見出し画像

市職員として「どのように勉強してきたか」振り返ってみた。-政策立案パターン・ランゲージの種探し-

こんにちは♪ComMの秀太です。文章を書くのは得意ではありません。ですので、書いてみました。今回は政策立案パターンの種を探すため「行政職員として、どのようにして勉強してきたか」ということを振り返っててみました。

私は2005年に新潟市役所に入庁して、16年目となりました。これまで、色んな仕事に関われましたし、共にがんばれる仲間がいますし、勉強してチャレンジして、充実しているなぁと思っています。そうは言っても困難もありましたし、楽なときばかりではありません。そんな局面を乗り越えるため、日々、勉強をコツコツと続けてきました。

勉強は、一人でも勉強しますし、仲間と一緒に勉強することもあります。

2006年2月から「新潟せいさく所」という、毎月第2水曜日に定例会を設けて勉強するグループをスタートさせました。それを皮切りに、「にいがた市士の陣」、「Niigata liberal Arts Club」、「ComM」など、学びの機会をつくる複数のグループに関わらせてもらっています。いい仕事をしたい。そんな最初の気持ちから、仲間ができて、現在に至ります。

■勉強しないと~。と、思ってる人はたくさんいる


市役所に入るには、試験があります。試験は大変でした。大学受験でもよく言われていますが、これがゴールじゃない。いい仕事をしないといけません。そのために、「もっともっと勉強しないといけない。」と考えるのが普通だと思います。

一方で、「あーでも仕事が忙しい。なかなか時間がないし、心身ともに疲れちゃった。」となって、なかなか勉強できない事も。(でも勉強しないと、もっと辛くなる…という事実もある。)

勉強と言っても、その対象は、仕事に直結するものもあるし、そうではないけど役に立つもの、自分の興味があるものなど色々あります。タイミングも、3年が経過して初めての異動で新しい仕事の勉強もしないとだし、とか、段々慣れてきたから興味のあることも勉強していきたい、節目だから気持ちを切り替えて頑張っていきたいなど、様々。

気持ちはある。さて、どうしたらいいのか。というのは、あるある、ではないでしょうか。

■どのように勉強してきたのか、振り返ってみた

一文で書くなら「問題意識・課題意識を持って、それを解決・改善する取組を実践・実行するため、学習の目的を設定し、本や雑誌を読むことと外に出て見聞を広げることを中心に、少しずつでも毎日継続し、また、仲間をつくって勉強してきた」ということになります。

図2

そんなことを、動機づけ、方法、継続のコツという視点から、ちょっと振り返ってみました。下記のとおり書いてみましたので「なかなか勉強が…」という方への、参考になればと思います。

■まずは、問題意識・課題意識を持つこと、気づくこと
■問題意識・課題意識を基に、手を動かしてみる
  ○真似することで、手が動きやすくなる
■勉強・学習の私的ポイント
 ①動機付けとなるもの
  ○勉強の目的を持つ
  ○定期的に目標を定める
 ②基本的な勉強の方法として
  ○本を読む
  ○外に出る
 ③継続するために有効なこと
  ○ちょっとずつでも毎日やる
  ○仲間をつくって一緒に取り組む
■勉強は楽しい

■先ずは、問題意識・課題意識を持つ・気づくこと

図3

勉強は、基本的には仕事に活かすために行っていました。もちろん好きなこと、趣味的な勉強もあります。短期的に役立つか、長期的に役立つかという見方もあります。(市役所の仕事は多岐にわたるので、趣味的な勉強も役に立つときがくるかも。)

先ずは仕事をしているうえで「ここがおかしい、もっとこうしたら良くなる、こういう企画をやってみたい」といった素直な気持ちを大切にして、それを実行するように心掛けていました。実行のための方法などを考えて、必要な勉強をしていきました。

入庁前から行政の仕事の仕方はこれでいいのか?と思っていました。税金に対して、しっかりと仕事ができているのか、もっと良いサービスを、という気持ちで入庁しました。

それを実現するために、勉強を続けることを意識てきました。世の中が変化しているなかで、その変化に取り残されてはいけない。変化を前提に仕事をしていきたい。という気持ちを勉強の原動力にしています。

勉強の方向性は、結果的に、経営関係のことに興味を持ちました。行政も経営が大切だという気持ちで、書店に行けばビジネスコーナーへ足を運んでいます。世の中の変化を感じるにも書店は便利。現在はこういうテーマが売れているのか、と、タイトルを見て回るだけでも面白いものです。

また、新潟市が都市としてもっと良くなればいいという想いもあるので、都市・まちづくり系のコーナーにも足を運びます。私は市職員であると同時に市民でもあります。市民として、新潟市がこういう都市であってほしい、こんな楽しいことがあると嬉しいといった考えも大切にしています。

■問題意識・課題意識を基に、手を動かしてみる

図4

新潟市が良くなるために小さなことから手を動かしてみました。新潟市役所では「やろてば新潟」という改善提案の機会があります。「新潟せいさく所」では、その機会を活用して様々な提案をしました。

入庁して2年目だったでしょうか、名刺をオリジナルで作れて機動力も高めて経費削減できるように、名刺を業者発注だけでなく自分でも印刷できるように提案しました。その後は、地域のデータを整理して地域の問題を見えやすくすることで協働につなげよう、介護認定を例にプロセスを図で明確にして無駄を削減していこう、などの提案を行いました。

もちろん個人的にも所属部署で、新規事業の企画、業務量の割に人員が少ないと思ったら他業務などとの比較分析する資料を作成するなど取り組んできました。

○真似することで、手が動きやすくなる

問題意識を持って何かチャレンジしようとするときに、実は、そのやり方がわからない、ということも多いと思います。やりたいけど、できない。こういうときは思い悩むより、真似してみることが、ストレスないやり方です。

真似をする先は、本で調べてもいいし、ネットで引いてもいいし、人から聞いてもいいと思います。やりたいことに合わせて、自分がいいと思うやり方で、まずは真似してみる。

世の中にはベーシックなことから、それをひねって進化させたもの、亜流な独自のものまで、色んな型があります。いくつか試してみると比較できて、よりよいやり方、やり方のパターンが身に付きます。

最初に真似したのは、企画書の書き方だったと思います。当たり前ですが、5W2Hが大事ということが書いてあって、企画書の例が掲載されていた気がします。

例となるものを脇に置いて、真似して書いてみました。フレームワークがわかっても、自分の問題意識をそこに載せていくのは簡単ではないですが、フォーマットがあるだけで随分と書きやすくなるものです。その繰り返しで体に染みついで、使えるものになっていくのだと思います。

手を動かす、頭を使うことは大切です。何かの時のために準備しておこうという前向きな気持ちも大切です。その後、企画書以外にも真似をしました。

例えば、メモの取り方や手帳の書き方なんかもありました。考えを整理するためのマインドマップを書いてみたり、SWOT分析やPEST分析、ピラミッドストラクチャー、バリューチェーンなども真似していました。

真似して、慣れて、応用できるようになると、色んなケースに使えるようになります。先人が時間をかけて一般化してきた型を真似して使ってみました。

手を動かす前提で、何を勉強するかを決めることは大事だと思います。

次に、動機づけ、方法、継続のコツという視点から、書いてみます。

■勉強・学習の私的ポイント

①動機付けとなるもの

図5


○目的を持って勉強する

勉強をするときに、何のため、というのを曖昧にせず、明確にしておくことが効率的です。「このために、これを勉強する」という狙いを持っていたほうが、膨大な情報の中から取捨選択することにつながりますし、何よりも頭に入りやすく定着しやすいと、実際に感じました。

カラーバス効果というのがあって、これは、ある一つのことを意識することで、それに関する情報が無意識にたくさん集まるようになる現象です。簡単な例で示すと、赤いものに注目すると、今まで気づかなかった赤いものが目に入っくるというようなことです。

勉強も同じで、本を読むにしても目的を設定することで、本に書かれている文字の中から、必要なことが見えてきて効率が上がります。

でもやはり目的を持つことは、そもそも、何かを良くしていくために実践するという前提を忘れないことが、本質的に重要です。

本を買うとき、目的を持って本を探します。そして、買った本の最後のページの余白に、買った日付と目的をわざわざ書いていました。本を開く前、読み終わった後に、そのページを開く。ついつい忘れがちな目的を、見返すことで確認していました。

手段の目的化という言葉も耳にするときがあります。勉強することは素晴らしいことですが、勉強自体を目的にしてしまうのは、勿体ない。何かをするために勉強すること、勉強したことを何かに活かす、ということが大切なことだと思います。

○目標を定めて勉強する

何かをするとき、“いつまでに”と、期限を定めることも動機付けになります。締切をつくってしまうのはストレスかもしれませんが、人間なんて怠惰なものですので、一定の縛りも必要な時があります。しかしながら、期限までに成し遂げれば、達成感があって気持ちいいものです。

仲間と何かをするときも、そのグループの中で期限設定することも効果的です。次に会う日を決めたり、勉強したことを共有する機会をつくったり、期限設定することは、「やらないと」という気持ちになって、成果の観点でプラスです。

期限設定の失敗でよくあることは、日程とボリュームが不釣り合いで、辛いし達成できないというケースです。日数が少ないなかで、多量をこなすのはストレスです。できる分だけ、あるいは、できる分からちょっと背伸びするくらいで設定し、慣れてきたら増やしていくといいと思います。

前述しましたが、毎月第2水曜日に定例会を設けている会があります。月1回、開催日が決まっているので、リズムをつくって、その日を目指して勉強することができました。

会では、仕事や地域活動に関する資料をつくって発表することに取組んでいます。大学のゼミのように、発表資料をつくるために、調べる・手を動かすことが必要で、必然的に本を開いたり、ネットを見たりと色々なことが求められます。

良かったことは、期日が決まっていること。学習スケジュールを組みやすく「発表しないと」という意識も働くため、動機づけになりました。

②基本的な勉強の方法として

図6

○本を読む

勉強の仕方は様々ですが、本を読むことが基本ではないかと思います。

本は身近なもので、内容も充実しているからです。本を作るのは簡単ではなく、売れないと大変ですので、その分、しっかりした内容になっているはずです。

本屋に行けば、ジャンルごとに売り場が別れていて、必要な本を探しやすくストレスはありません。鞄に入れておけば、隙間時間にいつでも開くことができ、気軽なものです。値段もそんなに高くないので、買うのも気楽です。

古くから多くの人に読まれていた、いわゆる名著と呼ばれるものも、手に取ることができます。時間が経過しても廃れない、英智がつまっています。こういう本を読んでいると、読んでいる人が多いので、円滑なコミュニケーションにも繋がります。良い点はたくさんありますね。

読み慣れていないという、問題はあるかもしれませんが、先ずは本屋に行ってみてはいかがでしょうか。本のタイトルを見ているだけでも面白い。自分に何か問題意識や興味があれば、きっとカラーバス効果も働いて、本の前で足が止まるはず。

そして、本を手に取る。パラパラめくる。買ってみる。毎日、ちょっとずつでも読む。今日は5ページ。明日は8ページ。本を読むことは、大切な事です。

私も元々、本を読んでいたわけではありませんでした。仕事をしてから読むようになったタイプです。

最初に買ったのは、確か『7つの習慣』だったような気がします。自己啓発的な本で、多くの人に読まれ、たくさん売れている名著と言われる本です。買ってからはちょっとずつ読みました。読んでいくと、「へぇ~」という感じで面白い。

本の他、雑誌の定期講読もオススメです。最初に定期講読したのは『PRESIDENT』です。月に2回、家に届きます。初期投資で3年分、3万円くらいつぎ込みました。もったいないからという気持ちで、ちゃんと読みました。金銭的な面で動機づけになりました。

雑誌の定期講読は、毎回、異なったテーマのものが届きます。 PRESIDENT』ですと、経営の内容が多いですが、歴史、医療、経営者おススメの本など、毎回のテーマが異なります。テーマを見て、買う・買わないを選べない、というところが定期購読の醍醐味です。

好き嫌いで選べないことで、普段は選ばない内容にも触れることができて、逆に幅が広がりました。これまでに、色んな雑誌を定期講読しており、今も続けています。

○外に出る

外に出ることも良い勉強方法です。例えば、講演会に行ってみることです。

講演会は2時間から3時間の会が多いでしょうか。これなら数時間で、一定の知識を得ることができます。演者も色々で、地元の人が話すときもあれば、県外から来る人もいます。講演会に行くかどうかは、テーマ、演者がどんな人かということが決め手になります。

演者を目の前で見ることができるのも良いことです。これまでに、演者と知り合いになれたケースもありました。むしろ知り合いになりたいという目的で参加した会もありました。このように、本とは違った価値があります。

イベントに行ってみるのも良いことです。どうやってイベントを企画しているのか、どんなお客さんが来ているのか、観察してみるのも面白いと思います。

外に出ることは、五感で感じることでもあります。実際にその場の雰囲気や現象は、言葉や文書にしにくいものです。それを自分の中で感じることも、大きな蓄積になります。

また、本を読むことと外に出るということは、繋がっていたりします。外に出て疑問に思うことを、本で調べ直すということもありました。是非、セットにして学びの手段として捉えてほしいと思います。

講演会で印象的だったのは、入庁3年目のときに参加した水辺景観についての講演会でした。確か会場は朱鷺メッセ。新潟市もかつては堀の街。その会では、近江八幡だったり日本各地の事例を聞くことができて、興味の幅が広がりました。

ウォーターシャトルにも乗ることができましたし、市役所の他部署の人とも話すことができました。その後は景観の本まで買ってしまった、という盛りだくさんな感じ。講演の話以外にも体験的なことがセットになっていたというのが、本では味わえないこと。外に出る魅力でもありますね。

イベント関係では、上古町商店街のイベントに参加したこともありました。上古町商店街は、ゆるく、軽やかな感じで、心地の良い、素敵な商店街。そこのイベントでした。

商店街の通り沿いに、物販、飲食、縁日的なものなど様々なお店が出店。そのお店の手伝いをしながら、売り子の感覚を感じてみたり、お客さんの様子を伺ってみたり、裏方スタッフさんの動きを見てみたりと、実体験から学べた気がします。

スタッフ同士の会話もあったり、コミュニケーションの中から気づくこともあります。みんな楽しそうだ、とか、そういう感じの場づくりとはどういうことかなどです。外に出ることは、外に出ることで得られることがあります。

③継続するために有効なこと

図7

○ちょっとずつでも毎日やる

毎日、ちょっとずつでも継続することが大切です。最初からたくさんやろうとすると、続かないことがあります。 

『1日30分を続けなさい』という本に書いてあったのですが、1日○○分とか、1日○○ページとか、1日○○問とか、そんな感じでいいと思います。ここでの目的は、勉強を習慣化することです。

歯磨きをするように勉強するというようになると良いと思います。歯磨きをしないと気持ち悪いと思うんですが、それと同じように、勉強しないと気持ち悪いなぁと感じるようになると、継続できます。

少しずつでも続けることについて、実践していたことがあります。仕事の行き帰りの時間を利用して、バスの中で本を読む、マクドナルドでとりあえず書いてみるとか、そういうことをしていました。

通勤時間は片道40分くらい。眠いときもありますが、乗ったら本を開こう、と意識を持っていました。たくさんやらないといけない、ということではなく、ちょっとでもいいんだと思って取り組んでいた継続勉強です。

大学受験の後も大切な時間でした。大学の受験勉強は長く大変なことですが、受験後、大学に入るまでの間であっても勉強を止めませんでした(もちろん大学受験の勉強時間よりは短いですが)。

もったいないのは、受験が終わったらキッパリ勉強することをやめてしまうことです。大変だった反動なのか、 止めてしまうケースが多いと思います。100を10まで少なくしてもいいと割り切っても、せっかくの習慣を守るには、継続することが大切です。これは受験以外のケースにも当てはまるかもしれません。

○仲間をつくって一緒に取り組む

ついつい自分を甘やかしてしまって、なかなか続けられない、ということはよくあると思います。1人ではなく、仲間と一緒に勉強するというのも、良い方法です。

「勉強しないと~」と考えている人は自分だけではなくて、他にも大勢います。同じ気持ちを持った人と一緒にできれば「あいつもやってるんだから」とやる気も出ますし、やらないといけないという感覚にもなって、プラスに働きます。

仲間がいたほうが楽しいですし、「自分はこう思うけど他の人はこう思っていた」というように、多様な考え方にも触れることができ、同じ勉強でも幅が広がります。

入庁して最初の研修の後、同期との懇親会の席で、私が「勉強しないと!」と言ったらしく、それを覚えていてくれた同期がいて、その彼と勉強会を始めました。今でも毎月第2水曜日は勉強会の定例会があります。

言ってみるって大事だと、今さらながらに振り返り、本当に良かったと思っています。そういう実体験があるのでで、何かを言ってみることへの抵抗感も少なくなり、何かしたいと考えているときも人を誘いやすくなりました。

自分がやりたいと思ってることには、他にもそう思っている人が割といるものです。自分をベースにしたペルソナみたいな感じで考えて、仲間づくりを進めるといいかもしれません。言わないだけで、内にしまっているだけという人は結構いるものです。

■勉強は楽しい

今回、実体験を交えながら、 「問題意識・課題意識を持って、それを解決・改善する取組を実践・実行するため、学習の目的を設定し、本や雑誌を読むことと外に出て見聞を広げることを中心に、少しずつでも毎日継続し、また、仲間をつくって勉強してきた」ということを書いてみました。

勉強は楽しい。知らないより、知っていたほうが良い。世の中のことが、ちょっと分かった気になる。誰かと話すとき、共感の基となる。仕事に活かせる。新潟市が良くなることに貢献できます。

もちろんまだまだ勉強不足。これからも、勉強を継続して、豊かに生きていきたいものです。

このGenerative ComMの活動を通して「暗黙知から形式知へ」という取組も進めていきたい。そのためにも、今後も何か書いていこうと思います。

ありがとうございました(^o^)

執筆:渡邉 秀太

===========================================

Local Think tank Generative Commons(愛称:ジェネコム)

generative-commons@googlegroups.com


地域の「知」を未来に繋いでいくために、皆様からのサポートをよろしくお願いいたします。