見出し画像

総合内科専門医/第235問(感染症)/2019

総合内科専門医試験
2019年度予想

68歳の男性。歩行時の息苦しさとわずかな喀痰を主訴に来院した。
現病歴:1週前から歩行時の息苦しさとわずかな喀痰を自覚していた。
既往歴:30歳時に虫垂炎のため虫垂切除術を受けた。65歳時にHIV感染症と診断されたが治療を受けずに通院を中断していた。同時期から不眠となり、ベンゾジアゼピン系薬を時折内服している。
生活歴:会社員としてアメリカやヨーロッパで勤務した後に帰国、その後相談役として週2回程度出社している。喫煙は15本/日を20歳から40歳の20年間。飲酒は機会飲酒。
家族歴:父が高血圧症。
現 症:意識は清明。身長172cm、体重58kg。体温37.5℃。脈拍120/分、整。血圧120/40mmHg。呼吸数28/分。SpO2 90%(room air)。頸部リンパ節に腫大を認めない。心音に異常を認めない。両側背部でfine cracklesを聴取する。腹部は平坦、軟で、肝・脾を触知しない。腹部の手術痕以外に異常を認めない。背部に叩打痛を認めない。皮膚に異常を認めない。
検査所見:血液所見:赤血球300万、Hb 9.2g/dL、Ht 30%、白血球4,800(桿状核好中球17%、分葉核好中球67%、好酸球8%、好塩基球0%、リンパ球8%)、CD4陽性細胞数126/mm3(基準800~1.200)、血小板25万。血液生化学所見:総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.0g/dL、総ビリルビン0.8mg/dL、AST 28U/L、ALT 18U/L、LD 250U/L(基準120~245)、ALP 120U/L(基準115~359)、尿素窒素40mg/dL、クレアチニン1.0mg/dL、Na 131mEq/L、K 4.2mEq/L、Cl 97mEq/L。免疫血清学所見:CRP 3.2mg/dL、HBc抗体陰性、HBs抗原陰性、HCV抗体陰性、HIV抗原・抗体陽性。動脈血ガス分析(room air):pH 7.43、PaCO2 35Torr、PaO2 58Torr、HCO3- 24mEq/L。胸部造影CTを別に示す。
この患者へ投与する第一選択薬についての記述で正しいものを1つ選べ。
a. 治療量と予防量は同量である。
b. 副作用として低カリウム血症の頻度が高い。
c. HIV患者と非HIV患者で副作用出現率が異なる。
d. 経口薬のBioavailability(生物学的利用率)は約15%である。
e. 本邦では特にグラム陽性球菌感染に対する使用が多い。

< ここから解答・解説になります >


解答

c
ニューモシスチスカリニ肺炎 (Pneumocystis carinii pneumonia:PCP)

ここから先は

2,788字

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?