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政策の作り方をアップデートする!-政策立案パターン・ランゲージ公開発表会-

7月18日(土)に「政策立案パターン・ランゲージ」の公開発表会をオンラインで開催しました。今回は、作成したパターンをもとに対話を行い、アップデートする機会でした。その様子をお届けします。

政策立案パターン・ランゲージはこちらからご覧ください。
https://note.com/generative_comm/n/na9188198670a

政策の作り方の共通言語を作ることの価値

政策立案パターン・ランゲージとは「行政における政策の作り方」を、「パターン・ランゲージ」という知識記述のアプローチで言語化したもののことです。

元々、パターン・ランゲージは、建築家クリストファー・アレグザンダーが住民参加のまちづくりのために提唱した知識記述の方法を言います。

アレグザンダーは、町や建物に繰り返し現れる関係性を「パターン」と呼び、それを「ランゲージ」(言語)として共有する方法を考案したのです。

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これをハードだけでなく、ソフトでも応用して「パターン・ランゲージ」化する取り組みが昨今、広まっており、政策立案という分野においても記述できるのではないか、というところから今回の着想が生まれました。

また、私たちが今回、政策立案パターン・ランゲージを作った背景には、
●政策立案に関する知の技術的側面への偏り
●政策の作り方についての共通言語がない

という問題意識がありました。

複雑化する社会課題に対応していくには、行政内部の担当部署だけで政策立案していくことに限界があります。
複数の部署を横断することや、民間との協働・連携も求められます。

そうした際に、どのように政策立案していくとより効果が高まるのか、成果が生み出しやすくなるのかを共通言語として双方が持っていることが望ましいと言えないでしょうか。

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アレグザンダーは、パターン・ランゲージを
「社会の全員が町づくりや建物づくりに参加し、全員で分かち合う共通のパタン・ランゲージで建物をつくり、しかもその共通言語そのものに生命がない限り、生き生きとした町や建物は、けっして生まれない」
(出典:C・アレグザンダー「パタン・ランゲージ」p.ⅸ)

と定義していますが、このように言い換えることもできないでしょうか。

「社会の全員が政策づくりに参加し、
全員で分かち合う共通のパタン・ランゲージで政策をつくり、
しかもその共通言語そのものに生命がない限り、
生き生きとした政策は、けっして生まれない」

ビジョンと問いを共有できていないという課題

さて、このような問題意識のもと、新潟県・新潟市・新発田市の10名以上の行政職員の方からボランタリーに協力いただき、約8ヶ月の期間をかけてパターン・ランゲージを作ってきました。

今回、オンライン発表会に参加してくださった作成メンバーから、一人ずつ、自分が作成に加わった中で印象深い「パターン」について共有してもらいました。

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全員に共通していたのは、ビジョンの共有やベクトルを合わせることの重要性でした。

部署内であったり、部署間であったり、外部の協力者と一緒に仕事をしていく中で、そもそも何のためにやっているのかの「問い」を十分に共有できていないという内省に根差したパターンが多く見られました。

もしかすると、これは行政だけでなく、企業においても同じことが言えるのかもしれませんが、社会的なミッション達成を目指す組織において営利性を追求する組織とで、本質的には同じ課題を抱えているというところは興味深いものがあります。

意識の壁、部署の壁・・・見えない壁を超えるには?

作成メンバーから作っていくプロセスの中でどのような気づきを得たのかを共有開いてもらったところ、自分自身の棚卸しにつながったり、現実を共有することができたと言った話がありました。

これは、私自身も大きな気づきとなりましたが、実は政策立案にかかるプロセスの全体像を把握できている行政職員はほとんどいないという点です。

入庁後にきちんと学ぶ機会もなく、携わった業務の範囲内の中での学びに留められていて、政策立案には、「予算」の視点、「評価」の視点、「人事」の視点、「財政」の視点など立場や役職などの自身の視座によって視点が異なり、そのことが共有されていないのです。

だからこそ、パターン・ランゲージを作成するプロセスの中で、多様な経歴を持った職員同士が政策立案のタイムスケジュールを作成したことに大きな学びと気づきが生まれていました。

事実を共有する、ただそれだけに大きな価値があったのだとわかりました。

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そして、作成メンバーの気づきを踏まえて、参加者の皆様からもご意見をいただきました。

今回、民間側の方や県外の行政職員の方も参加いただいていたので、立場の異なるこれらの方々から意見をいただきました。

この部分は、グラフィックレコーディングを眺めながら、どんな意見があったのか、じっくりと味わってみてください。

一つ言えるのは、内部や外部との連携を進めるためにも、意識や事業、部署、空間など様々な乗り越えるべき壁があるということです。

結局、それはビジョンや問いが共有されておらず、十分な対話ができていないことや、それぞれの見ている事実が異なることなど、前述した話に戻っていく、ということです。

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今回は限られた時間の中で、参加者全員からご意見をいただくことが難しかったのが反省点として残りましたが、最後までご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!

ぜひ、また、このパターン・ランゲージを活用したワークショップの機会も作りたいと思います。

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今後取り組んでいきたいこと

政策立案パターン・ランゲージを皮切りに、今後、私たちは様々な取り組みを進めていくことを検討しています。
下記の取り組みを考えていますので、ぜひ、連携したいなど、ご関心ありましたらご連絡ください。

▶公民連携、政策協働という観点でのパターンづくり
今回は、行政視点での整理だったが、民間と一緒に、政策の作り方をアップデートしていきたい

▶具体的テーマの研究・実践
EBPMやデザイン思考などの方法論を、なるべく実際の業務と連動する形で研究・実施していきたい
また、政策をどう統合的に検討し実行していくかというところも考えていきたい

執筆:石本 貴之

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