「ミサイル発射!」ガンダムは水素爆弾を破壊できるか?~機動戦士ガンダム 第25話「オデッサの激戦」感想
荒れるアムロ
アムロ「最小限度の修理だけでいいんです、作戦は始まってるんですから!とにかく出撃できるようにしてください!」
クルー「わかってるよ!怒鳴るな!」
クルー「やめとけ。マチルダ中尉がやられて荒れてんだからさ・・・」
クルー「こっちだって同じさ!」
アムロ「(マチルダさん)」
セイラ「アムロ」
アムロ「は、はい」
セイラ「いけないわよ、アムロ。出撃命令が出ているわ。行きましょ」
アムロ「はい」
フラウ「大丈夫?」
前回のマチルダの死を受けて気持ちがささくれ立っているアムロ。整備兵にも怒鳴ってしまう始末。
マチルダの運んできたGアーマーを見ながら、マチルダとの想い出に没入している。
オデッサ作戦が始まり、出撃命令も出ているのに戦闘に集中できていない。そのことをやんわりとセイラから咎められる。このシーン、セイラが話しかけた瞬間にBGMが途切れ、アムロが現実世界に戻ってくる様が描かれてる。
フラウボウが心配して「大丈夫?」と声を掛けても何も答えずにGアーマーに乗り込む。
セイラ「ホワイトベースの進路の偵察。それと私がこれに慣れる為に付き合ってくれるわね?」
アムロ「了解です」
セイラとアムロがGアーマーで出撃する。目的はホワイトベースの進路の偵察だ。それにセイラがGアーマー操縦に慣れるための特訓である。
機動戦士ガンダムには珍しい説明ゼリフだ。
アムロの手元にはマチルダとの想い出の写真が貼られている。これを撮ったときにはまさかこんなことになるとは露も思わなかったであろう。
弔砲発射
ガイア「マッシュの魂よ、宇宙に飛んで永遠によろこびの中に漂いたまえ」
ドムの足元、機関銃が立てられそこにヘルメットのようなものが置かれている。
ガイアとオルテガがミサイルを空に向かって発射している。これは弔砲である。
弔砲(ちょうほう)は、公的な葬儀の際、弔意を表すために大砲を用いて発射される空砲である。(Wikipediaー弔砲)
ガルマの葬儀のときにも弔砲が発射されていた。このときはさすが国葬だけあって規模もでかいし演出も派手だった。
これと比較してマッシュの「葬儀」はガイアとオルテガのたった2人による小さなものだ。
仲間の死を静かに悼む状況から、この3人のつながりの強さを物語っている。ガイア、オルテガ、マッシュの3人で数々の戦場を渡り歩いてきたのだろう。桃園の誓いの劉備、関羽、張飛の関係にも勝るとも劣らない関係を感じさせる描写である。
あわない人達(2回目)
マクベ「キシリア様の推薦があった兵士とはいえ、いつまで無駄な時間を潰しておるのか!ガイア、オルテガ、作戦は開始されているんだぞ」
ガイア「わかっておるわい。言われずとも仇討ちはさせてもらう」
マクベ「仇討ちではない。我が軍のうしろを乱そうとする木馬を叩く、これは作戦だ!」
ガイア「わかっておる!!オルテガ、出撃するぞ!」
マクベはガイアとオルテガの葬儀を苦々しく見ている。
マクベとしてはオデッサ作戦も開始された状況下で作戦遂行こそ関心事であり、死んでしまった兵士などどうでもよいとさえ考えているのではないか。
しかし、キシリアがわざわざ派遣した兵士なので無碍にもできない。もどかしい状況である。
そしてついに「さっさと出撃しろ!」と言ってしまった。
売り言葉に買い言葉で、ガイアも「うっせぇわ!言われんでも仇討ちしたるわ!」と返す。しかし、返し方がまずかった。
「仇討ち」といってしまうとガイア達の私怨での行動になってしまう。マクベはあくまで「これは作戦行動だ!」とガイア達を叱責する。
ガイアは「わかっておる!」と捨てゼリフを残して出撃していった。
前回からわかっていたが、もうこの人たちは根本的に合わない。
セイラの訓練
アムロ「セイラさん、そろそろ敵と接触する頃です。気をつけてください」
セイラ「了解。もう一度だけタッチ・アンド・ゴーを」
「タッチ・アンド・ゴー」(touch and go)とはWeblioによると、航空機が一瞬滑走路に車輪を接触させ、すぐに離陸することをいうらしい。
飛行機が着陸して一瞬車輪を滑走路に接触させたあと、直ちに離陸する動作。離着陸訓練のために行う。(Weblioータッチ・アンド・ゴー)
しかもはっきりと「離着陸訓練のために行う。」と書いてある。
ようは今回のGアーマーの出撃はセイラの訓練がメインであり、敵の偵察はオマケということだ。
しかし、実際の映像で見る限り、Gアーマーは地面に接近するも地面にはタッチすることなく上昇している。
セイラにはまだまだ訓練が必要なようだ。
レビルからの暗号電文
ブライト「なに?レビル将軍から?ホワイトベースは6時30分、マ・クベの基地のうしろから突入せよ、か。フラウ・ボゥ、Gアーマーに連絡して戻るように伝えろ。」
レビルからの直々の命令である。レビル率いる部隊は正面からマクベの基地を攻撃する。ホワイトベースは後方から突入せよという、従前からのレビルの作戦通りの指示だ。
この作戦を受けてブライトはGアーマーに帰艦するように伝える。
スパイ発見!
アムロ「ん?敵の前線がこんなに近くに?見つかったのか?セイラさん、高度を下げてください。見つかったかもしれません!」
セイラ「了解。プロペラ機のようね。よくわからないけどジオンにはない飛行機じゃないかしら?」
アムロ「調べてみます!キャッチしました!ドラゴンフライ?連邦軍の小型連絡機です。どうしてジオンの基地から出てきたんでしょう?撃ち落されもしないで」
セイラ「妙ね。ホワイトベースからだわ。至急戻られたし、か。アムロ、どうする?」
アムロ「気になりませんか?セイラさん」
セイラ「なるわ。行きましょうか?」
アムロ「ええ。そういえばマチルダさんが言ってたな。ミデアの動きがジオンに筒抜けのようだって」
Gアーマーで偵察兼訓練中のアムロとセイラが、ジオンの基地から離陸する連邦軍のプロペラ機をキャッチ。
スパイを疑って、ホワイトベースに報告する。
ミライ「スパイ?ありえるわね」
ブライト「確かにな。しかし、スパイの為にミデアがやられたとすれば、その実態は作戦開始前までには掴みたいものだ」
オスカ「ブライトさん、1時の方向、敵機接近です」
ブライト「なんだと?まっすぐ来ている?」
オスカ「はい。この高度でキャッチされるはずがないのに」
ミライ「やはり、スパイがいるという証拠ね」
ブライト「対空戦闘用意。ガンタンク、ガンキャノン、出撃用意」
アムロとセイラからの報告を受け、ミライとブライトもスパイを疑う。
そんな折、タイミングよく敵機接近の報が入る。やはりホワイトベース側の情報が筒抜けになっている。ブリッジもスパイの存在を確信した。
接近する敵機にはガンキャノンとガンタンクを用意させる。
連邦兵「誰だ?所属部隊と名前は?」
アムロ「ホワイトベースのガンダムです。僕はアムロ・レイ!」
連邦兵「ガンダム?これがか?」
アムロ「そんなことより今ここに着艦したドラゴンフライ、連絡機のパイロットはどこにいるんですか?」
連邦兵「ジュダックの連絡機のことか?」
ジオン基地から飛び立った連邦機がビッグトレーに着艦した。この連邦機にはジュダックが乗っていたようだ。スパイの確保まであと少しである。
マクベの作戦
ジュダック「作戦開始と同時に裏切れ、とのことです」
エルラン「マ・クベもせわしい奴だな」
ジュダック「エルラン将軍の攻撃はないものとして、マ・クベの主力はすべてレビル将軍の方へ向けております」
エルラン「わかっておる。」
ジュダックはマクベからの伝令をエルランに伝える。
マクベの作戦では、エルランからの攻撃はないとの前提で主力をレビルの部隊に向けている、とのことだ。
その上で、エルラン部隊がレビルの部隊を奇襲できればジオン側にも勝機が見えてくる。
エルランはこの戦闘真っ只中の状況でお酒を飲んでいる。腐敗した連邦軍の上層部を絵に描いたような人物である。
アムロvsエルラン!
エルラン「なんだ?」
連邦士官「は、怪しい者を捕らえました」
エルラン「怪しい者?用は?」
アムロ「人払いを願います」
エルラン「いいだろう。諸君らは下がってよろしい」
連邦士官「ジュダック、おまえも調べがある。中の話次第ではな」
ジュダックは早々に拘束されてしまった。残るは親玉エルランだけだ。
アムロ「軍の公式データー内臓のカメラで撮ったものです。証拠になるはずです」
エルラン「なるほど。で、君はこのビッグ・トレーにスパイがいるとでも言いたいのか?」
アムロ「はい。ネガを拡大すればパイロットが誰かわかるはずです」
エルラン「ん・・・ジュダックがスパイだと言いたいのだな?」
アムロ「そうです」
決定的な証拠をエルランに突きつけるアムロ。しかし、渡したその人こそがスパイの親玉である。
「あなたみたいな人がいるから!」
エルラン「では処刑しよう。ジュダックと、そして君もだ」
アムロ「は・・・」
エルラン「ここは戦場だ。お前一人死んでも誰も咎めないだろう。それに、私は将軍だ。お前ごとき子供が何をわめこうと・・・」
アムロ「ま、まさかと思ったが、あなたが。あなたは・・・。あなたみたいな人がいるから!」
エルラン「ネガを渡せば殺さんと言いたいところだがそうはいかん」
かなり久しぶりに「ネガ」という言葉を聞いたような気がする。
言い逃れができなくなったエルランがアムロに銃口を向ける。ここで初めてアムロは目の前の人間がスパイであることを認識する。
ミデアの輸送部隊が襲撃されたのもスパイがいたためである。ミデア機に救われた状況を回想しながら、絞り出すような声で「あなたみたいな人がいるから!」というアムロ。アムロには目の前のエルランこそがマチルダの仇に見えたことだろう。
しかし、時すでに遅し…と思った次の瞬間!
連邦士官「アムロ君、ご苦労だった。今の言葉、すべてビデオに撮っておいた。十分な証拠となる」
アムロ「い、いえ」
連邦兵「お立ちください。作戦終了まで独房に入っていただきます」
エルラン「うぅ・・・」
アムロ「あなたにも事情があるとおっしゃりたいんでしょ。けれど違いますよ。あなたみたいな方のおかげで何十人となく無駄死にをしていった人がいるんです!わかりますか?あなたみたいな人のおかげで!!」
連邦士官「君、あとは軍事裁判に任せよう」
アムロ「は、はい」
連邦兵の撃った弾がエルランを直撃。その場に崩れ落ちるエルラン。
「あなたみたいな方のおかげで何十人となく無駄死にをしていった人がいるんです!」というアムロを苦々しく見つめるエルラン。
連邦兵が「あとは軍事裁判に任せよう。」と止めに入る。この人がいなかったらアムロは感情の赴くままにエルランを殴ってしまっていたかもしれない。
オデッサの戦い、始まる!
ナレーター「オデッサの戦いが始まった。マ・クベ軍もレビル軍も、持てる物量を最大限に投入しての激突であった。その中で、ホワイトベースもまた例外ではなかった」
オデッサの戦いが始まった。
今回、オデッサの戦いを存分に描くのかと思ったら、前半パートはスパイのことばかりで戦闘シーンはなかった。
そして肝心のオデッサ作戦も意外とナレーション処理とダイジェスト映像ばかりである。
まぁ「機動戦士ガンダム」はホワイトベース視点で戦闘を描いているので、レビル本隊の方の扱いが簡単になるのもむべなるかなといったところである。
さて、そのホワイトベースの方だが、ガンダムがいない中、ガンキャノンとガンタンクがドム相手に苦戦中である。
カイ「は、速い。ハヤト、こんなのが相手じゃガンタンクは歯がたたねえぞ、下がれ、下がれ!」
ハヤト「こ、こいつ!」
オルテガ「いいか、ドップは手を出すな。お前らは木馬をやってればいい」
ドムの放ったミサイルがガンタンクのキャタピラに直撃。これでガンタンクは機動力を失った。
フラウ「きゃっ!」
ブライト「ううっ!ガンタンクの収容を急ぐんだ。モビルスーツを近づけさせるな!」
ハヤト「アムロ、早く戻ってきてくれよ!」
マーカー「Gアーマー、帰ってきます。1時の方向」
ブライト「よーし、ビームライフルの発射用意」
ガンキャノン、ガンタンクではドムを抑えることができず、ホワイトベースもドップに攻撃され援護できない。
アムロとセイラがGアーマーで出撃しているため戦力不足である。
ハヤトが「アムロ、早く戻ってきてくれよ!」と祈るようにいう。
そんなとき、ようやくGアーマーが帰ってきた。やはり主役はいいところで現場にやってくる。
ドムの撃ったミサイルがガンキャノンのつま先部分を弾き飛ばす。
ガイアとカイの対決はガイアに軍配である。
ガイア「白い奴はどこだ?マッシュの仇は」
オルテガ「マッシュの仇だ」
ガイアもオルテガも口々に「マッシュの仇!」とガンダムを追い回す。マクベの言った「作戦行動だ!」というセリフがもはや虚しい。
セイラ「ホワイトベース、着艦します。よろし?」
マーカー「OKです。被害は?」
セイラ「前を少しやられただけ」
マーカー「了解です。ハヤトのコアファイターと代わります、左甲板に着艦願います」
セイラ「レーザー軸、合わせ」
クルー「格納庫に降りたら前のパーツを外してハヤトのコアファイターに変えます」
セイラ「了解。ドッキング解除セット。急いでね」
Gアーマーからガンダムが離脱し、Gファイターに。今度はGファイター前部をコアファイターに換装し、ハヤトが乗り込む。
クルー「ハヤト、壊したら承知しないぞ」
ハヤト「わざわざ壊すつもりで出撃する奴がいるもんですか。行くぞ!」
ガンダムのパワーアップパーツは前々回から様々に合従連衡を繰り返している。
今回、Gファイターはドムの砲撃を受けて前部を損傷している。これを描くことで、コアファイターへの換装に自然につなげている。演出が細かい。
水素爆弾!
ナレーター「マ・クベ軍は、エルラン将軍の裏切りを予定して攻撃力を薄くしていた所を第一に突破された。次に、2機のモビルスーツ・ドムがガンダムに手間取って前線に参加しなかった為に、連邦軍の足を止めるべき大きな力を失っていた。だが、この土壇場にあってもマ・クベにはまだ残された手段があった」
マクベ「オデッサ作戦の総司令官レビル将軍、聞こえるか?私はマ・クベだ。ここで手を引いてくれねば我が方は水素爆弾を使う用意がある。無論、核兵器を使わぬと約束をした南極条約に違反はするが、我々も負けたくないのでな」
ナレーター「レビル将軍は一言も語らなかったという。ただ、前進を示す為の手を振っただけである、と」
エルランのスパイ行為が露見してしまっったため、マクベの作戦は根本から覆されることになった。
マクベの作戦はエルランの部隊に対する手当てがなされていないため、エルランの裏切り作戦が奏功しなかった時点で、ジオン軍に勝ち目はなかったと見るべきだろう。
しかし、ここでマクベは水素爆弾という禁断の兵器に手をつける。
水素爆弾は南極条約で使用が禁止されている核兵器である。
ここでも南極条約が出てきた。以前南極条約が出てきたのは第17話「アムロ脱走」だった。ランバ・ラルの部下コズンが捕虜となった際に、捕虜の取り扱いに関する取り決めとして南極条約が出てきた。
南極条約は核兵器の使用禁止も定めている。なかなか守備範囲の広い条約である。おそらくはいくつかの条約の総称であろう。
なお、この核兵器の使用禁止を定めた国際条約は実際に存在しており、タイムリーなことに今年(2021年)1月22日に発効している。
1979年の時点でこうした核兵器禁止条約を描いている機動戦士ガンダムは時代の流れを先取りするなかなかよく練られた物語である。
ちなみに、この核兵器禁止条約、日本は署名も批准もしていない。主要核保有国も参加していない。国際法上の法規範としては効力をもっていても、はたしてどこまで実効性を有しているといえるか、疑問もないではない。
さて、この条約違反の水素爆弾をマクベは予告なしでいきなりぶっ放すのではなく、レビルにわざわざ事前予告している。
これはマクベが仏心があるからでも、条約違反の禁じ手を取ることに躊躇しているからでもない。あくまでも交渉手段としてこうした予告をしているのだ。
ジオンにしてみれば、連邦軍の進軍を足止めして時間稼ぎをし、鉱物資源の採掘を続けられればいいのであって、連邦軍を殲滅する必要まではない。
ジオンは勝たなくても良いのだ。
オルテガ撃破!
今回のドムの作戦もジェットストリームアタックである。ただし、1人減ったので2人でのそれである。
ガイアのドムが胸元からビームを放つ。前回、これは発光するだけの目くらましかと考えていたが、映像で確認する限りどうやらビーム攻撃のようだ。
ガイアの後ろにはオルテガのドムがいる。
ガンダムのパワーアップパーツに乗り、オルテガのドムに急接近するガンダム。すれ違い様にドムを真っ二つに叩っ切る。
ジェットストリームアタックはもうアムロにはきかない。
「こんな雑な分解図で役に立つんですか?」
ブライト「アムロ、聞こえるか?敵は水爆を使う」
アムロ「水爆?だってあれは・・・」
ブライト「そうだ。敵は使ってはならん武器を使うのだ。ミサイル発射まで30秒はかかる。モビルスーツはいい、水爆ミサイルを破壊する方が先だ」
アムロ「そ、そんな。できる訳ないでしょう!」
ブライト「データーを送る。赤い所が水爆を爆破させる所だ。点線の所で叩き切ればいい」
アムロ「こ、こんな雑な分解図で役に立つんですか?」
雑である。
核弾頭のような非常にデリケートな物の起爆を阻止するのに、この図を示して「点線のところで切れば∑d(≧▽≦*)OK!!」はないだろう。
それでもどういう理屈かはわからないが起爆を阻止できる方法がこの切羽詰まった状況で発見できただけもすごいというべきか。
「ミサイル発射!」
マクベ「なに?レビルの軍は前進をやめないというのか?」
マクベ「連邦軍は強硬手段にでたのか。ならば望み通り・・・」
ウラガン「・・・しかし、今更」
マクベ「これは駆け引きなのだよ。連邦側は我々の要求を無視したのだ、彼らはその報いを受けるのだよ。ミサイル発射!!!」
ウラガンは「・・・しかし、今更」と使用を躊躇う。もうウラガンの目にもジオンの敗勢は明らかだ。これ以上は無駄な戦死者を増やすだけである。
しかしマクベは使用をやめなかった。ミサイル発射を命令する。
マクベは、描かれ方が完全に悪役のそれである。特に「ミサイル発射!」の瞬間の顔はギャグかと思いたくなるくらい危機迫る表情である。
ここでマクベが水素爆弾発射を決断したのはなぜだろうか。
ウラガン同様マクベ自身もすでにジオンの敗勢を理解しているし、これ以上の殺生は無駄だと当然気づいているはずである。
ただでさえジオンのコロニー落としで荒廃してしまった地球だ。さらに核兵器を使用してしまえば戦後復興がより一層困難になってしまう。また、ジオンに対する悪感情も増強させてしまうだろう。ジオンにとっていいことは何一つない。
それでもマクベが水素爆弾に拘るのはなぜか。マクベが語った理由は連邦軍が交渉に乗ってこなかったから、水素爆弾の使用はその報いであるということであるが、理屈になっていない。
マクベひいてはジオンの悪性を強調するための演出という感じが否めない。
ガイアを撃破!
Gファイター(?)から落下して尻もちをついたガンダムにドムが上空から襲い掛かってくる。その背後には発射された水素爆弾が飛翔する。
この構図は状況説明として非常にわかりやすい。
ただ、作画が残念で、ガンダムのアンテナ部分がユニコーンの角みたいになってしまっている。
ガイアのドムをビームライフルで一突き。モビルスーツ戦はガンダムに軍配である。
核ミサイルを破壊!?
ブライトの示した分解図が雑すぎてよくわからなかったが、どうやら点線の部分でうまいこと切断できれば水素爆弾は爆発しないらしい。
「やれるか?」と訝しがりながらも弾頭部分を切断するアムロ。
どうやら点線の部分をうまいこと切断できたみたいで、水素爆弾は爆発しなかった。めでたしめでたし。
ホントにそんなことが可能なのか、このあたりはぜひ核兵器の専門家に分析をお願いしたい。
黒い三連星の死
ガイア「マッシュ、オルテガ、す、すまん」
ガイアの最期の言葉は「マッシュ、オルテガ、すまん」だった。
ガルマが「ジオン公国に栄光あれー!」だったのに比べると非常に個人的である。
出撃前の葬儀にしてもこの3人の強い関係性を思わせる演出だ。
「ジオンはあと10年は戦える」
ナレーター「オデッサの作戦は連邦軍の勝利に終わった。しかし、マ・クベは黒い三連星を運んできた戦艦ザンジバルでいち早く脱出していた」
マクベ「戦いはこの一戦で終わりではないのだよ。考えてみよ、我々が送り届けた鉱物資源の量を。ジオンはあと10年は戦える。フフフフフッ」
不敵な言葉を残し宇宙へ去っていくマクベのザンジバル。
「ジオンはあと10年は戦える」と威勢のいいことを言っているが、「ジオンは勝利できる」ではなく「10年は戦える」である。
マクベにはもはやジオンの勝利を思い描くことができなくなっている。そうした心理が影響し「勝利」という言葉を使うことを躊躇させたのだろう。
第25話の感想
今回、連邦軍が勝利できたのは、事前にジュダック、エルランの裏切りを阻止できたことが大きい。その意味でアムロ、セイラがスパイを特定したのは大手柄である。また、ホワイトベースがドムを撃破したのも戦況を左右した大きな事情だ。
主にホワイトベース視点でのオデッサ作戦であった。できることならレビル視点での戦闘状況も知りたいところである。
マクベは大量のモビルスーツをレビル隊の方に配置していたはずで、ここまでの戦況に鑑みればまともにぶつかりあったら連邦軍は負けるであろう。レビル隊がどのように対峙したのか、興味は尽きない。
さて、オデッサ作戦が連邦軍勝利で終わり、物語は一段落した感がある。
しかし、次回シャアが復活する。水陸両用のモビルスーツが登場するようだ。
次回も楽しみである。