愛に飢えていたわたしが夢で出会った人のことを好きになる話
スーパーで野菜を一緒に買うって
そこそこ深い関係じゃないと出来ないと思うんだ
だからわたしは1人で買っている
後ろを誰かが通りかかる
「チャーハンに玉ねぎは絶対入れなきゃだめだよ」
知らない声が聞こえてきて
なんの抵抗もなくカゴにひとつ玉ねぎを入れる
季節なんて関係なくスーパーの中は寒くて
とても冷凍食品のコーナーには近づけなかった
その日の夜はやけに暑かったのに
ちゃんとパジャマを着るわたし
寝る前は寒くてヨレヨレのヒートテックも着てた
玉ねぎを所望していた彼が布団に入り込んできた
シングルベッドに2人で寝ることの狭さは知っている
でもこの体温は知らない
表面的には温くないのに心がポカポカする温度
何も知らない、この温もりもこの人も
「寝るときにヒートテックなんか着ちゃダメじゃん
僕が触れなくなっちゃう
君が偽りの温もりばかり知るのはそのせいだよ」
何言ってるか分からなかった
でもその通りだと思った
いつの間にかヒートテックはなくなっていて
そこそこな布団に2人で包まって
君はなんて温かい人なんだろう
全く知らない君
声と温かさと手の感触だけの君
君とわたしを繋ぐ糸は何色?
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