身体を温めていますか。よく眠れると、次の日には嫌なことを忘れることができます。おとなになってお酒で身体を壊したり、無駄な買い物をしたりしてしまわないように、自分の身体のいたわり方を学びましょう。
 
 ところで、「受かったら、どうしよう」とは、考えないのですか。電車通学であれば、毎日一冊の本を読むと、一年間で二百冊は読めます。毎日一曲ずつ、歌詞に着目したり、ある楽器だけに注意したり、何度も何度も同じ曲を味わう時間にすると、たくさんの音楽があなたを支えてくれます。素敵な風景を探して毎日写真に撮ると、美的感覚が養われます。毎日イラストを一つ選び自分でも描けるように真似すると、絵や図でも自分の気持ちや考えが表現できるようになります。
 
 不安は、人と比べたときに大きくなります。できない自分を受け止め、練習の仕方を工夫してできるようになる。受験勉強は、自分自身が使いこなせることを増やしていく作業です。できなかったことができるようになったこと。いくら取り組んでもできないこと。自分が向き合っていることを毎日一つ、お母さんと共有できるといいですね。

 1月29日に宮崎日日新聞に掲載された、小学校6年生からの相談に回答したものである。受験勉強は、できるようになる、わかるようになるというのではなく、使えるようになるために練習する作業であるが、ストレスにどう向き合い自分の身体をいたわる方法を身に付ける機会でもあると考えた。

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